二十五日目






「次は敦の部屋だね」
「うーん。片付けの途中で寝ちゃったんだよねー」
「なんだか扉の外でも甘いようなしょっぱいようなにおいがするのだよ」

恐る恐る緑間がガチャリとドアを開けると、案の定むわっと甘ったるいにおいがした。室内はどこか雑然としているけれど、どうにか体裁は保っている。基本的に白と紫で統一されていた。家具が白いせいかどこかファンシーで、ほんとうに二メートル超えの男の部屋かと疑ってしまう。そういえば家具は赤司が選んだのだったか。そしてとにかく匂いが甘い。開けっぱなしになったカラフルなお菓子のパッケージがテーブルの上に散乱し、ゴミ箱にもお菓子の袋ばかり詰め込まれていた。そして原因はそれらかと思いきや、部屋の片隅にチョコレート色をしたキャンドルがあった。それを普段芳香剤として使っているらしい。甘ったるい匂いはこれのせいか、とそろそろ胸焼けがしてきた緑間がため息。ブックシェフの中には教科書や参考書に紛れて製菓の本が何冊か突っ込まれており、そこだけ見たら女の子の部屋みたいだった。

「床に埃がたまってるな」
「掃除機かけるのめんどいんだよねー」
「それ以外はまぁ及第点なのだよ」

微妙に整理されていないし異臭と言えば異臭だがな、と、赤司と緑間がきっちり点検をしているあいだ、青峰と黄瀬はにやにやしながらベッドの下やクロゼットの中をあさりだす。しかし見つかるのはお菓子の袋や製菓のレシピばかりでつまらない。やはり世の中電子媒体か。黒子はチョコレートキャンドルをしげしげと見つめながら、「これのバニラバージョンとかないですかね」と呑気なものだ。

「今日中に掃除機だけはかけること」
「はーい」

紫原の部屋もどうにか点検終了。キャンドルを買ったおすすめの雑貨屋さんを教えてもらったらしい黒子がほくほく顔をしているのが可愛らしい。



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後日行ってみるけど女の子だらけでちょっと戸惑う黒子。
紫原目立っただろうなぁ。




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