*夢精する静雄
臨也とはクラスメイト設定







ビュッ


「…ぁっ!?」


いきなりの感覚にびくっと肩を揺らす。小声とは言え寝起きに変な声を出してしまった俺に、授業中のクラスメイト達の何人かが訝しげに振り返る。

前の席に座っている新羅が呆れた声で、ははぁ、静雄また寝てたんでしょ?と呟いていた。

そんな新羅の言葉を流して聞きながら、頭を急いでクリアにしようと考える。
そうだ、思い出した。今は5限の授業中で、退屈な化学の先生の子守歌のような声に誘われるがまま机に突っ伏して寝ていたのだ。

そこまではいい。いや、授業を聞いてなかったのは良くないが、授業は後で新羅達に今日の分のノートを見せてもらえば何ら問題はないだろう。だから、そう、本当の問題はそんなことではない。

(嘘…だろっ…)

俺は下半身に感じる違和感から目を逸らそうとしていた。何かの間違いであって欲しい。違う違う。これは悪い夢だ。現実から目を背けようとするが、頭の奥では既に答えが導き出されている。顔から血の気が引いていくのがわかった。

下半身に感じるのは、萎えかけた自身の感覚、射精直後のけだるさ、そして何かで濡れた下着の不快感、その全て絶望する。だって、まさか、そんな

(まさか授業中に、夢精…しちまったのか…!?)

俺は自分が思ったよりもかなり熟睡していたらしい。自身はいわゆる朝勃ちというやつで、やらしい夢に比例するように射精してしまった。
…やらしい夢の内容についてはここでは突っ込まないで欲しい。俺だって健全な男子高校生だ。そんな夢のひとつやふたつみることもある。

とにかくこの夢精ってやつは思春期真っ盛りな男子高校生なら、誰もが1度は体験したことがあるだろう。
だけどまさか授業中にも起こるなんて思ったも見なかった…

射精後しばらくして冷えた精液がべっとりと自身に絡みつく。
ちらりとズボンの股関部分を確認して、染みが付いてないことに安堵する。だが既に下着がぐしょぐしょに濡れているので、ズボンに染みが移ってしまうのも時間の問題だろう。
今すぐにでも着替えたいが、換えの下着なんか持っているはずもない。

だがそうこうしているうちにズボンも汚れてしまう。とりあえず教室内に居るのは危険だと判断し、適当に気分が悪いとか何とか言って、今すぐ教室から抜け出そう。後のことはそれからだ。

「せん「先生、平和島くんが体調悪いそうなので、保健室連れてきます」

「は…!?」

言いかけた言葉は大っ嫌いなノミ虫野郎によって掻き消される。ほら、早く行こうと促され、とりあえず一発殴っておこうかとと右手に拳を作るが、それよりも早く俺の耳元に小声で臨也が言った。

「(早く教室から出ないと、みんなに夢精ばれちゃうよ?)」

唇を三日月に歪ませた臨也が楽しげに笑う。

何で、よりによってこいつにバレてんだ…!
恥ずかしさよりも先に驚きと焦りが頭を支配する。驚きのあまりとっさに拳を開いた俺の手をぐいっと掴んで臨也と俺はそのまま教室から出て行く。僅かに教室内がざわめいたが(何故か女子達の黄色い悲鳴が聞こえた)、そんなのはいちいち気にしていられない。

なすがままに連れて行かれた先は保健室。幸いなことに生徒も保健医も居なかった。

「てめぇ放しやがれ!」
掴まれたままの右手を振りほどき、目の前の男を睨みつける。臨也は怖いなぁと笑いながら近くにあったベッドに腰掛けた。

「えー。せっかく助けてあげたのにその言い種はないんじゃない?」

「俺は、頼んでない!」

「へぇ、じゃあ授業中にちんこおっ勃てて射精までしてた変態シズちゃんは、あれからどうするつもりだったのかな?」

「…っ!」

「ばらしてもいいわけ?…まぁ、何もしなくても時間がたてばズボンに染みできちゃうよね。そしたらなんてごまかすの?」

お漏らししちゃいましたーってみんなに言っておこうか?あはっ

濡れた精液の感覚を思い出す。下着にピタリと張り付いた自身が気持ち悪い。臨也の言うようにこのままではズボンが濡れてしまう。どうすれば…

「そんなお困りのシズちゃんを俺が助けてあげるよ!ほら、綺麗にしてあげるから早くパンツ脱いで!」

「はぁ!?ふざけんな!誰がてめぇなんかに…」

「へぇ、シズちゃん自分の立場わかってる?ばれちゃってもいいんだ?」

「………っ」

ノミ虫の言うとおり、このままではただの変態野郎になってしまう。だからといって変に濡れた下着を大嫌いなやつの前で晒したくない。だがこいつは人の嫌がる事が大好きで、弱みに全力で付け込むような最低な男だ。何もしなければバラされるのは目に見えている。
そして俺もいつもの仕組まれた弱みではなく事実であるため否定のしようがない。

どちらも俺にとっては避けたい選択だったが、世間体を気にしたら選ぶ方は決まっている。






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