十七日目





休日の朝はとても静かだ。まず紫原と青峰は起きてこない。黄瀬と黒子もぼんやりと起きるか起きないかの狭間を楽しみ、緑間は静かにコーヒーをいれている。赤司だけが早くに起きて、いつものようにランニングをするのだが、前日にレポートがあり少し遅くまで起きていたらしい、目覚ましの音が一度だけ鳴って、それ以降はぱったりと音がしなくなった。珍しいこともあるものだ。

昼ごろになるとみんなのそのそと眠い目をこすりながらリビングにやってくる。昼ごはんの時間だからだ。特に紫原なんかはまるでジブリの作品に出てくるキャラクターのような風貌をしているから面白い。

「あれ、赤ちんは?」
「まだ寝ているのだよ。目覚ましをとめてしまったらしい」
「ふーん。めずらしー」

じゃあ俺起こしてくるね、と紫原は廊下にでる。緑間的には別に起こす必要はないんじゃないのかと思わなくもなかったが、昼ごはんを食いっぱぐれないようにとの紫原なりの優しさなのだろう。

こんこんと赤司の部屋をノックするも、返事はない。まあいいか、と紫原はドアノブをひねった。すると案の定規則的な寝息を立てる赤司の姿が。姿勢正しく寝ているのかと思いきや、意外と丸まっている。なんだかかわいいなぁと思いつつ、紫原は赤司を軽くゆすった。

「赤ちん、もうお昼だよ」

すると赤司はぼうっと目を覚ましたのだが、なんだか様子がおかしい。赤司は目覚めがいい方だと紫原は勝手に思い込んでいる。そうでなければ誰が好き好んで早朝ランニングなどするものか。

「…敦…」
「どうしたの」
「…いや、寝起きは具合が悪いんだ。低血圧で…」

赤司はだるそうに起き上ると、あかない目をしたままずるずると着替えた。黒のスウェットを脱ぎ、ランニング用のジャージの着替える。どうやら今から走りにいくらしい。

「え、お昼はー?」
「だめなんだ、とりあえずむりやり身体を起こさないとなんにも食べられそうにない」
「だから毎朝走ってたんだねー」
「ああ」

こうやって弱味を見せてくるのも、寝起きでまだ少しぼけているからなのだろうか。赤司はずるずると身体を引きずりながら玄関をでた。ついて行った紫原が「いってらっしゃい」と言うが、耳に入らなかったらしい。ほんとうにめずらしいこともあるものだ。キッチンからは黄瀬が作ったらしいオムライスのいいにおいがしてきて、紫原は赤司が帰ってきたら食べられるように取り分けておいてもらおうと思った。


END


たまにはこんな赤司もいいのではないでしょうか。



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