もえる!地球温暖化計画::P2/2


それはたぶん照れから来る体温上昇じゃないでしょうか。
あとは体をくねくね動かしてるから。

これは妖精さんたちには魅力的な行為に映ったようですね。
飲み終えたカップを置いて全員がわたしの方へ寄ってくる。
あとはご想像の通りデレデレ告白大会。

「ぼくもー」「すきすき」「だいすき」「あいらびゅー」「けっこんする?」「どれいにして」

悪い気はしませんね。
心がほっこりしてきます。

お礼というわけではないですが指先でいじいじ。
ひとりずつ順番にお腹をくすぐってあげると、「きゃはーーん」と手足を投げ出して降伏の姿勢になりました。
テーブルの上に妖精さん転がしの完成。
服の上からのいじりなのにこの反応、敏感すぎます。

この妖精さんを喜ばせる行為が暴走を呼ぶことになるとはこの時はまだ気づいていなかったのです。


気分が盛り上がってきた妖精さんたちは、まだ遊び足りないようでした。
転がり状態から復活した妖精さんがその小さな手を差し出します。
お相手は寝転がり続けている妖精さん。起き上がる助けをしています。
そして繋いだ手は離さずに告白へ移行。
これもまたストレートに言葉を伝えます。
告白をしてもじもじ。
告白されてくねくね。
二人揃って体を揺らし照れている姿は何とも言えないものでした。
他にもぴょんぴょん飛び跳ねていたり体を左右に揺らしていたりとみなさん『好き』という気持ちを全身で表現する。
中にはハグをする二人組もおります。
二人羽織りも……温かそうですね。
個性豊かな愛情表現が続く。
いつのまにかココアのカップの数よりも多人数になっているのでした。

「これが、もえのちから」「もえるー!」「ぽっかぽかー」「これでようつうもなおるです?」

『わきゃーっ』とより一層テンションを高めていく妖精さんたち。
まさに熱狂といった様相を呈していました。
眺めているわたしまで汗ばんでくるような――
「おや?」
ふと、さきほどまで感じていた肌寒さが消えていることに気づきます。
ストールを巻いて体を縮こまらせていなくても楽になっていました。
この部屋に唯一の熱源に目をやると……暖炉の炎が勢いを増している……?
薪は継ぎ足していません。
いまは炎のなかに拳大の塊が残るのみ。
これが燃え尽きたら休もうと思っていたのでした。
なのに、燃料がなくても……燃えている。

……やられた。
トラブルの芽を摘み損ねました。

炎に照らされ踊る妖精さん。
腕を振り上げ、下ろし、足は軽快にステップを踏む。
煽られるように炎はうねり勢いを増します。
その様子はなんとかという部族の儀式を思わせます。
炎を祀って恩恵を得るといったような。
太鼓をドンドコ鳴らしたらより一層雰囲気が出そう。

「もっともえ〜」「もえるぅぅぅ」「あつーい!」「おようふくぬいでもよろし?」

うーん……収拾がつかなくなってきました

「そうだ。みなさーん、おじいさんも温めてあげたらどうです?」

自分で解決できないなら矛先を変えてやればいい。
いつも無茶ぶり丸投げをしてくれるお礼です。

ボタンに手をかけ外しかけていた妖精さん。
「おじいのへやでぬぐです?」

「それがいいかもしれませんね」
適当な答えですがいいんです。少しくらい。

彼は他の妖精さんたちの顔を見回して確認を取ります。
意義はないようでした。

儀式の舞に水を差す提案に乗ってくれました。
テーブルから飛び降りた彼らは勝手知ったる様子で部屋を横切っていく
廊下に繋がる通り道も開いています。
大きなドアを開ける必要もなく彼らは出入りし放題なのです。
この家も妖精さんたちが過ごしやすいように変化して行ってます。

「おじいさんの部屋はわかりますか?廊下を進んで一番奥のドアですよ」
「はーい」

心配はいらないかもですが念のため。
小さな背中に声をかけると元気な声が返ってきました。

大挙して訪問されたらおじいさんも驚くことでしょう。
どんな反応を見せるのか気になりますが、わたしは自分の就寝準備に取りかかることにします。
「ふわぁ」
堪えきれずにあくびをひとつ。
吐いた息がもう白い。
妖精さんたちが部屋を出て行ってから火の勢いは瞬く間におとなしくなっていました。
涙で滲んだ目を軽くこすり、暖炉の灰を均します。
明日も朝から雪かき日和になりそうです。


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