ふと目がさめると、南沢さんの横顔が目のまえにあった。あー、そうか。この人とセックスして、そのまま意識が飛んでしまったのだ。天井を見つめている南沢さんの瞳は虚ろで、こわくなって、気づくと名まえを呼んでいた。
「――南沢さん」
言葉を発するとのどが痛んだ。けほ、と軽く咳払いした。南沢さんが、俺のほうを向いて、目をほそめた。うれしそうな顔。けど、ライオンとか、ヒョウとか、野生の肉食動物が獲物を見つけたときにきっと、こういう目つきをするんだろう。
「なに、倉間」
南沢さんは仰向けに寝ていた体をこっちに向けて、腕を枕がわりにしている。
「……いえ、」
とくに言いたいことがあって呼んだわけじゃないから、返事のしようがなかった。
くすっ。南沢さんが笑った。
「ねえ倉間、俺いますっごくしあわせ」
南沢さんの腕が俺の首にまわされた。キスをする。ぴったり体がくっついている。唇や太もも、触れ合っているところが熱い。


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