10.a short break




「伏見さんの目元が腫れてたもう俺どうしていいかわからない」
「日高…ちょっとそろそろ本気で縁切りたくなるほど気持ち悪いよ」

伏見が退室したオフィスでは日高がデスクに崩れ落ち、榎本が汚いものを見るような目でそれを見て、同じようにデスクに突っ伏したまま動かない秋山を弁財が心配そうな顔つきをして声をかけるべきかどうかで迷うという尋常でない光景が繰り広げられていた。他にも布施や道明寺がいたのだが、布施はもう慣れたという顔をして自分の仕事にとりかかり、道明寺は面白そうに傍観するばかりで口を出そうとはしない。

「…秋山?大丈夫か?」
「…ちょっと今顔あげられそうにない…」
「具合悪いのか?秋山昨日忙しかったもんな。辛いなら医務室行く?」
「…もうすこしこうしてたら大丈夫」
「ならいいけど」

弁財は普段にない秋山の様子に首をかしげるが、本人がそういうなら、と心配しつつも自分の仕事に戻った。秋山は何度か深呼吸をして平常を取り戻そうとするがどうにもうまくいかない。ただ昨日の件についてちょっとした礼を言われただけだというのにどうしたことだろう。秋山は本気で自分の気が変になったのではないかと疑った。相手は見た目が女性といえど伏見で、さらには上司だ。上司でしかも伏見に可愛らしいだなどという感情を抱くのは勘違いにも程がある。あれは錯覚なのだ、と10回ほど呪文のように唱えると、やっと顔をあげることができた。ほんとうにどうかしている。

「昨日もなんか伏見さん具合悪くて早退してたとかいうけど何があったんだよまじでどうしようていうか伏見さんまじ伏見さんなのになんであんな可愛いのかわからないほんと俺どうしちゃったんだろう伏見さん大丈夫なのかなほんと最近俺頭おかしいかもしんないエノどうしよう、仕事が手につかない」
「日高が頭おかしいのは最近に始まったことじゃないから大丈夫だよ。それより落ち着きなよ。他の人に聞こえるって」
「だってエノも見ただろ?伏見さんの顔!あれ絶対なんかあったって!」
「そりゃ心配といえば心配だけど…個人的なことだろ?そこは踏み込むべきじゃないよ…」
「そうかもしんないけどさ。伏見さんほんと最近辛そうにしてること多いんだよな。上司がそんなふうにしてんのに部下がなんもしないとかそれでいいのかよ」
「…日高…お前あの事件起こる前伏見さんのことヒステリック万年生理ホモとか言ってなかったっけ?」
「伏見さんまじ伏見さん…」

日高の耳はどうやら日曜日になってしまったようだった。榎本は大きなため息をついて日高のぶんの書類を机に突っ伏した彼の頭の上にのせた。


END


こういう周りの反応っていうかむしろ日高をかいてるのが楽しすぎて書いた話なんですがちょっと日高がキャラ崩壊しすぎて怖い。
小休止的な話。



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