四十九日目






「で、涼太にストーカーがついてこの家の周りをうろうろしていると。気づかなかった僕も悪いが、どうして今までそんな大事なことを黙っていたんだ、涼太」

緑間に促され、黄瀬はルームメイト全員を集めたリビングの中心で正座していた。こういうことは全員に知らせておいた方がいいという緑間の助言に従ったのだけれど、自分のせいでみんなに迷惑をかけていると考えるとほんとうに申し訳なくて背筋が丸まってしまう。

「だって、みんなに迷惑かかるじゃないっすか・・・」
「黙っていられたほうが迷惑だろう。どうするつもりだったんだ、お前のストーカーがあらぬ理由で他のメンバーたちに危害でも加えたら」
「それは・・・」
「全く・・・真太郎が気づいたからよかったものの。次からこういうことはもっと早くに報告しろ」
「え」
「なんだ」
「だって、俺、みんなに迷惑かけてるから、赤司っち俺のこと追い出すんじゃないかって、俺もうこの家いられないんじゃないかって・・・」

黄瀬がほとんど泣きながらそう言うと、赤司は呆れ返ったように溜息をついた。

「お前は本当に頭が足りてないね。どうして僕がこんな家まで用意してみんなで暮らそうだなんて言い出したと思っているんだ。こんなくだらない理由でお前を追い出すほど簡単な労力じゃないんだよ、全く」
「あ、赤司っち・・・」
「さて、涼太をこんなに追い詰めてくれたストーカーはどうしてくれようか。社会的に抹殺るすもよし、言葉のとおり抹殺するもよし。なんだい、みんなそんなに震え上がって。冗談に決まっているだろう」

赤司が言うと冗談に聞こえないからいけない。それにしても、と紫原は呟いた。

「まじでさー気持ち悪いねーしねばいいのにねー」
「死ねだなんて言葉そう軽々しくつかってはいけないと思います。でも、重々しく使うとしても死ねばいいと思います」
「おい、黒子、キャラが違うのだよ!」
「いえ、ちょっと今回ばかりはさすがに・・・」
「めんどーだからまじでぶっ飛ばせばいいんじゃねーの」
「そんなことをしたら大学を退学になってしまうよ、大輝。そして涼太もスキャンダルとして報じられる可能性がある。警察もまぁ男に男のストーカーがついただなんてまともに取り合ってくれないだろう」

赤司は腕組みをして、少し考えた。どうにも厄介だ。ストーカーというだけで厄介なのに、黄瀬は芸能人で、しかも相手は男ときた。厄介に厄介が重なりすぎてもうごちゃごちゃとしてしまっている。ここは穏便に済ませなければなるまい。暴力沙汰になるのはもっての外であるが、こちらが大人しくしていれば相手はエスカレートするばかりだ。

「そうだね、とりあえずしばらくは涼太が外に出るときは必ずだれかがついているようにしようか。そうして外に怪しい人物を見かけたら声をかけるなりなんなりして追い払う。真太郎の話だと声をかけたらそそくさと立ち去っていったんだったか」
「ああ、そうなのだよ。身長もあまりない男だし、力だけなら俺たちの方が上なのだよ。黒子となるとどうだかわからないが。走り姿も運動不足そのものだった」
「よく見てるっすね・・・」
「通報しようと思っていたからな」
「ていうか僕だってイグナイトありますよ」
「暴力沙汰は駄目だと言ったろう。見た目で威圧するのが大切なんだよ、テツヤ。そうだね。そうなると僕も少し迫力にかけるかな」
「いや、そんなことはないと・・・」
「うん、大輝と真太郎と敦が適任だろう。なるだけ涼太のそばについてやっていてくれないか。どうしても無理な場合は僕やテツヤがつくから」

赤司がそう指示すると、青峰も面倒がりながら「まぁしかたねーんじゃねーの」とそれを了承する。

「なんか申し訳ないっす・・・」

黄瀬が背筋をさらに丸めてしまうと、赤司が「何をあやまることがあるんだ」と溜息をつく。

「悪いのは相手だろう。お前は何も悪くないさ。それに、この中の誰にストーカーがつこうと、同じようにしたしね」
「赤司っち・・・」
「そう、手出しはさせないさ。だからもう一人で抱え込むのはやめにしろ。馬鹿が一人で抱え込んだってろくなことにならないんだから」
「最後!最後がいらないっす!」

それでも黄瀬はやっと安心したようになって、へらりと笑った。なんだか嬉しかった。よりかかれる存在があるというのが、とても心強い。


END


なんだかんだキセキが大好きな赤司を書いたつもりなんですが・・・
ちゃんと表現できていたか甚だ疑問です・・・
せっかくリクエストしてくださったのにうまく表現できずに申し訳ありません!


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