十二日目





全員がバスケ部の練習を終えて帰宅すると、家のドアに張り紙がしてあった。目を通すとそれは断水のお知らせで、どうやら突然水道管の工事につき今晩から未明にかけて断水するらしい。その時間帯が問題だった。あと30分後からなのである。汗まみれの男6人はなんてこったと各々の部屋に飛び込み、着替えを持って風呂場に殺到した。

「緑間っちなんでタオル巻いてるんすか!?」
「お前らに裸体を晒すなんて絶対に嫌なのだよ!」
「男同士じゃないっすか!」
「嫌なのだよ!」

脱衣場で黄瀬が緑間の腰に巻かれたタオルをめぐり奮闘している横をすりぬけだるそうな青峰が潔い全裸でシャワーを獲得。三つしかないので六人もいると早い者勝ちである。といっても青峰は基本的にカラスの行水であるため、シャンプーで頭を洗い、ボディーソープでがしがし身体を流してそれで終了。洗顔は水オンリー。男らしい。その横で赤司が優雅にシャワーを獲得。青峰より幾分か丁寧に髪を洗い、きっちりコンディショナーまでつけた。洗顔もメンズ用洗顔フォームを使う等清潔感がある。そして最後のシャワー争奪戦が180センチ越えの男三人で行われるという暑苦しいことこの上ない横で、早々に湯船に浸かった青峰のシャワーをなんてことない顔で使う策士黒子。

「俺時間かかるんすよ!」
「そんなのは関係ないのだよ」
「寒いーはやくー」
「僕がもうすぐ終わるから敦はすこし待っていてくれるかな」
「わかったー」
「なにその紫原っちびいき!ひどいっす!」
「涼太と真太郎は二人で使えばいいんじゃないかな」
「いやなのだよ!」
「あ、僕使い終わりました。緑間君どうぞ」
「ひどい!」
「結局使えるからいいじゃないですか」

シャワー争奪戦が終わると今度は湯船争奪戦である。はじめ青峰は広々と風呂を満喫していたが、そこに黒子が加わり、赤司が加わり、紫原が入ってきたことでお湯があふれ、足がぶつかりあい、ぎゅうぎゅうになった。緑間が入ろうとしたあたりであがるにあがれなくなった黒子がのぼせたのでそれをひきずり、青峰が退場。入れ替わりで湯船に浸かろうとした黄瀬がみんなに拒否られ涙を流したのは言うまでもない。

「やっぱりみんなでつかれるお風呂欲しいー」

紫原は長居手足をきっちり小さくたたみ随分狭そうにしている。

「それは銭湯レベルでないと難しいのだよ」
「でもみんなでお風呂は楽しいよ」
「こんど銭湯にでも行こうか、敦」
「ていうか俺も風呂入りたいっす!」

お湯が若干ぬるくなったあたりにようやく黄瀬が湯船にありつき、赤司と紫原は退場。なんだか気まずい雰囲気である。

「緑間っち結局タオルはなさなかったっすね」
「お前には関係ないのだよ」
「え、なに、緑間っちってかぶってたりするんすかーなんて」
「タオルはかぶらないのだよ」
「いや、そうじゃなくて、したが」
「なんの話なのだよ」
「え、いやだから、包茎なんじゃないのってそういう…」
「法経?法学なら赤司だろう。お前はさっきから何を言っているのだよ」
「え、緑間っちまじ…?」
「だからなんなのだよ」

ほんとうになんだかわかっていないらしい緑間に、彼は中学高校と何をしてきたんだと黄瀬は気が遠くなった。そうこうしているうちに断水。湯船もぬるくなるばかりで二人もようやく風呂場をあとにした。リビングではいまだに黒子がのびていて、それを青峰がめずらしく介抱していたのだけれどそれはまた別の話。今日も騒がしく夜がすぎてゆく。


END

なんか小話らしい小話でバタバタしてしまっててすみません。
天然純粋な緑間とのぼせる黒子が書きたかったんです。



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