他*倉南→ラストラブ | ナノ
なんでここにいるのだろうか。何が起こったのだろうか。なんでこんなに冷たくなった南沢さんが腕の中にいるのだろうか。何度も何度も頭の中で模索してやっと思い出した。南沢さんを殺したんだ。
それは2時間前の話だった。南沢さんはみんなと楽しそうに話していた。それを見てなんだか心臓がぎゅっと握られたように痛かった。南沢さんをみているといつもそんな感じになって押しつぶされそうな気がした。やがてみんな帰って行き、南沢さんと二人きり同じ空間で同じ空気を吸っていた。なんだかすごく嬉しいと言うかなんとも言えない快感に襲われた。ぼけっと南沢さんを見ていたら目があった。
「さっきからなに?ずっと俺のこと見て気持ち悪い。」
「なななんもないっす」
口を開けば南沢さんは毒舌だ。さっきの笑顔は嘘のようだ。他の人には優しくするくせに。なんだか南沢さんに怒りを覚えてしまった。好きが故に考えてしまった。この人をずっとずっと自分の隣にいさせよう。なんて出来もしない事が頭の中でぐるぐる回っている。
「じゃあ俺帰るから戸締まりしとけよ」
「待ってください!話したいことあるんすけど…」
帰りかけていた南沢さんがくるりとこっちを向いた。なに?と顔で訴える南沢さんがとても怖かった。
「南沢さん、俺…俺の特別になってください…」
「は?いきなりなにいってんの?まじ意味わかんねー」
「真剣に考えてください…俺の特別にはなれませんか?」
「なれませんというかなりたくありませんってかんじだな。」
思った通りの反応だ。涙がでるほど嫌な言い方だ。南沢さんらしい答え方。でもそれがほんとに寂しかった。
「へえ、わかりましたよ。」
「じゃあ帰るから」
しれっと後ろを向き帰ろうとする南沢さんの首を目掛けて自分のネクタイを巻く。ぎゅっと南沢さんの首が締まった。
「うっなにっすっる」
「苦しいっすか?俺の心はこんなもんより苦しいんすよ」
そういってもっと力を加えて首を絞め続けたら南沢さんはくたっと倒れ込んだ。綺麗な顔が真っ青で怖かった。どんどん冷たくなる身体。自分が望んでしたことの筈なのに心臓が痛くて仕方ない。ズキズキズキズキ言うせいで目から涙が出てきた。
「みなみさわさん…もう喋れないっすよね…」
冷たくなった南沢さんに軽くキスをしてから深い深いキスをした。自分の熱を全てあげるように。けれど南沢さんは息をしていない。キスをしても反応がないのだ。ポロポロと涙を流し南沢さんをぎゅっと力強く抱き締めて、キスを何度も何度も繰り返しいつか生き返るんじゃないのかななんて思ってその行為をずっと続けた。
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なんだかせつないですね
南沢さん…可哀想
最後まで読んでくださったかた
ありがとうございます!!!!
2011.12.11日