「ロックオン……」

ベッドに入り眠りに就こうとする頃、酷く甘えた声で刹那が強請ってきた。薄いシャツにショーツだけという際どい服装ですり寄って来る刹那の頬は心なしか紅潮していた。

「…ロックオンてば」

「んー、なんだ刹那」

刹那の言いたいことは手に取るように解っていたロックオンだったが、敢えて口にしない。暗がりの中で衣擦れの音がしたと思うと、腹部に感じた重み。目を凝らして見てみれば、普段は然程積極的でない刹那が馬乗りになっているではないか。上半身に何も纏っていないロックオンの肌に刹那の脚が触れる。むち、と張りのある肌がだいぶ熱を持っていた。

「………駄目 か?」

シたい、と自ら言う刹那はいつもより欲情的で、ロックオンに加虐心を芽生えさせる。

「あー…ちょっと疲れてるんだよ、俺」

「っ、ロックオン……」

否定の返事を仄めかすと刹那は酷く残念な表情を浮かべると同時に、再び甘えた声を発する。

「お願い、ねぇ………」

「………………」

「ロックオン、」

あ、と心の中で呟いたロックオンは徐に起き上がる。自然に刹那との距離も近くなって顔を見合わせる形になった。

「解った、ただし」

「……だたし……何?」

意地悪な事を考え付いたな、とロックオンは他人事のように思った。

「一人でシてる所見せてくれたら、の話だ」

「…………っ!!」

刹那の表情が一気に羞恥に染まった。自らを慰めている所を人様に見せるというのか。誰も居ない一人だけの空間にいてもそんな背徳的な行為をするのは躊躇われるというのに。

「で、でも…!」

「シなくても良いんだぜ?そしたら俺は寝るだけだし」

折角、眠りに就こうとするロックオンを起こして承諾を得たというのにそれでは願い出た意味が無い。でもこれからする行為を晒すのは非常に恥ずかしい。二つの感情がせめぎあって刹那を混乱させた。長い沈黙が続いていたが、ロックオンが痺れを切らしたように言った。

「寝ていいか?」

「わ、解った……!する、」

思わず発してしまった言葉、もう戻れない。口元を引き上げて笑うロックオンは腹の上にいる刹那を降ろして額をくっ付けて良い子だ、と誉めてやる。少し離れて始めるように促すと刹那がゆったりした動作でショーツを脱いだ。

「何だ、もう濡れてるのか?」

「やだ…」

「やだ、じゃないだろ?自分からするって言ったんだ」

照明の無い部屋の中でも確かに見えた、ショーツと刹那の陰部を結ぶ透明な糸。ロックオンの方に向けた脚を恐る恐る広げて、指先を這わす。最初は右、次は左。閉じている陰部の肉に指を押し当てて広げていく。目一杯広げると、ロックオンがその光景を見て感嘆の息を洩らした。

「凄、溢れてる」

「っ…あ」

「まだ終わりじゃないよな?」

その言葉に肩を震わせて荒くなる息。健康的な色でありながら卑猥な雰囲気を醸し出すそこに指を滑らせ始めた。ちゅく、とリアルな音がロックオンの耳にも届いた。指先に十分に愛液を馴染ませたあと、他の器官より敏感な陰核を触る刹那。包皮を捲り上げて真っ赤に充血した陰核をくりくりと捏ね回した。

「はぁっ……ぁあ……ん、気持ち良……」

閉じがちだった脚も今は惜しげも無く開かれて、膣から溢れ出す愛液や忙しなく動く陰核の様子が丸見えだった。ロックオンはそろそろか、とサイドテーブルに手を遣って硬質な物体を手に取った。

「それだけ濡れてれば、慣らす必要なないよな?」

「ふぇっ?」

なんと手際の良いことか。一瞬の間にロックオンは刹那の手に所謂“大人の玩具”であるバイブを握らせてその先端を膣の入り口に挿入した。

「ひゃぅっ…!ロックオ、…っ」

「指だけじゃ物足りないだろ?だから、これ使えよ」

そう言うなり添えられている刹那の手の上から、ロックオンがバイブを押して膣内に挿し込む。先端に球体が三つ連なっていたバイブは続けざまにぷちゅぷちゅっと音をたてた。

「ひゃぁああっ!」

「ほら、動かして」

言われるが侭に刹那はバイブを半分引っ張り出し、直ぐに挿し込む。自分の好きな所に当るように円を描く動きでピストンを繰り返した。

「あっ…きゃひ…んんっ」

赤紫色のバイブが出入りする様は卑猥以外のなにものでもなく、快楽を貪る刹那もまた卑猥だった。かき回すのに執心していた刹那だったが突如訪れた大きな衝撃に体を突っ張らせた。

「きゃうっ!」

膣内に深く挿し込まれたバイブが大きく振動を始めたのだ。挙げ句の果ては振動に加わり旋回運動をして、刹那の粘膜の至る所を撫で回す。

「あ、っあああっ!う ひゃああっ」

刹那はピストンをすることを忘れ、バイブを奥まで入れ込むように手で押え込む。十分に挿入された事で陰核にぴたりと密着した突起が更に刹那を過敏にさせた。

「ロッ、クオっんっ…ひゃっ見な いでぇえっ」

「何言ってんだ、約束が違うだろ?もっと強くするか?」

返事を待たずにロックオンは手の中に有るリモコンでバイブの振動を強くした。途端に痺れる程の快感にあっさり気を遣った刹那は、嬌声をあげてベッドにへたり込んだ。だらしなく開いている脚の間で膣の収縮によって押し出されたバイブがシーツを汚していた。

「はぁっ…はぁっ、ふ  ろっくおん…」

「こんなにベトベトにして…バイブ、そんなに良かったか?」

意地悪くからかうと刹那は鼻を鳴らした。主人の愛撫を強請る小犬のように、か細く。

「だいぶ激しくイッたもんな?終わりで良いよな?」

「やだっ…駄目、駄目…まだ…」

「まだ、何だ」

物欲しそうな表情で見上げる刹那は一瞬逡巡して、口を噤んだ。目の前には勃起したロックオンの陰茎。体勢は整っていた。だから、後は刹那の一言が発されれば総ては望みのままになる。

「せーつな…?」

殊更促されるように名前を呼ばれては、もうどうにもならない。ロックオンの手によって晒されている、豊潤に潤っている陰部に指を遣ってぱくり、と左右に広げた。

「ろ、っくお んの、ここに……下さ い…」

「全く、淫乱な奴だな」

蔑む言葉に刹那は羞恥から目をきゅっと瞑った。ロックオンにしてみれば誉め言葉なのだが如何せん刹那には恥ずかしかった。

「でも、嫌いじゃないぜ」

ちゅぷ、と押し付けられた熱に刹那は歓喜の嬌声を惜しげも無く発した。