せぷにょた2






「最近肩こりが酷いんすよね」

休憩時間中に日高が何気なく呟いた一言に弁財はなんとなく自分の肩を揉んでみた。やわらかい。悲しいほどにやわらかい。

「なんかまたブラジャーきついのかなんなのかわかんないんすけどすげー辛くて・・・」

まずもって日高の胸にぶら下がっているそれはなんなのだろう。弁財は考える。ミサイルかもしれない。自分の胸にあるものが乳房だとすると日高の胸についているものは多分核爆弾だとかそういうレベルのものだ。こないだなんか五島と一緒になって「かわいいブラジャーがない」だとかほざいていた。かわいいブラジャーしか売っていない、むしろスポーツブラでも事足りてしまう自分と秋山はいったいなんなのだろう。男かもしれない。こんなことを言うと秋山が泣き出すから言わないが。

「日高」
「はい?」
「その胸を取り外せば悩みは全て解消されるぞ」
「はは、無理に決まってるじゃないっすか。なんなら弁財さんにあげますよ」
「くれ・・・ほんとうにくれるものならください・・・日高の胸が憎たらしい。いっそ日高しんでくれないか・・・胸だけ残して・・・」
「ちょっ弁財さんひどい!」

じょーだんですよ、じょーだん、と日高は笑うのだけれど弁財にとっては深刻な悩みなのだ。童顔も合間ってこないだ高校生と間違われた。死にたい。もとから薄化粧なせいもあるかもしれない。化粧なんてものは社会人になってからはじめてした。日高なんて化粧をしているかどうかすら怪しいのに身長といやでも目がいってしまう胸のせいで絶対に高校生とは間違われないだろう。むしろ高校生の頃から怪しげなビデオにでもスカウトされていたに違いない。さばさばした性格も合間って盛大にモテていだたろう。しかし秋山曰く日高は処女なんだそうだ。秋山の基準はよくわからない。

「日高、なに食べてたら本気でそんなに胸が育つんだ・・・教えてくれ・・・本気で・・・」
「弁財さん、気にしすぎですって。俺はわりと弁財さんくらいのがタイプですよ」
「お前も秋山みたいなこと言うな・・・同性愛者はもうこりごりなんだ・・・俺はちゃんと男が好きだ・・・日高お前なんで男じゃないんだ・・・」
「え、あ、いやぁ・・・そう言われると照れるんですけど」
「日高が男だったら抱かれてもいい。でも女のお前には絶対抱かれたくない。劣等感しか刺激されない。なんだその胸。ミサイルか。ダモクレス級か。お前は王権者だったのか。俺はなんだ。なんなんだ・・・もう死にたい・・・」

自分の胸にぺたりと手をやって恨み言を言う弁財に少なからずときめきながら日高はなんで俺男じゃないんだろうなぁと思った。隠してはいるのだけれど日高はどちらでもいけるタイプで同室の五島とはなんだかんだ色々とやっているのだ。弁財みたいな人はほんとうにタイプで秋山がガチレズだと知ったときもしかしてと希望を抱いたのだけれど、どうにも弁財はストレートらしい。日高はなんとなくこのことは言わないでおこうと胸に秘めているのだけれど同性同士の気安さがあるのか弁財は時たまこういう誘っているんじゃないかという仕草をするからいけない。女にだって性欲はあるのだ。今夜五島にでも相手をしてもらおうと密かに日高は溜息をついた。

「日高ほどとは言わない・・・せめて榎本・・・榎本カップが欲しい・・・」
「はは・・・それでもわりと大きいと思うんですけど。俺は弁財さんの胸好きですけど。隙あらば揉みたいくらい」
「そんなことしてどうせ優越感にでも浸るんだろう!?お前なんか嫌いだ!胸のミサイル爆発しろ!」

わあと泣き崩れる弁財を見て日高は「ははは」と渇いた笑いを浮かべることしかできなかった。女同士なんて面倒くさい。


END

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