何でこんな事になったのか、刹那には全く理解できなかった。数時間前まではニールと刹那の結婚を記念してライルが提案してくれた食事をしていたというのに。何がどう転んでこんな状況になるのか刹那は必死で考えていた。おかしい。


「んー…肌スベスベ」


そう言って背中を撫でるのは愛する夫・ニールの双子の弟であるライルだった。その愛する夫は刹那を膝抱えにしている。困惑する刹那本人は、一糸纏わぬ姿を双子に晒していてその上体中を撫で回されている。おかしい。刹那は再び思った。


「やめ、…なんでライルが 居るっ…」


「なんでって…俺居ちゃいけないか?」


「良いじゃねぇか。さっきみたいに三人水入らずで楽しもうぜ?刹那」


「な……っ!」


何を言い出すのか、ニールは酒に酔っているのかと疑問に思うもその様子はない。そもそも先程の食事に酒は一切出て来ていない。


「刹那って本当に可愛いな。体つきとか肌とかすげー俺好み」


「だからっ、触るな…やめろ!」


「大丈夫だよ刹那。ちゃんとするから」


「何を…っあ!」


上半身を預けていたニールに軽く肩を後ろに押され綺麗にバランスを崩す刹那。後ろに倒れ込む刹那の体をライルが支えて刹那はライルの腕の中に背中から飛び込む形になる。


「俺は初めて使うから加減が解らないけど…兄さんなら解るでしょ。ハイこれ」


そう言ってライルがニールに差し出したのは理科の実験で使う薄いピンク色をしたスポイトの様なものだった。吸い込み口が丸くなっていて見た目は少し愛らしい。しかし、刹那には何に使うか検討も付かない。刹那はライルの腕の中で、ニールの手に渡ったそれをただ見つめるだけだった。上半身はライルに預けているものの、下半身は未だニールの膝の上にあって腰を跨ぐようにして足を開いている。ニールの視線が一切毛の無いそこに注がれて嫌な予感がした。


「ニール、何を…っ」


「気持ち良くなるだけだよ」


にこりと微笑んだニールは、べろりと赤い舌でスポイトの吸引部分を舐めた。指にそれを挟んで持ったと思ったら、次に刹那の陰唇上部に指をかけ、くにゅりと可愛らしい感触と共に包皮を捲りあげた。しなやかな指が一旦ニールの口内に消え再び姿を現した時、指先は唾液で豊潤に潤っていた。その指を包皮が捲られ剥き出しになっている陰核に塗り込むように擦りつけた。


「あ、やぁっ…止め…っ」


僅かな快感に内股を震わせる刹那は制止の声をあげた。それでも止める気配がないとニールの手を掴もうとするが、ライルに押さえ込まれて身動き出来ないのだ。刹那はようやくここで自分の身がこの双子の兄弟の手の内にある事を実感した。そんな事を考えている間に、腹部にチリ、と痛覚にも満たない感覚が走った。はっとして自分の腹部を覗き込んで見れば陰核のある場所にスポイトがピッタリとくっ付いてそそり立っている。これは何?さっきニールが持っていたものが自分のそこにくっ付いて…。一瞬の逡巡の後、先ほどライルからニールに手渡されたものがこういうものに使うものだったのかと理解した。


「へぇ、面白いな」


「あっ…!」


物珍しげに声を上げたライルが刹那の陰核に吸い付いているスポイトを摘んで、外れないよう微妙な力加減で動きまわす。やわやわと与えられる快感に刹那は体を引き攣らせた。ライルに弄られている陰核も、その下でひくひくと蠢く膣口も、足を惜しげもなく開いているからニールには全てが丸見えだった。嫌だと言いながらも感じてしまうのは自分の行為の賜物か、とニールは心中で一人ごちた。薄い色をしている所為でスポイトに吸い上げられている陰核が見えた。敏感な器官をそんな風に弄られたら嫌でも感じるか、と口元を緩めた。眼下で潤いつつある大切な部分を見つつニールは口を開いた。


「刹那のココ、すげぇ濡れてきた」


「言わ ないでっ…」


陰唇を左右に広げると淡い色をした膣口がうっすらと口を開けていて、その隙間からトロトロと愛液が滲み出している。


「気持ち良いんだ?」


耳元で囁かれ吐息が直に届き、背筋を這い回るむず痒さに困っているというのに追い詰めるようにライルは刹那の耳殻にしゃぶりついた。
「ひあっ!」
ちろちろと這い回る舌の感覚に肩を震わせる刹那の胸の頂をニールの指が捏ね始める。陰部同様淡い色の乳首がニールの指の中で徐々に勃ち、ぷくりと形を成した。


「いつも以上に敏感だな、刹那…」


「ニー、ああっ!」


無防備なソコに突き立てられたニールのしなやかな指は一瞬の間に刹那の奥にまで侵入してきた。大きな抵抗もなく容易く入ってしまった指の感覚に小さく喘ぎながら刹那は身を捩った。ライルには体を押さえつけられながら耳と陰核を犯され、ニールには胸の頂と陰部を弄ばれ刹那の思考は停止しそうだった。体の中が燃えるように熱く二人が触れる部分全てから快感が流れ込んでくるようで…息も絶え絶えに刹那は声を上げる。


「いや、ひあ…お願い……やめて…! ん、っあ」


「何でだ?こんなに気持ち良さそうなのに」


「怖がるなよ…ほら、ココ。弄られるの好きだよな」


ニールの言った膣の中の“ココ”を執拗に撫でられて刹那は体を一瞬大きく痙攣させた。スポイト越しとはいえ、遠慮のない動きで陰核を嬲られながら膣内の性感帯をピンポイントで突いてくる熟知されたニールの指の動きに刹那が限界を感じた。陰部が熱い――、ぐにゅりと柔らかい膣の壁に突き上げられた指先。体の中で何かが蠢いた。その何かを助長するようにライルがスポイトを今までにない強さで引っ張った。


「やっやだだめ…それ以上…」


強くされたら…刹那が言葉を紡ぐ前に二人は行為を荒らげた。


「…あああっ……!…!」


ぎゅううう、と膣が収縮したのを感じたニールは刹那が達した事を確認して満足げに微笑んだ。その様子を見てライルも刹那の様子に気がついてスポイトから手を放す。ひくひくと体が震えている刹那の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。


「はぁっ…あ、…」


「泣いてる顔も可愛い」


ライルはそう言って潤んでいる目に唇を落とす。涙を拭き取るように動きに抵抗の色はなく、刹那はライルにされるがまま脱力している。にも関わらずニールの眼下では小さな入り口が何かが欲しいと僅かに蠕動しているのだ。ニールは昂ぶっている自分のものに手を添えると前置きもなしに刹那の膣口に宛がった。


「…っ…にーる……!?」


「悪いな刹那」


「ひゃああっ!」


イッたばかりで辛いかも知れねぇけど直ぐ善くしてやるから、言うが早いかさしたる抵抗もなくニールの陰茎は刹那の膣に収まった。奥の奥まで満たされている感覚に腰が戦慄く。


「兄さん、これ邪魔じゃないか?」


弄っていたスポイトに再び手をやるライル。深く挿入されて陰核の所にそそり立つスポイトがニールの恥骨に当り陰部全体がムズムズとして仕方がない。


邪魔じゃないか―――


独り言のように言ったと思ったら、先程同様に全く遠慮のない力加減でスポイトを捻りあげた。吸引されていた陰核もその動きに合わせて刺激され快感を生む。


「ひぃっひゃめ…て らいる いやああっ!!」


陰核をグイグイと引っ張られる動作に比例して刹那の膣が収縮する。蠢き暴れる膣肉にニールは陶酔した吐息を吐く。自分のものが深く挿入された真上で強制的に陰核を引っ張り回され、視覚的にもニールを煽って仕方がない。


「あっああ…!熱、い いやだっ…ああっっ!!」


「っと…ほら取れた」


余程吸い付きが強かったのか漸く本来の姿を現した刹那の陰核は赤くなりいつもの数倍に膨れ上がっている。包皮を押し上げ、まるで触ってくれと主張しているように見えた。スポイトが突っかかる事もないのでニールは刹那の腰を持って更に深く挿入する。互いの恥骨が密着したのは良いが刹那には陰毛がなく、剥き出しの陰核にニールのそれが当って更なる快感を生み出した。


「ひゃあああっ…ひ、にー、る 擦り付 け…ないで…!」


「仕様がないだろ…こんなにくっ付いてるんだ、擦れて当たり前…っ」


「んあっ!っあっああ…!やめて…おかしくなっちゃ…っぅああっ」


腰を振る度にぐぬぐぬと卑らしい音を出す二人の部分、溢れ出した刹那の愛液は臀部を伝ってライルの足に到達する。

「ハハッ、大洪水だな刹那」


「あ、っああ…!」


恥ずかしい現実を囁かれ羞恥に喘ぐ刹那。その間にもニールは刹那を責め立てて快感を与え続けている。全身に感じるニールの動きに早くも刹那は二度目の絶頂を迎えようといていた。足の付け根が震えて体の芯がひんやりと感じるのに熱い。刹那は自分が達してしまうのを察してニールに懇願する。


「やら…ああっイっちゃ…!やめ…ひやあっ!」


「またイくのか?さっきイったばかりなのに」


「刹那、俺が手伝ってやるよ」


ライルは心底楽しそうな声を出して刹那の腹部を掌で摩りながらソコを目指す。ニールがライルの弄りやすいようにと腰を離す。ライルの指の向かう先、ニールが取った行動で快感で蕩けた頭が一瞬にして目を覚ます。この状態で弄られたらひとたまりもない…!


「うっわ、凄ぇヌルヌル…」


「ひ、いやああっ!やだやだやだ…っ触っちゃ、…んひゃああっ!」


膨れた陰核を指で摘んで摩りあげられた瞬間、刹那は勢いよく潮を吹いてライルの手とニールの服を汚した。達した締め付けによってニールも刹那の中で爆ぜた。吐精した心地よさにニールは声をもらし、中に出されている感覚に震え二人を汚してしまった罪悪感と羞恥とで泣き出す刹那。


「泣くなよ刹那…」


「…っだって こんなの…!」


二人がかりでこんな事するなんて、刹那は目からハラハラと涙を流して泣きじゃくった。今まで普通に接していたニールとライルがまるで別人のように感じられて少し怖かったのだ。つっかえつっかえそう紡いだ刹那をニールは苦笑いして、抱きしめる。背中に回させた手はいつものように温かくニールそのものだった。次いで後頭部に感じたぬくもり。ライルが髪を撫でながら刹那の腰に手を添える。


「ごめんな刹那。俺が兄さんに無理言ったんだ」


「…え、」


ニールにしな垂れかかるようにした状態のまま顔を半分だけライルに向けた。真後ろに居る所為で顔を見ることは出来ない。ライルが刹那の肌を撫で回し始めると我慢出来ないのか鼻から抜ける色っぽい声を出す。再開された愛撫に明瞭としていた刹那の思考回路もやわんりと判断力を失う。ライルがニールに何を言ったのか――。


「んんっ」


「俺と刹那が結婚するって聞いて一番喜んで一番凹んだのがコイツなんだよ」


「ふぇ、どう いう…」


「好きな人には幸せになって貰いたいんだけど、俺も諦められなくてさ」


未だにニールと刹那が繋がっている部分から愛液を掬い取って指に馴染ませながらライルは呟く。つい、と指が宛がわれたのは本来なら性行為で使われる筈のない場所。刹那はゆっくりと侵入してくるライルの指に恐怖を覚えて弱弱しく頭を振る。怖いとニールに助けを求めても額にキスされるだけで、体を抱きしめている。後ろが広げられる違和感に不自然に体を震わせて刹那は悲鳴をもらす。


「らい…るっ…ひゃら…」


「諦められないから、俺の中で区切りをつけるためにこうやってるんだ」


刹那の意思を無視したみたいになっちまったな、とニールが後付して怖がる刹那を宥めながら言った。一方的にされて不安に思っていたが、負の感情を抱いていた訳でないと理解すると安心して体の力が抜けたような気がした。その途端に体がじわりと温かくなり、後孔に感じるライルの指をきゅ、と弱く締め上げた。


「あ、っ」


「!…痛いか?」


刹那に問いかけるニールの声を聞いて動きを止めるライル。動きを止めた指に戸惑う刹那の表情にうっすらと快感の色が見えたのか、ニールは「気持ち良いのか?」とからかうように言った。


「わ からな、い…っなんか 変っムズムズする…んぅっ」


ライルはそれを聞いて孔を広げようと徐々に奥へと指を押し込む。押し込んでは少し引き出し、感じる所を探そうと探りながら再び押し込む――そんな動きをされ、体が反応して刹那の膣がニールの陰茎を締め上げた性でニールのものが大きさを増してきている。膣と後孔とを触られて体を震わす刹那は快感の所為か涙をポロポロと流し、開いたままの口の端からは涎が伝う。


「もう、良いよな……」


引き抜いた指がズボンのジッパーを下ろす。痴態を見て既に大きくなっているライルの陰茎が下着から窮屈だと言わんばかりに飛び出したのを霞む視界の隅で見た刹那は襲い来る未知の感覚に震えた。膝裏をニールに支えられ、柔らかい尻肉をライルに広げられる刹那。恥ずかしい所が丸見えだ、と思うと下腹部が切なく疼いた。綺麗な色の後孔にライルの亀頭が宛がわれ、ゆっくりと侵入する。押し入ってくる感覚に大きい熱、慣れない感覚にどうして良いか解らず目の前にあるニールのシャツを掴み目を堅く閉ざして息を止める。力んだ所為で孔がきゅっと締まり、ライルの侵入を妨げた。


「…っ刹那…!」


「ふ、ぅん…っ」


ただでさえ狭いのに力んだ為に入り口が更に狭まった。亀頭だけが埋まっている状態で早くこの温かい中に入りたいとライルはやきもきした。


「刹那、力んだら辛いだけだろ」


「んんっ―――ふぁっ」


がぶ、と噛み付かれるようなキスをされたと思ったら口内に忍び込んできたニールの指。口を閉じることが出来ない所為で力めなければ自然に溢れる声を抑えることも出来ない。その隙を逃すまいと腰を押し出すライルに動きに刹那は痩躯を震わせて喘いだ。


「あっあ だめ 中…っ―――――!!」


一瞬だった。弄られたことがない器官が大きく広げられて中にライルのものを受け止めている。不思議と痛みはなく、感じるのは脈打つライルの陰茎の熱さだけだった。膣にニール、後孔にライルを感じて刹那の体はかつてない程に官能に浸っている。


「痛くは――ないみいだ」


「そうだ、なっ」


「ひゃあ!」


ニールが腰を押し上げると背中をしならせて喘ぐ刹那。断続的に締め上げる膣の動きに先程吐き出された精液が滲み出す。それと活塞運動の所為で刹那の膣口は白く泡立つ。ライルも小さく腰を動かして快感を引き出そうと変則的に動く。前後から施される愛撫に下半身を戦慄かせて悶える刹那の様子は妖艶そのものだった。肉壁一枚隔てた所で交互に揺さぶられて、口から紡がれるのは嬌声ばかりの意味を持たない悲鳴。


「ら、めっ…あっああぁ、 あんっひゃうっ…!!」


「お尻 気持、ち良いんだっ…?」


「刹那の中、さっきよ り、ドロドロ…っ」


目一杯、中に挿入されて度を越した快感に自失状態になっている刹那は、動きに合わせて腰を揺らめかす。蕩けきった瞳は少々虚ろで口元も緩んで微笑んでいるようだ。限界を感じたライルは刹那が達している時に出したいと本能的に思い、腕が脇の下を通り陰部の上部に指を伸ばす。慣れた手付きで陰核を摘まんでやはり遠慮なしに捏ね繰り回した。


「っああ!らいるそこ…だめぇっ熱、…うひゃぁぁあああっ!!」


「お前、ソコ好きだな…俺も好きだけど」


「刹那のココ、すげぇ敏感で、さ…っ」


コリコリと陰核を弄られて刹那も一気に絶頂へ向かう。


「う、やだぁっ…あつい ああっああ あああ、壊れちゃ っ」


「大、丈夫…壊れやしねぇさ っ」


「刹那、刹那…っうぐっ!!」


「あ  っらめ、っぁぁあああああ――――っ!!」


凄絶な締めつけに二人は耐えられず本能のままに刹那の中に精液を吐き出した。あまりの快感に体の先まで力が入ったライルは摘まんだままだった陰核を更に抓りあげた。


「あ、あ!らい……はじ………っっ!!」


弾けちゃう―――――そう言う前に刹那の体に弾けるような開放感が襲う。透明な液体を吹き再びニールの服を汚した。中に出されたのと潮を吹いた衝撃とで刹那は意識を飛ばした。くたりとニールの胸板に沈んだ刹那の中から二人して陰茎を抜き出すと後を追うように中出しされた精液が溢れ出してくる。


「兄さん、…」


「ん、」


事後の気だるい雰囲気。刹那の体から薫る色っぽい匂い、癖になりそうだと思いながらも言葉を紡ぐ。諦めるためだと自分に言い聞かせるように、その反面心のどこかで抱いている汚い期待が現実のものとなるように、よく解らないない交ぜな気持ちで。兄がそんな人間ではないと解っていても期待する自分が忌まわしい気がした。


「刹那を泣かすなよ」


猫っ毛な刹那の髪を撫でながらライルは言う。


「泣かしたら、俺が―――」


ライルから告げられた言葉にニールは一瞬目を丸くして、苦笑いをしながら心しておくぜ、と言った。


寵愛
(気持ちに蓋は出来ない)