勢いとはいえ刹那にキスをしてしまってからというもの、今まで以上に甘えてくる刹那にニールは困っていた。猫である刹那があんな行動に出たのは発情期を迎えたからであった。


「刹那、動きにくいからあっちで待ってろ」


「んにゅ…」


腰にしがみついて離れる様子のない刹那。尻尾までがニールの足に絡みついている。朝食を作ろうというのに、こんながんじがらめではまともに調理など出来る訳がなかった。


「な、良い子だから。あっちで座ってろ?」


「…ゃ」


小さな否定の声にニールは仕方ない、と刹那を軽々抱き上げリビングのソファまで連れてきて大人しく座らせた。しょぼんと耳を倒す刹那は淋しげな目でニールを見る。そんな刹那に気がついたのかニールは微笑みかけながら語りかける。


「何も嫌いだからあっちに行けって言ってる訳じゃないんだぞ?」


あんなにくっつかれちゃ朝ご飯が作れないだろ?と言って刹那の頭を撫でてニールはキッチンに戻っていった。その後ろ姿を見ていた刹那はニールの姿が見えなくなるとソファにぽすんと沈んだ。白い天井が目の前にあって、少し顔を横に向けると大きな窓があってその窓から澄んだ青空が見える。刹那はその光景をじぃ、と見つめて身動きひとつ取らなかった。


「暑い…」


ワイシャツ一枚じゃ透けてしまうからとその上に着せてくれた薄手のセーター。火照る体を冷まそうとセーターを脱ぎ去って再びソファに横になる。ソファの冷たさが熱を持つ刹那の体には心地よく感じた。体の向きを変えた所為でワイシャツの裾が太股まで捲くれてしまったのだが刹那は気にすることなく足を伸ばす。ふと、自分の胸元を見ると、ワイシャツの表面に小さな出っ張りがあることに気がついた。


「…? にゅっ!」


そっと指で摘んだ瞬間、刹那の体に電流が走った。その出っ張りが自分の体のものだと確認した時には既に刹那の指先は忙しなく動いていた。


「ん、 ふっひゃぅ…」


くにくにと捏ねる度に体中が切なく疼いて更に体を火照らす。顔だけソファに突っ伏した体勢になって後ろから見たら丸見えになっているだろうショーツの股の部分をきゅっと掴む。自分で触って熱を治めようと思ったが、ニールに「そんな事するもんじゃない」と言われたのを思い出し、そっと手を離そうとするが刹那の中で一瞬の葛藤があった。こんなに苦しいんだからと先に進むのを後押しする声と、ニールにまた怒られてしまうと思いとどまる声とが頭の中でグルグルと駆け巡る。しかし何故ニールはここを触るのをあんなに怒るのだろうか。刹那の脳裏にふと過ぎった疑問は、ショーツを掴んでいる掌がしっとりと湿っているのに気がついた時点で瓦解した。刹那はショーツの隙間から恐る恐る指を差し込んだ。


「ひゃ、う」


ぬめぬめと滑る股に驚きながらもするりと指を肉の割れ目に擦り付ける。その肉の割れ目の天辺にちょこんと小さく突き出す突起を探り当てて刹那は膝を戦慄かせた。気持ちいい。頭の中がそれでいっぱいになってしまって何も考えられない。一心不乱に突起を弄って体をヒクつかせていた刹那にヌッと影がかかった。霞む目でその影を見ると、そこに立っていたのはニールで、目を少し見開いて驚いている。


「あっ…」


怒られる。そんな不吉な未来を予想していても刹那の指は止まらない。一向に突起を拙く弄っている。


「まったく…お前さんは。するもんじゃないって言っただろうに」


ニールが何か言っている。視覚だけじゃなく聴覚までもが霞んできた刹那はニールの言葉をちゃんと聞き取れない。でも、何で、何で止めようとしないの、何で見てるだけなの?刹那は小さく喘ぎながら指を早める。


「でも辛いものは辛いよな。我慢はいけない、か」


ニール、ニール。何を言っているの?影が動いて、刹那の前にしゃがんで優しく頭を撫でて優しい声で、ニールが言った。


「手伝ってやる」


「ふ、ぇ?」


ニールの指先がショーツの隙間を掻い潜って先ほどまで刹那が往復していた肉の割れ目をぬちぬちと掻き分ける。初めて外から与えられる快感に刹那は蕩けた悲鳴をあげた。どの瞬間にどこに触れるか解らない、不意の弄りに体を跳ね上がらせる。


「あっ、にゃァ ひぃああ…」


ニールの指が肉を左右に広げて、一番長い中指が中に侵入してきた。その途端に刹那は体内を曝け出されたような感覚に捕らわれて背中を反らす。ニールは刹那の顔を見ていて、その大事な部分には目は遣っていない筈なのに、ニールに見られているような錯覚に陥った。ゆっくりと出入りをする指を感じて刹那は頭を振った。しらないしらない そんな所に入り口があったなんて ニールの指がそんなに奥まで入るなんて こんなに蕩けてしまっているなんて ニールの指がこんなに気持ちいいなんて。


「みっ… にゃぅっ…あっああ」


「ほら、刹那。さっきみたいに自分で弄るともっと気持ち良いぞ」


「はぁっ あんっ……ひ、」


下半身の突起をきゅっと摘んだ瞬間に、信じられないほどの大きな快感に襲われて刹那は息を飲んだ。怖いと思ったのは瞬間で、ニールから与えられた愛撫に呼応するように自分の突起を慰める。その度にきゅうきゅうと締まる膣にニールは刹那の限界を感じ取り指を早めた。


「ひにゃっ、にー る、ニーる、…っあ!」


「ここ、か…!」


「ひゃ、にゃ、 やめっそこ…!」


一点を重点的に突かれて刹那は声を抑えることなく喘いだ。激しい出し入れにソファに刹那の愛液の飛沫が飛んで点々と跡をつけた。


「にーるっあっああっみぅっ ――――――!!」


指を締め上げる強さは凄まじく、きゅるきゅると絞り取るように蠢いている刹那の膣から彼女自身の愛液が溢れてソファに垂れた。


「あっ はぁっ…」


「刹那、大丈夫か?」


「にー、る」


ニールの名前を呼びながらも膣は未だに指を締め上げていて、離そうとしない。とろりと零れ落ちそうな潤んだ目で刹那はニールを見つめて言った。


「にーる、好き… いっぱい、し て………」


と、この先を望む事を呟きながら刹那は目を閉じた。小さな寝息が朝のリビングに似つかわしくないほどに色っぽい。


「いっぱい、か。起きたらしようか…」


ニールは刹那を抱きしめてベッドルームに向かった。