※若干の性描写あり

生温いシーツの温度に目を覚ましたニール。腕の中にはすっぽりと刹那が収まっている。猫っ毛の、突飛な方向に向いている毛先が愛らしい。誕生日に何も準備が出来なかったからと普段なら何があっても着ない(頼んでも絶対着てくれない)艶っぽいランジェリーを着てニールの誕生日を祝った刹那を獣の如く貪ったニール。体に制御が効かない上に刹那の痴態に理性を飛ばして朝まで睦んだ。


「ん…」


ふと風呂に入れてあげないと、と腕の中で唸った刹那を見てニールは思った。朝起きた時に体が汚れたままでは申し訳ない。そっとベッドから抜け出してバスルームへ向かう。刹那の体の汚れを綺麗にしてあげてから浸かろうと、使う回数が少ない浴槽にお湯を入れるため蛇口を捻った。部屋に戻ってみれば、刹那がシーツを半分だけ被って起き上がっていた。ぽやーんと覚醒しきれていない虚ろな目で部屋の一点と見つめている。


「刹那」


静かに声をかければ緩慢な動きでニールの方を見遣って気だるげにふにゃっと目を細めた。よほど先ほどの行為が響いているのか気を抜いたら今にも寝てしまいそうだ。


「風呂入れてるけど、入るか?」


声も出すのが億劫なのか、数回縦に首を振る。のろのろとベッドから降りようとするが足元がふらついてニールの腕の中に雪崩れ込んだ。


「、っと」


脱力しきって歩くことがままならない刹那をニールは横抱き―俗に言う姫抱っこ―をしてバスルームに向かった。シーツの隙間から感じる体温が心地良い。脱衣場で床に下ろしてやると、壁に寄りかかって、そのまま力なく床にうずくまった。


「おーい刹那しっかりしろ」


「んん…」


ぺちぺちと頬を軽く叩いても唸るだけで目を開けようとしない。この様子ではきっと何時間経っても刹那は目を覚まさないだろうと予想したニールはシーツをそっと剥ぎ取ると刹那を抱いてバスルームに入っていった。
勢いよく流れ出すシャワーを人肌ほどの温度にしてから刹那の体に当ててやると心なしか表情が和らいだように見えた。おおかたの汚れを流し終えたあと、肝心の中心部分に手を伸ばすニール。先刻、自分がしこたま吐き出したものを洗い流さないといけない。刹那を自分の胸に寄りかからせ足を開かせてシャワーを下腹部に向ける。陰唇を左右に割りながら指をそっと挿入すると、刹那の体が小さく戦慄いた。


「ん、…」


「悪いな刹那、ちょっと我慢してろ」


寝ている刹那に喋りかけるニールの声はひどく優しい。掻き出すような動きに合わせて刹那の膣から精液がドロリと溢れ出す。指がたまに膣壁を擦って快感を生むが刹那が目を覚ますほどの快感ではなかった。奥の方をそっと探ってもぬめる感覚がなくなったのを確認すると、ニールは刹那と一緒に湯船に浸かる。じんわりと体の芯まで温まる感覚に息を吐きながら刹那をぎゅうと抱き締める。ぐにゃんと脱力したままの刹那は以前目を閉じたままでニールの胸板に額を預けている。


「ありがとな…」


ぽつんとバスルームに響くニールの声。ニールの表情は心の底から幸せに満ち溢れた慈愛の眼差しで刹那を見つめる。もくもくとたち続ける湯気が二人だけの空間を作った。