豊満な胸と自分の胸を見比べて溜息を吐いた。
「…どうすればそうなる?」
「は?」
シャワーを浴びてすっきりしたのか、少々頬が赤らんでいるニールに刹那は問いかけた。水の滴る髪をタイルでごしごしと拭きながら訳がわからない、と言いたげに首を傾げる。もう寝るだけなのでラフな格好をしているニールの胸元に目をやると、うっすらと胸の頂の影が服の生地に透けているのだ。気恥ずかしくなった刹那は思わず目を逸らす。
「に、ニールみたいになるには方法はないものか…」
「俺みたいに?」
悩みを打ち明けることが恥ずかしい刹那とは真逆に、身長のことか?と状況を理解していないニールは的外れなことばかりを口にしている。違う、と否定はするもののなんと言って良いものか。目の前で実っているニールの胸を盗み見して、まな板の如き自分の胸とを控えめに、交互に指差したあと気まずさから床を見下ろしていた。刹那の違和感のある動きの解読にしばらく時間のかかったニールは唐突に声をあげた。
「ああ!」
ようやく刹那の意図を理解したニールは合点をうち、疑問が解決されたことですっきりした清々しい表情で刹那のコンプレックスである部分を指差した。
「胸か!」
「声が大きい!!」
「痛い!」
胸がコンプレックスで何が悪い!と刹那はニールの横っ面を引っ叩いた。パーン、と虚しく乾いた音が部屋の中に木霊する。
*
生まれ育った環境や食習慣が成長に大きく関係するだろう、というのは知っているが、いつまで経っても成長する気配のない胸。このまま成長が止まってぺったんこのまま一生を過ごすのでは、と姉貴肌のニールに、刹那は悩みをこっそりと打ち明けた。なんとも女の子らしい悩みである。刹那の成長にニールはほんの少し頬を緩める。
「横になったら本当になにもないんだ」
せめてもう少しくらいはあっても、と服の上から胸を押さえて恨めしげに刹那は眉間に皺を寄せた。刹那もラフな服装をしていて、微かだが膨らみを確認することが出来る。刹那くらいの歳の頃だともう少し成長してても良いものだろうか。ニールは色々と考えるも自分が刹那くらいの歳の頃はどうだったかは思い出せない。
「ありすぎるってのも問題なんだぜ?パイスー着る時とか結構面倒だし…」
「ないよりはましだろう」
「………」
じと、と半ば睨みつけるようにニールを一瞥したあと刹那は一瞬、ニールの胸に目を遣った。ベッドの上で胡坐をかいて話している二人の間に微妙な空気が流れる。
「俺は好き好んでこの大きさになったんじゃないしな…ま、揉んで貰うのが良いってのはよく聞くよな」
「そうなのか…?」
こんな小さい胸でも揉めば大きくなるのだろうか?というかニールは誰かに揉まれて大きくなったのだろうか。いや、好き好んで大きくなったわけじゃないようだし…と湧いてくる疑問が口に出されることはなかったが、揉んで貰うのが一番だという言葉が刹那の脳内をぐるぐると巡っている。考え込む刹那にちょっと悪戯してやろう、とニールは刹那の背後に回りこんで、ぎゅっと抱き込んだ。服越しでもわかるニールの豊満で柔らかそうな胸が背中に押し当てられて、その感触に刹那は驚く。
「…に、ニール!」
「揉んでやろうか?」
「や、やめ…っ」
「遠慮すんなよ」
「遠慮する…、あんっ!」
服の裾からするりと入り込んできたニールの手によって、刹那の乳房はすっぽりと覆い隠されてしまった。掌サイズ、というには些か物足りない。膨らみが十分にあれば揉むことも出来るかも知れないが、刹那のサイズでそれをしたら痛いに違いない。仕方ないのでゆっくりと、お菓子の生地を捏ねるみたいに手を刹那の肌の上を滑らせていく。
「刹那、肌スベスベなんだなあ」
「ん、そうか?…というか、やめろ…っ」
「なんで?大きくなりたいんでしょ?」
「別に、頼んで ないっ…う」
「だから、揉んで貰うのが手っ取り早いんだって」
「ほんと、に やめ…っあ…」
掌の中で小さく主張してくる頂きを指先で摘んでやると、刹那の体が小さく跳ね上がった。声を出さないように唇をきゅっと噛み締めてシーツを握り締めている。必死に抗っている様子の刹那に、ニールはどうしようもなく興奮していた。
―やばい、刹那可愛すぎる…。
しつこく弄繰り回される胸の先端から、じわじわと全身に気だるい快感が回り始めて刹那の目には涙が浮かんでいる。心なしか頬も紅潮していて、ニールの指先の動きに敏感に反応していく。
「刹那、」
「ん、ああっ……やらぁ…」
悪戯で済ませる筈だったというのに、刹那の反応を見ていたらその気になってしまい服を脱がせる手に歯止めが掛けられなかった。
悩みを聞いてくれ