▼ 会話メモ*



「僕はこの百年間ずっと人間達を見続けてきた。思いやりは嫉妬に変わり、嫉妬は憎しみに変わり、憎しみは慈悲に変わる。人々はそれを繰り返し生きている、なぜ学習しない?他人に与える感情なんて全て無意味な事なんだ。他人に裏切られ自分を見失い、多くの人間が自らの首を絞めてきた。」

「君は寂しい人なんだね。無情が悪いわけじゃない、それも一つの生き方なのかもしれない。でも、人は誰だって他人の助けなしじゃ生きていられないの。人と人を結ぶのはいつの時代だって絆だけ…それはお金じゃ買えないし、他人に求めても中々貰える物じゃない。そこに価値があるんだと、そうは思わない?」

「絆なんて脆い物さ。何年何十年かけて積み上げたとしても、たった一瞬で失ってしまう。その時の失望感が人々に憎しみを、そして殺意を抱かせてきた。絆は人々を繋ぐ鎖になる。それは、あるべき運命を辿れなくなるだけの足枷なんだ。だから絆しはいらない」

「例えば、君と私に足枷が繋がっていたとしたら、私が転けた時に君も転けてしまうかもしれない…でも、君が崖から落ちそうになった時には私が君を助けてあげられる。人と人を繋ぐ絆は悪い事ばかりじゃないんだよ。それは絶対無意味な事なんかじゃない、人々がずっと大切に守ってきた物なんだ」

「いいや、人間はどこまでいっても所詮他人同士だ。僕と君の鎖を切ろうとする者が現れたら?その者は故意かもしれないが無意識かもしれない、そうでなくても自然と錆びてしまったり、逆に鎖が絡みついて取れなくなってしまうかもしれない。どちらにせよ運命を狂わせる嵌めになるんだ」

「君のいう運命ってなんだろう?人生は偶然や奇跡の結晶だと思う。必然なんて計算上にしか存在しない、それは決して運命とは言わない。人々が一緒に笑いあったり、憎しみあったりするのも全部運命なんじゃないのかな?絆の無い世界で生きてきた君には到底理解出来ないのかもしれないけれどね」

「黙れよシルキィナ、やはり君と僕ではお互いを理解し合うのは無理なようだ。僕は決して他人とは深く繋がらない。いつだって人々を傍観する立場にあろう。…君なら話が通じると思ったんだけどね、残念だよ」

(君は、気付いているのに気付いてないフリをしてるんだね。誰よりも臆病なのが自分自身だと。)




2013/06/10 07:16 (0)

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