先ず見慣れない天井が目に入った。
次に横を向くと、綺麗な襖。
体が痛い。
何故自分が寝ているのかもわからなかった。
私は、死んだのでは…?
もしや、あのあと捕虜として捕まった?
そうしたら、ここは…?
「目覚めたでござるかっ!!?」
「!?」
入ってきた青年は見たことの無いような衣装で、真っ赤な鉢巻きを付けていた。
本人は何食わぬ顔で持っていた桶を置いて手拭いを絞る。が、幸は見た。青年の背中に掲げられた、自分と同じ六文銭を。
「具合は悪くないか?」
「あ、はい、大丈夫です」
起き上がれない為、寝たまま青年を凝視する。
「某は真田幸村。貴殿は?」
「!!…真田、幸村…?」
驚愕。その一言に尽きる。
「どうかしたでござるか?」
「……私も、真田幸村と申す者です」
「!!?」
今度は青年の方の幸村が驚愕した。
「なっ…某が、二人?」
「…私と同じ人がいなたど…」
二人してじっと相手を見る。
数分後、佐助が来るまで二人とも微動だにしなかった。
(まさか、信じられない)