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試作品倉庫(後ろの正面…?俺だよ!!)[編集]
by エイジ
2013/09/17 16:34
連載できる程の頭がありませんので供養させてください

1P〜/後ろの正面ネタ


後ろの正面またお前か!プロローグ?[編集]
by エイジ
2013/09/17 16:38
かの少年の名を、柿崎幸といいます。
長年子に恵まれなかった夫婦に宿った第一子でありまして、歓喜した親戚一同に、やれ画数だ、どれ手相だ、とああだこうだ口を出された結果、シンプルに幸いの字をポンと押された、最終的に夫婦の一粒種となる少年でした。

彼は明るく朗らかにーー少し元気がすぎるきらいもありましたがーーすくすくと育ちます。年の頃の割には両親に強く反発することもなく、異性を強く意識する余り手酷い言葉を投げつけることもなく、クラスないし学年に一人はいるような、取り敢えず裏表のない良いやつ、と言われる少年に成長しました。通知簿にも、3から4がコロコロ並び、クラスのムードメーカーです。少しばかり落ち着きがありませんが。と書かれまして、まあ普通という枠の許容範囲内でありました。
そのまま平穏(主に周囲が)に、一生を遂げることができたら良かったのですが。

彼が義務教育を後一年と半年で終えるという頃に、修学旅行がありました。とある東北の田舎町出身の幸少年は、人生で始めて本州から飛行機で飛び立ち、沖縄へと降り立ちます。
飛行機でしりとりをして、ゴーヤチャンプルーを真顔でかきこみ、旅館の部屋でうっかり鹿に乗り移られて走り回り寝相がなぜか組み体操の形になり、寝不足の目を擦りながら朝食を詰め込んで、彼らは海岸ボランティアへと向かいました。

「旅行にきてゴミ拾いとかねーわ…」
「まーいいじゃん。どうせボランティアじゃなくてもそこらへんの何やら拾って遊ぶだろうし。ワカメとかヤドカリとか。」
「幸はいいよな…ポジティブで」
「おいちょっと見ろよこれ、ヘビ皮じやね?」
「マジか…長さ的にそれなりの大きさと見た」

流石は男子中学生、田舎出身で特に素行も良好ともあれば野生生物の置き土産など格好のおもちゃでした。打ち上げられたクラゲやら列をなしたヤドカリやら、目新しいものはたくさんあり、うっかり踏みつけられた金属片は、無造作にゴミ袋に突っ込んだあとは忘れ去られる運命でした。足裏が切れた感触はしたものの、砂を払ってみればそこは確かに無傷でありましたから。

鏃だけとなった遺物の最期の足掻きだったのでしょうか、ひっそりと己の役目を果たし、矢の残骸は翌朝ゴミ処理場で炎に焼かれました。

===
ジョジョキャラ出てませんがプロローグ。
男主の名前は柿崎幸くんです。かきざきゆき、短ランに白いベルト、ウォレットチェーンでヘアピンつけてる系男子。チャラやか。
ゲームはレースゲーより音ゲー派。太鼓の達人よりポップン。ポップンよりDDR。


続、後ろの正面またお前か![編集]
by エイジ
2013/09/17 18:13
空条承太郎のクラスは笑いが絶えない。
いや、正確には笑いを堪えられないクラスである。
高校生は、箸が転がっても可笑しい年頃ではあるのだが、それにしたって度が過ぎている。
だいたいの笑いは、席順でいうと承太郎の一つ前である柿崎という少年から伝播する。どちらかというと電波かもしれない。

国語でトラックという単語を全てドラッグと読み替えて真顔で朗読したかと思えば、理科の時間に解剖するカエルに裏声でアテレコしてみたり。サザエさんがどら猫を咥えて巨大な魚を追いかける超大作を黒板に書いてみたり、いけすかない教師のズラをさりげなく引っ掛けて何食わぬ顔で通り過ぎて、教室に入ってきたところを大爆笑してクラスのヒーローになってみせたりした。
空条少年が不良のレッテルを貼られているのに対して、柿崎少年は悪ガキのレッテルを貼られていた。

同じ高校になってから交流を持つようになった少年は、よく言えば明るくフレンドリー、悪く言えば暴走ダンプカーであった。ブレーキの代わりにアクセルがふたつある。
そんな柿崎少年は、入学式当初から持ち前の長身と強面で人との距離を開けていた承太郎に、ホームルームのあと笑顔で突撃してクラスを震撼させた。バチィンと強烈な音を立てて背を叩き、ああ空条?俺柿崎ね、お前の前の席だからよろしく!と至極爽やかに告げ、軽やかにカバンを引っつかんでそれじゃ、と後ろ手に手を降って下校していった。
急カーブを曲がらずに突っ込んでその勢いのまま無事に過ぎ去った柿崎少年に、同じ中学校出身のメンバーは悟った顔で通常運転です。と頷いた。

つれなくあしらってもそのうちまたケラケラ笑って絡んでくる柿崎少年とは、周囲からはお互いにストッパーになってくれればいいなぁ、なんて儚い望みをかけられては二人セットに扱われた。否が応でも交流が深まり、親友までは行かずともトモダチ?レベルにまでは絆された。
本気で迷惑そうにすれはさりげなく察してふらりと居なくなる柿崎少年は、それなりに友情めいたものを感じていたのである。



「くーじょーどしたん喧嘩ァ?」
「柿崎」

保健室でDIOの部下と名乗る少年をぶちのめして連れ帰る途中、短ランの少年にふいに背後から声をかけられ、承太郎はめんどくせえな、と振り返った。例に漏れず今日も機嫌良く笑っている。窓枠に肘と背を預けて、ケラケラと笑いながらこちらを伺っている。何が面白いのやら。

「喧嘩売られた。買った。話聞き出す為に連れてく。」
「花火してなかった?」
「あぁ?」
「緑の」
「…あぁ?」

空気が凍ったように思えた。エメラルドなんたら(※スプラッシュ)のことだろうか。こいつもスタンド使いか?

「お前もDIO様がなんたら言うのか」
「ディオサマ?様付け?お前様付けるような奴いんの!?マジで!?」
「…いや、いい。ちょっと俺ん家まで来い」
「また花火すんの?」

しねえよ、と吐き出して家路に着いた。


===
通常運転が((´∀`))ケラケラしてる。
笑い続けて腹筋割りました。


後ろの正面3[編集]
by エイジ
2013/09/27 18:26
肉の芽を抜かれ、トランス状態のようなものから抜けた花京院典明は、ようやくその時興味深そうにこちらを覗き込む、空条承太郎とは別の少年に気が付いた。
おそらく天然物だろう、明るいブラウンのショートヘア。人懐っこそうな顔がこちらを伺っている。立て膝を建てた時に、腰にぶら下がる重ね付けされたウォレットチェーンが音を立てた。

「元気になった?」
「…え、ええ…。君は?」
「ああ、俺?」

俺、ユキな。カキザキユキ。果物の柿に山偏に奇妙の奇でざき、幸せって書いてゆき。お前は?
にこにこと、何の邪念もなさそうに告られ問われ、対人関係が△…もう少し頑張りましょう、な花京院は若干まごついた。

「え、えと、花京院典明です。花の京都に病院の院、で花京院。典雅に明るいで典明。」
「そっか!なんか書生さんみたいな名前だな!袴にブーツとか似合いそう」

思わず字面まで説明して、つられてしまった…と花京院は真顔になった。そして、本人にはそのつもりはないだろうが、コスプレが似合いそうだと言われてうっかりきぶんが上昇した。安いものである。余談だがこの時、柿崎少年は、花京院って悪魔使役する書生のライバルキャラで出そうだよな…と考えていた。主にマレビト的なアレである。承太郎はああ、柿崎は通常運転だな、と遠くを見ていた。初対面でもグイグイきて、ふっといなくなったかと思えば気がついたら後ろに立っている。
文章にするとホラーだが柿崎少年相手ではただ膝かっくんの警報である。入学当初から絡まれ続けて、承太郎はそのうち膝かっくんのタイミングに合わせて後ろに頭突きするようになった。初めて反撃されてバランスを崩した柿崎は靴棚の下に引いてあるすのこの上をゴリゴリ転がった後、ふへァァーーッwwwwwwと腹筋崩壊して涙目で呼吸困難を引き起こしていた。通常運転です。
それから二人は膝かっくん、もしくは脇腹擽る攻防をクラス替えの後同じ教室に押し込められても続けている。

「ああ、そうだ!お前ら花火やってたろ?」

なんだよ誘えよなあ?ケッコー盛大だったじゃん。あの緑のやつー、と話題が急激に本題に入る。通常運転です。
窓から見えてたぜ!ガッコー燃えなくてよかったよなァとのんきに喋る柿崎に、花京院は驚いて法王の緑を呼び出した。

「君、この子がみえるのかい?」
「オー見えるよ?ミカヅキモとかそんな感じだよな!」
「ああ…JOJOには光るメロンって言われたよ…」
「ひwwwwかwwるwwwwwwめろwwwwんwwwwwwwファーーーーーwwww」

ゴロゴロゴロ。腹筋を盛大に引きつらせながら柿崎少年は転がって襖に激突し沈黙した。初めて少年の爆笑発作を見た花京院は肩をビクッとさせた。しかしこれが通常運転です。どうか慣れてください。

=====
基本的にはいつもニコニコあなたの後ろに忍び寄る混沌柿崎幸少年。しばらく慣れるまでは爆笑発作の起こるたびにびっくりする花京院。
それを乗り越えたらノリノリな典明になる花京院。
悟った承太郎。クルセイダーズの明日はどっちだ。



続き。[編集]
by エイジ
2013/10/04 16:08
「ああ、そうだ、お前もスタンドが見えるんだな。」
「スタンドってなんぞや」

出しっ放しだったハイエロファントの隣にスタープラチナが出現する。こういう奴だ、と承太郎が言っても柿崎少年は首を傾げた。

「わかんね」

なんか守護霊的なあれ?俺霊感零感だし、でもそれは見えるなァ。と高校生2人のスタンドを眺めている。入ってきたジョセフとアヴドゥルがハーミットパープルとマジシャンズレッドを呼び出してみても同様だった。

「ふうむ…まだ明確なビジョンが定まってないのかもしれんのう…」
「なにか今迄不思議な出来事にあったりしなかったか?」

アヴドゥルが問う。んんんー?と首を傾げた柿崎は、特に…と眉を寄せた。人にできないことを出来たりは?と聞かれて、パッと表情を明るくさせた。選手宣誓の如く右手を真っ直ぐ挙げ、後ろの正面だぁれ!と叫ぶ。
途端、柿崎少年の姿が消えた。

「ッ!?柿崎!?」

突然いなくなった友人に驚いた承太郎が片膝を立てる。柿崎少年をこっそり警戒していたジョセフたちはすわ攻撃かと腰を浮かしたが誰も次の動作に移らないまま、シパンッと小気味好い音を立てて承太郎の後ろの、先ほど柿崎少年が激突した襖が開いた。

「ワンダホー、ニッポン!」

決めポーズした少年がドヤァ…と満足気な顔で立っていた。あ呆気にとられた面々を見回し、あまり受けなかったなァ⊂((・x・))⊃と真顔になってその場に正座する。

「これ駄目だった?」
「いや…」

駄目というより反応に困る。微妙な生ぬるい空気が流れた。これスタンド?いやワシに聞かれても。年長組がアイコンタクトを交わす中、とってもシンプルかつ使い所に困る能力を示して見せた少年は膝を抱える。

「今の面白くなかったかなァ…」
「いや、多分ビックリしたんだと思いますよ…」
「おう…」

膝かっくんに便利なんだけどなァ。と柿崎少年が呟くと、額に青筋を浮かべた承太郎が口元を引きつらせた。いつもいつも気配もなく後ろから膝やら脇やらに理不尽な衝撃を加えられた根拠はこれか。スタンドってあんな下らない事に使われるものなのか。頭の中を暴風雨のように駆け巡った腹立たしさを押さえ込んで承太郎は声をあげた。

「出来るようになったのはいつだ?」
「ええ?中学の時位」
「他に何ができる」
「何がってあれしか出来ねぇし」
「そうか…」
「どうやったらその守護霊っぽいものでるの」
「どうやってって…僕は昔からいるのが当たり前だったしなあ」
「絡まれてたら出たぜ」

うむ。参考にならない…と体育座りの少年は膝に顎を乗せた。

「でろー。」

出ました。びっくりするほどあっさり。


おかっぱ頭の女の子が、座り込んでいた幸少年を覗き込んでいました。


=====
続きます。


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