ウエディングドレス | ナノ
霧野は女みたいだ。だからウエディングドレスを着せてみたい。女みたい、いや女より綺麗な顔をしているから、だからこそ着て欲しいのだ。そんなことをいつもいつも霧野本人に伝えている。そして今日もまたその話題を出してみた。
「霧野、もう少し大きくなったら俺の為にウエディングドレス着てくれないか?」
「ウエディングドレス?またその話か」
はあ、と溜め息を吐いてもう聞き飽きたというように少し機嫌が悪くなった。怒った顔も可愛いと顔が綻ぶ。
「霧野?怒ったか?」
心配になり顔を覗き込みながら聞いてみた。
「怒ってない。」
怒ってないとの言葉とは裏腹になんとも無愛想な返事が返ってきた。霧野は無愛想な口調のままこちらに寄ってきてぎゅうっと抱き締めてきた。か弱い顔からは想像出来ないほどに力強く抱き締められた。
「神童、俺男だよ?女じゃない。神童は女のが良かったか?」
なんとも不安そうな顔をして言ってきた。俺がこんなことばかり言うから霧野がこんな顔をしてしまったのか。不安そうな顔久しぶりにみた気がした。
「ごめんな?霧野、俺は男の霧野が好きだよ」
あとから冷静に思い返すと霧野は男だし男の霧野が好きだよと言う言葉は変に思えた。だかテンパっていたからしょうがない。なにより不安にさせてしまったことを謝らなければならない。後は霧野の返事を待つだけだ。待ってる時間が長く何時間も待っている気さえした。ああ、もう嫌われたのか?
「別にいいよ、神童がどうしてもっていうなら大きくなったら…ウエディングドレス…着てやってもいいよ、キスさせてくれるなら…な」
真っ赤な顔をしながら、そう呟く彼はやはり女みたいだ。でももうその話は禁句だな。兎に角機嫌が直って何よりだ。
「なあ?神童いいか?」
心の準備をしてもなんだか恥ずかしくて声が裏がえってしまった。
「う、うん」
これが霧野とのファーストキスだ。緊張し過ぎていて目をぎゅっと瞑って霧野を待ち構えた。
「…ちゅ」
柔らかい霧野の唇が数秒俺の唇に触れた。目を開けると霧野の顔は真っ赤でとても可愛かった。
「霧野…」
「なななななんか、恥ずかしいな…も、もうしないからな!」
「はは、わかったよ」
テンパりながら言う霧野を見て笑いながら答えたがもうしないのは嫌だなと内心思った。が、しょうがない。そう思った。すると、
「嘘だ、またしてもいいか?神童」
と霧野が言ってきた。何だ、霧野もまたしたいのか。内心そう思ったが言えない。
「ああ、いつでも待ってる」
俺がそういい笑いかけると、またぎゅっと力強く霧野に抱き締められたら。
「神童、愛してる」
「俺もだ」
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なんか、あれって思った…
読み返すとどんどんおかしく
思えてきたああああああー
はあ、まあいいことにしよう!
最後まで読んでくださった方
ありがとうございました!!
2011.12.03