恥ずかしがりは悩み者
気持ちが伝わるのは嬉しいことだ。静雄は少なくともそうおもう。だから彼と両想いだったのは本当に嬉しかった。今でもたまに、たまに好きだと言ってやれば自分もだ、とかえしてくれる。
「シズちゃん」
なのに自分はどうなんだろう。彼だって特異なだけで人間だ。それなりにちゃんと感情はある。
「好きだよ」
優しく穏やかに紡がれる言葉に自分は今までなんと答えただろう。煩い。死ね。消えろ。そんな言葉の羅列。照れ隠しにしては少々きつい言葉ではないのか。それで彼はいつもどう思ってきたのだろう。自分は少しくらい素直になればいいのに。
「…うぜぇ」
あぁ、まただ。またやってしまった。ほら彼だって苦笑してる。また、きっと、嫌われた。胸が締め付けられる。今度は寂しさに、悲しさに。後悔の念でいっぱいだった。ソファの上で体育座りをして身を縮こめる。
「シズちゃんは俺が嫌い?」
突然耳元で臨也の優しいテノールが聞こえる。臨也が嫌い?そんなわけない、自分だって大好きだし甘えたい。でも、出来るわけないじゃないか。恥ずかしさもあるし、何しろ今までの関係が一番邪魔をする。一緒に居たい。寄り添っていたい。そんな小さな願いすらどうすることもできなかった。
「…ごめんね、いじめて」
そっと後ろから抱き締められぴくりと無意識に反応する。臨也はそれに口角を吊り上げ更に言葉を続けた。
「シズちゃんは恥ずかしがりだからね」
それぐらい分かってるよ。くすくすと耳元で笑う臨也は酷く楽しそうだった。何が楽しいんだろう。こっちは悩んでるっていうのに。
「シズちゃんの死ねってのは俺もって事でしょ?」
「…自意識過剰だな」
少し赤くなった顔で静雄がそう言えば臨也はまたくすりと笑う。
「好きだよ」
そのまま額に口付けられ静雄の顔はさらに赤くなった。その顔を隠すように臨也に抱きつく。
「……俺もだ」
珍しくまともな返事をした静雄に臨也は少し驚きながらも静雄を抱く力を強くする。静雄をちらっと見れば真っ赤になった耳が見えた。
オチはない
スランプです。飽きたりしたわけじゃないのよ!書きたいけど書けない…辛いよ…
(2011/05/22)
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