「刹那、お前こんなに体柔らかかったか?」

情事の最中にロックオンから不意に言われた言葉に、刹那はゆったりと目を瞬かせた。

「柔ら…?何……?」

愛撫で蕩けきった頭を働かせて復唱した。心地良い快感で半開きになった刹那の目は脹脛を撫で回すロックオンの手に焦点が合っている。

「いや、脚だよ脚。前はこんなに開かなかっただろ?」

内股に手を添えてぐいっと股を割る為に外に押すと、刹那の脚は何の抵抗も無く開いた。180度、とまでは行かないがそれに近い程に脚が開いている。多少膝が曲がっているが。

「そう、なのか?」

「あれ、自覚ないのかよ。まぁどっちにしろ俺には有り難いけど」

複雑な体位が出来そうだしな、と呟くと脚を開いた所為で目の前に曝け出された刹那の陰部にロックオン自身の先端を擦り付ける。薄っすらと口を開けている陰唇に亀頭が半分埋まり、挿入には至らないものの入り口を押し上げる形になっている。

「ん、やぁあっ……」

くすぐったい悦楽に身を捩る刹那。ロックオンはピンっと張り詰めている刹那の乳首を指で挟むとやんわりと捻り上げた。

「うっひゃぁあ!」

甲高い声が出るのと、陰部から粘液が溢れ出すのと、どちらが先だったか。一層ぬめって滑りやすくなった互いのそこを擦りあわせていく。

「ロ、ックオン…!もう、挿れてぇ…っ」

我慢がきかなくなったのか、刹那が哀願するように声を上げた。薄い体を震わせ潤んだ目で見上げる様はまるで小犬のようだ。

「可愛い、刹那」

ロックオンは指先で刹那の頬を撫で上げて目尻に触れるだけのキスをする。

舌に感じ塩っぽさと芳しい刹那の甘い薫に、嗚呼 癖になるとロックオンは思った。

「い、ひぅぅうっ…!」

屹立しきったロックオンの分身が刹那の中に沈んでいった。一分の隙間なく埋め込まれた陰茎の熱さを感じ、刹那は色っぽい溜め息を吐いた。無意識の内にロックオンの分身をきゅうっと締め付けて蠕動する刹那の膣にロックオンは眉根を寄せて苦笑する。

「熱…っ、はは、刹那はナカまで柔らかいな」

みっちり侵入してある陰茎を更に押し上げるように奥の方で小刻みに突き上げると、刹那が甘く啼いた。

「あっ、ろ…っくおんっ…はぅっ…」


締め付けが緩む事が無い為、陰茎の動きと共に刹那の粘膜も動く。擦り上げられるのではなく、胎内全体が揺り動かされている感覚だった。

「だ、めっ…ロッ クオン…っあっ…ああああっ!?」

ロックオンは刹那の足首を掴んで持ち上げ、膝が胸に着くほどに密着させる。刹那の陰部は天井を向いてロックオンのピストンを真上から受け止める事になる。先程のゆったりとした動きから一転、荒々しく腰を振るロックオンの腰使いで結合部分からグヂュグヂュと激しく水音が響き出す。パンパンと肌の触れ合う音と飛び散る飛沫、段々と分泌される粘液が刹那の腹部を伝って胸の間にまで垂れる。擦れば擦る程に流れ出す粘液は、結合部付近で空気を含んで白く泡立っている。

「刹那、ど う?気持ちイイ?」

「ふぁぁああっ……や、駄目っそこっ」

ぬぶ、と卑猥な音がする程に大袈裟な動きで突けば刹那の体は魚のように跳ね上がる。

「ここが良いのか?」

「ん、ぅっ……そこ、好きぃっ…ひゃぅぅうう!」

背中とベッドの間に隙間が出来る程に背中をしならせて快感を享受する刹那。ロックオンは刹那の腹部−脂肪が薄くて肋骨が浮き上がっている部分に目が止まった。無性に、噛み付きたくなった。

「やっ、何っ…ぃ…っ?」

「悪ぃ、つい」

再び腰を激しく振りながら、ロックオンは刹那の肌を食いちぎったら甘いマシュマロの様な味がするんじゃないかと思った。

「匂いも、甘いっしなぁ……?」

「ふ、ぇっ?な に…っひゃっ…ろっくお、」

「何でもねぇよ、っ」

じゅぼじゅぼと耳も塞ぎたくなる淫らな音、ほぐれて熱く柔らかい膣は快感をもっと得ようと頻繁に収縮したりを繰り返す。

「ナカ、っ良いか?」

「い、っはひっ…いよっ…」

涙目で見つめてくる刹那の目は情欲に塗れてまるで遊女の様。ほんのり笑みを湛える口元は湿っていて艶めく。

「刹那、ぁっ……」

「ろっく、あ、ぁあああっ!」

柔らかな肉で締め上げられたロックオンは刹那の膣の中で爆ぜた。幾度かに分けて吐き出される感覚に、どっと疲労感と安堵感を覚えた。一方の刹那は意識を飛ばしてベッドに横たわったまま身動き一つしない。

「…………………」

手の甲、二の腕、首筋、肩、脇腹、腰、脹脛。至る所に軽く噛み付いてロックオンはたおやかな刹那の体により一層愛おしさを感じた。一緒にシーツに包り刹那に腕枕をしてやりながらロックオンは刹那の頬におやすみのキスを降らせた。

「全身柔らかいんだな…」

可愛い、と聞いている筈のない刹那の耳元で囁いた。