天然の腹黒






さて、賑やかな剣道部の頂点に立つ男、坂田辰馬は笑顔を絶やさない好漢であるが、それはあくまで表向き。彼が根っからの腹黒だということは高杉と坂田は重々承知していた。が、天然電波な桂だけが坂本はいいヤツだと思い込んでいる。いくら坂田と高杉があいつは腹黒いと教え諭しても「お前ら何を言っているんだ」とまともに取り合ってさえくれない。さらにそれが坂本にバレたあかつきには血祭りの刑が待ち受けている。坂本の長い足を生かした金的攻撃を食らったら最後、色んな意味で再起不能。向こう数十分は悶絶するハメになる。情け容赦ないのが坂本の専売特許であった。

さらに彼は部長の桂小太郎にいたくご執心な様子で、ことあるごとに二人きりになっては押し倒そうと画策している。人妻好きで有名な桂の処女喪失は案外遠くないやもしれぬ。だがそれでは純粋な桂があまりに可哀想である。彼は男であったがなんとも中性的で、男子生徒にも人気があった。そこで一時期桂の貞操を守る会が結成されたのだった。が、しかしその組織は結成してから一週間と経たずして壊滅。犯人は言わずもがな。やはり色々と再起不能にされた男子生徒は坂本が近くを通るたびにガタガタ震えだすとかださないとか。恐るべし坂本。彼は色んな意味で頂点に立つ男である。


「桂は今日もいい尻しちょるのう」

坂本は毎日一回は桂の尻をなで上げる。滑らかな曲線がなんとも扇状的だ。桂は驚きもせずそれをひねり上げ、坂本のでこをぴしりと打った。

「こら、尻を触るな尻を。俺が男だからまだいいが、女相手にやってみろ。すぐさま警察いきだ」
「わしは桂以外興味ないからの、心配無用じゃ」
「全く貴様は冗談がうまい」

溜め息一つ、桂は坂本を解放する。するとすぐさま坂本は桂の肩に腕を回し、ニコニコと「今晩暇かえ?」と聞くものだから周りは静かながらも皆さん内心はどよめいている。ちなみに一連の動作は全て公衆の面前、体育館内で行われている。恐るべし坂本。

「夜は出歩かぬ。門限が8時だからな。ほら早く防具をつけて稽古せんか」

竹刀でぴしりぴしりと坂本の尻を打つ桂に一同騒然。しかし当の本人等はなごやかなムードとしか言いようがないという奇跡。こんな感じで今日も第二体育館は平和である。


END



坂本が真っ黒。
しかしギャグが書けない。
ギャグが面白い方は尊敬します。



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