電波発信源






桂小太郎、通称ヅラは今日も真面目に朝練をし、授業をうけ、昼練をし、午後の授業をうけ、部活にいそしみ、8時までには家に帰る。彼は頭髪に関すること以外の校則は全て守ったし、剣道部の三年生では唯一の優等生と言われる成績も治めていた。が、やはり彼にも一癖どころか十癖くらいはあるのだ。彼の頭のネジというネジは緩むか抜けるか大破するかしていて常人には理解できない脳の構造をしている。彼がぼんやりしている時は必ず頭の中に小宇宙が存在するのだ。

そんな桂は現在部室の机で1人日誌をつけていた。部活動を記録する為のものである。昨日の記録を拝見してみるとこれがまた悲惨な具合になっている。

『○月×日晴れ
今日も高杉がパンツを履かずに部活に出ていた。何度注意しようと直す気配がない。パンツといえば、最近、大型スーパーで旅行用の紙パンツを見つけました。買おうと思ったけど買いませんでした。なんだかさっきから背中が痒いです。あ、坂本が掻いてくれました。彼はいい男です。む、坂本が尻を撫で始めました。それにしても銀時は今日も部活に来ない。けしからんと思います。あ、坂本、また背中が痒くなってきたから掻いてくれ。』

悲惨である。これを毎日読まされている顧問の先生が哀れでならない。


「ヅラぁ、終わったかのー?」
「む、今書き終えたところだ」

入り口付近から声を掛けたのは桂にご執心な坂本辰馬で、それはよかったとすかさず部室に入り込み後ろ手に鍵を閉める。彼はいつだって桂の尻を追いかけまわしているのだ。一方桂はパタンと日誌を閉じ、座っていた簡素な椅子から腰を上げる。桂は未だ袴姿であった。着替えようと坂本に背を向けると、坂本は突然それを後ろから抱きすくめ、耳元で「なぁ、着替えさせちゃる」と妖しげに。桂は動じず「着替えくらい1人でできる」とそっけない。しかしながら坂本は着物の胸元から手を差し込み、桂のまっ平らな胸を弄り首もとに唇をつける。あからさまに性的な行為だったが、こんなことは日常茶飯事になっている今日この頃、桂は面倒そうに着替えを進めるばかりだ。これには坂本もお手上げで、巻き付けていた腕をほどく。感じていない筈はないのだが、桂はそれを性的なものとして受け取ろうとしない。彼の天性の鈍さが、彼を助けていると言って過言ではなかった。坂本は興が醒めたとばかりにぼんやり桂の生着替えを鑑賞。乳首がピンクだった。今日のパンツは『一撃必殺』の男らしいロゴが入っている。言い換えれば、悪趣味。たまにキ●ィーちゃんの可愛らしいトラ
ンクスだったりするのだが今日はハズレのようだった。

「小太郎は今日もつれんのぅ」
「俺は魚じゃない」

どこか見当違いな発言も日常茶飯事。坂本は適当に受け流し隙あらばとやはり桂の尻を狙っている。腹黒いったらありゃしない。そんなこんなで桂の1日は今日も坂本に尻を撫でられながら終わるのであった。


END



電波な桂が難しすぎる件。



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