ばらばらになるまであいしてごらんよ






臨也は変態である。静雄は確かにそう認識していた。学生時代のある日、臨也と顔を合わせたら突然「シズちゃん愛してる!」と言われた。気持ち悪すぎて吐きそうにになったが、言った臨也が先に吐いた。その後静雄も吐いたのだがそれは多分すえた臭いに耐えられなかったからだ。胃の中身を思う存分ぶちまけてフラフラになった臨也は「シズちゃんお願いだから死んで」と言った。意味がわからない。フラフラになった臨也がナイフを構えて襲いかかってきたので静雄もフラフラだったが思いっきり腹を蹴ってやった。すると臨也はぶっ飛んで緑色したフェンスをひしゃげさせた。地べたに転がった臨也は何故か恍惚とした表情を浮かべていて、セリフをつけるなら「ああ幸せ」。しかも勃起している。不自然に持ち上がった制服の股間部分に静雄は背筋を舐められる心地がした。そこを踏み潰してやろうかとも思ったが、ブツが靴底を隔てて足裏に触れるのかと思うと心底気持ち悪すぎてできなかった。気付けば静雄は雄々しすぎる悲鳴をあげながら周囲のものに当たり散らし、破壊の限りを尽くしてその場から逃走していた。生々しすぎるその場面を静雄は今でも夢に見る。臨也は
途轍もない変態だ。


「シズちゃん愛してる」

この数年で臨也はそう言っても吐かなくなった。逆に静雄は吐き気と頭痛を同時に催すようになった。殴りたかったが、できない。薬を盛られていた。知らない部屋のソファに転がされ、静雄の腹の上に臨也はいた。それから彼はねっとりと舐る調子でまた「愛してる」と囁いた。その言葉にはあの時よりもずっとずっと猥雑な感情が籠もっていそうで静雄ははじめて臨也を恐ろしいと思った。


END



title by joy





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