おまけ なんか蘭拓 すっかり日の暮れてしまった帰り道、神童がとつぜん「霧野にも音感あるんじゃないのか」と言ってきた。 「いや、いやいやないだろう」 ぜったいにない。あるわけがない。大きく否定すると、「でもさっきのメロディ聴奏、たぶん合ってるって言えてたじゃないか」なんだそんなことか。 「だって神童がまちがえるわけないだろ」 「……」 真面目な顔で言ってやったら黙ってしまった。きっと照れてるんだろう。まったくかわいいなあ神童は。 「ねえ今から神童んち寄っていい? もっと長い曲聴きたい」 「……ああ、良いよ」 うなずいた神童に、長い曲が良いのは神童のピアノをずっと聴いてたいからだよ。そう言うと、神童は暗いなかでもわかるくらい真っ赤になって、今にも爆発してしまいそうだった。 |