「分かった?俺は本気なんだけど」

顔を上げれば赤い目がこちらを真摯に見つめ、いつもの笑みは無くなっていて本気というのが嫌でも分かった。だんだんと熱が上がっていくのが分かる。本気だと分かると今まで合わせられた目も急に合わせられなくなり目が泳いでしまう。

「シズちゃん」

ぐい、と顎を掴まれ無理矢理に視線が合わされる。さっきよりも顔が熱い。隠そうにも押さえられていて出来ないしどうにもできず我慢して睨み付けてみるが臨也は楽しそうに笑うだけだった。

「好きだよ」

真顔に戻し、そう告げ頬に口付ければぴくっと静雄の体が反応する。静雄の瞳が戸惑いに揺れ臨也を見つめ返す。

「…俺、は、」

声が震える。震えを止めるために強く唇を噛めば血が滲んだ。臨也の手がするりと頬を撫でる。暖かい季節なのに臨也の手は冷たかった。

「ゆっくりでいい。決まったらおいで」

それだけ言って穏やかに笑うと臨也は踵を返し屋上を出ていった。残された静雄は臨也の出ていった扉を睨み付ける。

「…なにが決まったら、だ」

フェンスにずるりと寄り掛かる。老朽化しているフェンスはそれだけでギシっと音を鳴らした。そのまま座り込み額に手を当て、思い出すのは臨也のキス。吐息も舌使いも体温も、何もかもがしっかりと思い出せる。思い出すだけなのにそれだけで顔が熱い。最悪だ。当分は忘れられないだろう。どうしてくれるんだ。

「…最初っから決まってんだよ、んなもん…」

ため息と共にそう呟き、静雄は立ち上がる。あいつのせいで悩むなんてごめんだし、返事は決まっている。あの真っ黒な奴にさっさと返事を返し、今度は自分からキスしてやるんだ。静雄は心の中でそう意気込みながら臨也を追いかけ屋上を出ていった。






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文才って なんですか
短いっていうね!

(2011/04/26)




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