にょたせぷ3






「伏見さんコーヒーいかがですか」

秋山が伏見がはやく女体化しないかなぁなんて考えながらそういうと、伏見が「ブラックで」と素っ気なく答えた。今日も伏見は素っ気ない。昨日も素っ気無かった。そこがまたいいんだと秋山は弁財に力説するけれど弁財は何一つわかってくれない。処女で美人で気立てもいいのに弁財のそういうところはいただけなかった。それがなくとも弁財とどうこうなろうという気はない。秋山は友情と恋愛はまた違うところに存在しているのだとちゃんとわかっていた。

秋山は丁寧にブルマンサントスをドリップした。伏見の好きな銘柄だ。こないだなんとなく伏見が「これは嫌いじゃない」とぼそりとつぶやいたのをきっちりと拾っていたのだ。ああはやく伏見のダモクレスが腐り落ないかなぁと思いながらそれをカップへ注ぎ、言われたとおりブラックのまま伏見のデスクへ「どうぞ」と差し出した。伏見は「どうも」とだけ言う。視線がなんとなく秋山の方へ向いた。それだけでなんだか濡れそうになるけれどどうしたって伏見が男なのがいただけない。その尖った顎のラインがもっと丸みを帯びて、男性らしい骨ばった骨格が卵のようにふっくらとして、だるそうな目元に長いまつげがつけたされてたよりなく胸が膨らんだならどんなにか素敵だろう。秋山は毎晩のようにそんな妄想で自慰をしている。弁財に気づかれないようにこっそりと。妄想の中では秋山はタチだ。伏見のような女の子がいたらどうしたって抱きたくなる。抱かせてくださいと土下座して足を舐めても構わない。

「秋山」
「えっ」
「お前さぁ、もうちょっと色々隠したら?」

伏見が他に聞こえないくらいの声のボリュームでそう言ったとき、秋山はもうどきどきと心臓が高鳴るのがわかった。やっと伏見さんが女の子になるための努力をしてくれるのかとあらぬ期待を抱いている。けれど伏見はどうにも違う方向に困っているようだった。

「さすがにわかりやすすぎるんだけど」
「え、なにが・・・」
「なんでもない。とりあえずこの資料まとめといて。今日中に」

伏見は今日中、と言ったけれど定時までもう一時間程度しかなかった。そして伏見が差し出してきた資料の束は人を殴り殺せるんじゃないかというほどの厚みをしていて、いくら秋山といえどこの資料をまとめるには4時間はかかるのではないかと思った。けれど伏見はいつも残業しているし、ほかの人は早めに上がってしまうし、もしかしたら伏見とふたりっきりで残業できるかもしれないと思うともう嬉しくて「はい、わかりました」と。日高がそれを遠目に見て「うわぁ」という顔になったけれどとりあえず20過ぎて化粧もしない乳だけが取り柄の女はすっこんでろと心の中で罵って秋山はその資料を胸に抱く。伏見さんのダモクレスさっさとダウンしないかなぁなんて腹黒いことを考えながら。


END


続くかんじなので短めに。
ガチレズ秋山は女捨ててるような女の子はもう男以上に嫌ってそう。

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