三日目





引っ越しも一段落し、風呂に入ることになったのだが、なかなかに順番が決まらなかった。何故かというとまず緑間が誰かと風呂に入ることを嫌がり、黄瀬がみんなで入ろうと言い、青峰が一番風呂でなければ嫌だといい、紫原が面倒臭いから明日でいいやと言い出したからだ。黒子は傍観を決め込み、赤司はハサミを取り出した。

「真太郎はまぁ最後に一人で入ればいいだろう。それでいいか?」
「構わないのだよ」
「えー!!せっかくの初お風呂なんだからみんなで入りたいっす!!」
「涼太、シャワーは三つしかないし、浴槽も狭いんだからみんなで入るのは無理だ。真太郎を除いて前半組と後半組に別れよう」
「ちぇー」

赤司のカリスマ性に気圧されてしぶしぶ黄瀬は引き下がった。どさくさに紛れて部屋に引きこもろうとした紫原が逃げないよう服の裾をしっかり捕まえて、赤司は続ける。

「大輝は先に入るといい。後の三人はどうしようか。僕はどちらでも構わないけれど」
「じゃー俺青峰っちと入りたいっす!!」

はいはいと直ぐに手をあげる黄瀬に、どうしてだ、と緑間が疑問の目を向ける。黄瀬は「なんとなくっすよ」と応えていた。ここまでだいたいがノリできてしまっているので今更そんなところには突っ込むまい。なんだかんだ黄瀬は青峰とノリが合うところがあるらしいので、初日はそれでいきたいらしい。一緒に暮らすといったって中学ではただのチームメイト、高校ではさらに距離が離れてしまっている。気の合う方と行動を共にしたいのかもしれなかった。

「涼太が入るなら敦は後半組だね。さすがに大柄な三人だと狭いだろう。テツヤが先に入るといい。僕と敦が後に入る。それでいいね」
「めんどくさーい」

なんだかんだ中学からよく行動を共にしている紫原とちゃっかり入浴を共にするあたり赤司もしっかりしている。初日から波風は立てたくないらしかった。緑間はこれだから、と言わんばかりに眼鏡のブリッジを中指で押し上げた。先の思いやられるシェアハウス生活一日目の終了目前のあたりだった。


END



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