「バラさんはいねがーっ!!!!」 「はいはーい。なにかな柚乃ちゃん。あらあら皆さんお揃いで、どったのー?」 「世界史の教科書を借りにきたんだ」 「へぇー。保が忘れ物なんて珍しいねー」 「たった今、和希に貸した所だ」 「俺のは柚乃に貸しちまったからな」 「んんー?ごめん、ちょっと意味わかんないわー」 「とにかくバラさんは、たもっちゃんに世界史貸したげてよ!」 「うん、まあ…、いいけど?」 「…初めから柚乃が樹に借りに行けば、こんな面倒なことにならなかったんだけど」 「あらやだ、それは言わない約束でしょ!しーっ」 「いやしてないし、約束とか」 「私たちの仲じゃない!ちょっと面倒な貸し借りしてみたっていいじゃない!」 「お前は借りただけだろうが」 「ぐっ、確かに…」 「あ、じゃあ俺も借りていーい?」 「よしきたァァ!これで貸し借りの輪の完成ですぞ!」 「お前が持ってる教科ならな」 「で?樹は何が借りたいの?」 「保体と家庭科ならまかせてよバラさん!」 「また頭悪いのバレバレな科目チョイスしたな」 「うん。じゃあ、柚乃ー」 「なあに?」 「柚乃をさ、貸してくんない?」 「お、お前えええ!すげーいい笑顔で何言ってんだ変態がァァア!!!」 「やだもうバラさんったらあ!あたしケーキが食べたいなー!」 「じゃあ今日の放課後借りに行くから、教室で待っててくれる?」 「合点承知の介でありんす!」 「お前安いな!!」 「簡単にレンタルされないでよ。なんなのほんと」 「大丈夫だよ、ちゃんと家まで送るし。まあ本当は返したくないんだけどね」 「紳士気取りの変態は滅しなよ」 「ケーキ超楽しみだなー。やっふーい!」 「お気楽バカが」 「信用ないなー俺。なんもしないのに」 「なんかするやつは大概そう言うんだよ」 美味しいとこ取りの男 幼なじみ4 原田 樹(ハラダ イツキ) |