なみだのかたち




月島→菅原→大地










部屋の蛍光灯がじりじりと音を立てていた。月島の腹の上には菅原がのっかっていて、今にも爆発してしまいそうな顔をしている。それはダイナマイトのように派手でまぶしい爆発なんかじゃなくて、もっとずっと静かで、けれど取り返しのつかない爆発だった。月島はぼんやりと上を見上げ、じっと菅原を見つめる。彼になにがあったのか、月島は知らないし、菅原も教える気はないだろう。

「したい、月島」

菅原はぷつりぷつりと月島の制服のボタンを外した。突き指が絶えないせいで若干いかつい指が、それでも綺麗だと思った。そのうつくしさは、きっと自分のためにあるのではないのだろうけれど、それでもよかった。月島は「なにかあったんですか」なんて無粋なことを口に出すこともできず、されるがままになっている。腹の上にあるぬくもりが心地よくて、こんな状況なのに眠ってしまいそうだった。

「月島」

ほんとうは違う名前を呼びたいんだろうなぁと、思う。月島はぼんやり考えて、ゆるりと菅原の頬に手を伸ばした。ぺたりと触ると、それは随分冷えている。泣いていたのかもしれない。よく見れば涙痕のようなものがあった。頬からそろりと指を伸ばし、菅原の泣き黒子を確かめる。そうして、まぶしいように目を細めて、「いったい何回泣いたらこんなとこに黒子ができるんでしょうね」と言った。

菅原はぶるりとひとつ震えて、ぱたりぱたりと涙をこぼした。その雨に打たれながら、月島は、ああ、この人は僕がいないともうダメなんだろうな、と思った。それは嬉しいような、悲しいような、恨めしいような感情のかたちをして、月島に降り注ぐ。


END

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