にょたせぷ4






「今日秋山さん仕事終わるってときに伏見さんにすげー量の仕事押し付けられてたなー」

部屋でタンクトップにパンツが見えるんじゃないかというほど短いコットンパンツをはいた日高が缶ビール片手にそういえば、と呟いた。五島は日高の脚は今日も肉感的ですばらしいかたちをしているなぁと思いながら「んふふ、そうだねぇ」と返す。五島はブイネックのシャツに適当なジャージだった。日高ほどだらしなくはない。日高がだらしなさすぎるのだ。きっと秋山が日高のこんな格好を見たら「女捨ててる女なんてしねばいいのに」と思うところだ。五島はそこまで潔癖ではないし処女厨でもないし同じレズでも秋山とだけはかかわり合いになりたいとは思わない。同族嫌悪かもしれない。貴重なお仲間なのにもったいないことだ。

「秋山さんさぁ、ガチレズなのにあれぜったい伏見さん大好きだよなぁ」
「うん、大好きだね。でもこないだ弁財さんと『伏見さんのダモクレス腐り落ちろ』とか言ってたよ。あの人ほんと思考回路どうなってんだろ」
「ゴッティーも大概秋山さん嫌いだよな・・・」
「んふふ、そんなことないよ」

日高は五島の笑みにどうだか、とまたビールを一口煽った。

「日高さぁ、そんなビールばっか飲んでると下腹出張るよ」
「そのぶん運動してるっつの!今日も出動あったし!仕事終わりのビールのために俺は生きてんの!」
「だって日高酔うと絶対迫ってくるじゃん。僕今日そんな気分じゃないんだけど」
「え、だめなの?俺今日わりとそういう気分なんだけど」
「日高今日弁財さんと話してたでしょ。そういうとき日高わりと間違って弁財さんって僕のこと呼ぶから無理」
「なんでだよ。いいじゃん。今日ゴッティー下でいいから!」
「理屈がわかんない。僕どっちかっていうとタチなんだけど」
「そうだっけ?おっぱいおっきい方が上でいいじゃんよ」

その理屈どうかと思うけど、と五島が溜息をついたあたりに日高がビールの缶を握りつぶした。随分ペースが早い。

「俺わりと男になりたいかも」
「なにそれ」
「弁財さん抱きたい」
「僕日高が男になったらもう絶対セックスしないから」

五島の声が軽薄な装いをしていたけど、なんだか真面目なものも含んでいて、日高はそういえばどうして五島はレズなんだろうなぁと思った。多分男性の経験もあるのに。けれどそこは立ち入っちゃいけないところなんだともなんとなくわかっていた。日高が男になったとして抱きたいのは弁財だけなのだ。五島と今こんなことをしているとして、それは結局寂しさのようなものを埋め合わせる関係でしかない。五島も日高にはそれ以上望んでいないと思っていた。思っておきたかった。ほんとうはどうなんだろうとか考えるのはずいぶん前にやめたのだ。五島は女が好きで、日高はどっちでもよかった。今はそれだけでいい。



END


ギャグだと思って書き始めてシリアス展開になるのはわたしの連載ではよくあることです。どうしてこうなった。

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