鳥籠
※八朔さんリク [夢主:天女設定]
苦手な方は注意してください!!時は、幕末――。
今まで徳川将軍家の力で押さえ続けてこれた、各藩の不満や、復讐心が幕府の衰退により、爆発した。
各藩が動き出したとほぼ同時期に、米国からの使者がやってきたりと、江戸は休む暇なの殆ど無かった。
「………はァ、」
やっとのことで仕事が一段落し、縁側で茶を飲もうと、縁側へ出た。今は、寒さが身にしみる師走の年だった。
ふと空を見上げると、空気が澄んでいて雲一つない夜空が広がっていた。
「葵……」
こんな日には思い出してしまう。かぐや姫のように、美しかった彼女の事を――。
*************
今から約200年前、幕府がやっと安定してきた頃。時の将軍は家光であった。
その頃の江戸は色々とやらかしていた、今で言う問題児だった。被害者も相当数いた。
葵もその被害者の一人だった。
天から羽衣を使い、地上散策に来ていた所を偶然出くわした江戸に気に入られ、半ば誘拐されるような形で、此処江戸城に連れて
こられた。
「……あの、そろそろ羽衣を返していただきたいのですが…」
此処に連れてこられた時に葵は江戸に羽衣を奪われてしまっていた。羽衣が
無ければ帰れない。故に今、こうして其処に飾るようにして置かれている羽衣を返す様、江戸に言っているのであった。
「やだねィ」
即答だった。このやり取りは何回目だろうか。返ってくる答えは変わりはしなかった。
「いや、私帰りたいんですけど…。親には
秘密で来たからバレると結構大変な「知るか、ンな事。」……」
傲慢、と葵は思った。それもそうだ。葵は、下界に降りるのは初めてであったし、天と下界では支配者も違う。
だから、この時の葵には、江戸がどれほど高い身分の持ち主なのか、など分かるはずもなかった。
「うー……暇だ」
此処でする事は無かった。三食の食事は侍女が持ってきてくれるし、掃除や床敷きも葵が縁側で寛いでいる間に侍女達がやってくれている。
ここまでやられると、流石の葵も居心地の悪さを感じてくるようになった。
「(よし……此処から出るか。羽衣も在る場所は分かっている。)」
だが、置かれている場所が江戸の私室ときた。これはかなり難易度の高い脱出作戦となりそうだ。prev/
next