少し前のちょっとしたお話赤村と私、黄村は英雄ショップに来ました。
なんで来たかは知りません。
赤村はもしかして早くも解雇…!?とかぶつぶつ言ってます。ちなみに私、冷静っぽいけど結構焦ってます。
……もしかしたら、リサイクルに出されるんじゃないかとか……。
『おーいそこのハムスターのように震えてる二人。安心しろ、別に二人をどうしようかとか考えてるわけじゃないから』
ショップ内にあるソファーに座って私達に言ってくる、私達の所有者。ハムスターのように震えてる?ははっ馬鹿いうなそんなわけないだろう……。
正直、内心ほっとした私がいた。
にしても休日なだけあって、人結構いるなぁ。
「何しにきたんだ?」
『んー、兄貴の携帯に用がね』
ルシファーがどうかしたのかな?でもルシファーの姿は見えないし……。
『……ルシファーなら、母と一緒にいるよ……。しばらく時間かかると思うから、その辺見てていいよー』
「そっかー。じゃあ赤村その辺見てようか」
「おー」
『外にはでないでねー』
ショップ内にある自動販売機でココアを買っている所有者。いいなぁ……。
まぁ買ってくれるわけないから頼まないけどね。
「なんか色々出てるな……」
「うお、SAて私と同じじゃん……なにこれ……」
飾られてる携帯達を見る。
横に視線をやると、赤村と同じSH001の機種。そこには、誰かがいた。
………携帯?いや、違う。似てるけど、違う。
「黄村?どうした?」
「……いや、あの人……」
「ん?……携帯………じゃないな」
赤村も同じ事を感じたようだ。携帯に似てるのに、携帯じゃない。
私はそれが何なのかわからなかった。
「……君達、携帯?」
「えっあ、」
「そうだけど……」
「じゃあ関係ないか」
突然話し掛けてきたから驚いた。けど、赤村が返事をしたらすぐに私達から目線を外した。
なんだ……?
「あのさ、一ついい?」
「………何?」
「えーと、……携帯?」
「……………」
黙ってしまった。
きいちゃいけない事をきいてしまった……かな?
なんか不機嫌そうな顔してるし……。
私があわあわしてたら、その人は口を開いた。
「……レプリカ」
「………へ?」
赤村とハモった。
レプリカ?レプリカ……?え、どういう意味だっけ……?
そう悩んでいたら赤村がボソッと、「レプリカ、美術品などの模写・複製」と言った。私に教えてくれたのかな?そういえば赤村には辞書機能がついてたなぁ……。
「君達携帯の、レプリカ。商品を売るための、レプリカ。驚いた?レプリカにも、擬人化がいるの」
「……あ、いや」
知らなかった。……代用機にもいるぐらいだし、ありえなくもない、か。
赤村は驚いて動かない。お前はハムスターか……。
「こう考えるとさ、人間も携帯も同じように思えない?携帯という一くくりの中で、私のようなレプリカや、代用機、そして君達普通の携帯。人間という一くくりの中でも、……言わなくてもわかるか。君達は、僕が可哀相だと思う?」
一人称が安定してない、彼女。いや、もしかしたら彼なのかもしれない。
レプリカというのは……。
「アンタが幸せなら、可哀相なんて思わない」
「貴方が不幸でも、可哀相だとは思わない」
「……そっか。ありがとう」
そう言って、彼女は笑った。
それが嘘か本当かわかるほど、私は賢くはなかった。
赤村は、どう感じたんだろう。
「あ、あれ君達の所有者じゃない?」
「あっ」
出口の横の棚にいた私達に近付いてくる、所有者とそのお母さん。………ルシファーは見当たらない。というか、所有者達意外は見当たらなかった。
ルシファー、入院でもしたのかな?心配だな。
『帰るよー』
「……ほら、いきなよ」
「うん……」
私は歩きだした。赤村はまだ後ろを見ている。
小さくきこえた、彼女の言葉。
(私は確実に、君達より先に処分されるだろう)
(だから、覚えててね)
(私のような、レプリカがいたこと)
目頭が、あつくなった。
不幸であったか、幸せであったか。
最後まで、彼女は。
――――――――――――――
白井さんを買いに行った時の話です。
その時、黄村と赤村はいました。
けど私は母が白井さんの契約をしている時ソファーでココアを飲んでいたので、白井さんを知りませんでした。
置いてあるあれ、携帯じゃないんですよね。携帯のレプリカ。ボタンとかは押せるけど。
代用機にも擬人化いるならレプリカにもいるだろうと。
そんな考えという妄想からこの話ができました
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