暁 | ナノ
微睡(利安と太兵衛)
「また熱が出たんじゃないのか、万助」
「…たいしたことない」
そう返すと腕が伸ばされる。
ぴたりと額に当てられた手はひやりとしていて、火照った顔には酷く心地好い。
利安が舌打ちするのが聞こえた。
額の手が離れる。名残惜しい。
「説得力皆無なんだよ」
「俺は平気だよ。善助、酒飲みたい」
「馬鹿か」
さっさと寝ろ、と溜息混じり。
流石にムッとしたが、額に乗せられる濡れた手拭と触れた冷たい手が心地好くて、瞳を閉じる。
大坂の陣くらいで寝込む太兵衛と看病する利安とか
熱が振り返すとか
お酒大好き太兵衛とか
うん