三十五日目






※黒子嘔吐表現あり













がちゃりと玄関が開いたかと思ったら、どさりとなにか重たいものが倒れるような音がした。赤司は自室でレポート用の書籍を読んでいたのだが不審に思い、玄関に降りたのだが、見てみると黒子が玄関でぐったりとしていて、赤司は慌てて抱き起こす。

「どうした!」
「…赤司くん…?」
「…酒くさいな…」

黒子が口をひらくとむわっとするような酒の匂いが漂い、赤司はとりあえず胸をなでおろした。とりあえず風邪をひくからとリビングまで運ぼうとするが、どうしたものか。紫原とは言わないが黄瀬程度の体格があれば黒子を持ち上げることは容易なのだが悲しいかな赤司と黒子はそんなに身長の差がない。なんだか屈辱的な気分だったが仕方なく黒子にもどうにかして立ってもらい、肩を貸してリビングまで運んだ。ソファに黒子を寝かせると、とりあえずと冷蔵庫からミネラルウォーターを出して黒子に飲ませる。

「全く、未成年だろう」
「…すみません…サークルの飲み会で…はじめは目立たずに済んでたんですが、自分のだと思って飲んでたグラスが違う人のお酒だったみたいで…それを見とがめられて飲まされて…」

一気を強要されたのだと。黒子の目はぐらぐらするのかぼんやりと焦点を結んでおらず、アルコールのせいで頬も赤らんでいた。赤司はため息をついて「大丈夫か?」と声をかける。黒子の責任ではないとはいえこれは由々しい。まずどのサークルかを割り出し、黒子に一気を強要した人物を割り出し制裁をあたえなければならない。まず黒子は未成年であるし、さらに一気の強要は明らかなアルコールハラスメントである。赤司がぐるぐると考えを巡らしていると黒子が「う」とうめいて口元をおさえる。赤司は慌てて黒子をトイレまで引きずっていき、ドアを半開きにして黒子を中にいれた。便器を抱えた黒子はすぐに胃の中身は吐き出し、まだえずくのかなかなか立ち上がれず、何回か嘔吐を繰り返して、最終的にはさっきのんだ水まで全部胃の中身を出してしまった。赤司が脱水症状をおこしてはいけないからと落ち着いたのを見計らってまた黒子に水を飲ませる。

「…すみません…」
「悪いのはテツヤじゃないさ」

なんだかすえた匂いがする。黒子は真っ青な顔をして、それでもさきほどよりは酔いがさめたのかふらつきながらも自分で立てるようになったようだった。ふらふらとリビングに戻ると、ぼふりとまたソファに倒れこむ。

「…頭…痛いです」
「オレンジジュース飲めるなら飲んだほうがいいな。二日酔いに効くらしい」
「…ちょっとでも味のあるもの飲むとまた吐いてしまいそうで…ちょっと…」
「そう。無理はしない方がいい。…ところでテツヤ、君の所属するサークルというのはどこだったかな?」
「…バスケ部以外は天文部、ですけど…それがなにか…」
「いや、テツヤは気にしなくていいんだよ」

赤司があんまりいい顔で笑うものだから黒子は何も聞き返せず、さらには頭痛と吐き気がまたひどくなったのでがぶがぶとまたすぐ水を飲んだ。後日赤司によって制裁をくだされた先輩がしばらく立ち直れなくなるのだが、それはまた先の話。


END


赤司様ならなんでもできちゃいそう。
このシリーズ書いてて思うのは毎回やまなしおちなしいみなしなのでどこで終わらせていいかわからず、適当なところで切り上げると尻切れトンボな感が否めなくなってしまうところです。
どうしたものか。



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