変態どものワルツ







高杉の脚は美しい。創り物のように生白くて毛が薄いのだ。真っ白だろう骨を包むピンク色の肉としなやかな筋肉。それが野性的な美しさでもって配列し筋繊維に美が練り込まれているのではないかとすら思われる。万斉が高杉を好きな理由は殆ど足だった。彼は生粋の脚フェチで脚でしか人を判断出来ない。脚が美しい人ならばどんな悪人だろうと好きになれたし逆にどんな善人だろうと美乳だろうと脚の醜いものは好きにはなれなかった。寧ろ視界に入るなとさえ思うこともある。女の足も美しいが万斉は専ら男の脚が好きだった。変態と言ってしまうには余りに彼が純粋だった為に周囲は万斉の好みについては口に出さない。するとそれは間違った方向へねじ曲がり、例えば総督に悪趣味な紫色でラメラメなピンヒールを履かせてみたりした。総督はというと別段気にした様子もなくそれに美しい足をするりと滑り込ませ、難なく履きこなしてみせる。だから総督と万斉が二人っきりになっている部屋には誰も近付こうとしないのだ。アンアン総督が喘ぐ声に耐えられぬのもそうだが、室内で何が行われているのか想像するだけでも恐ろしいからだ。するとまたしてもそれは酷く間違った方向にねじ曲
がる。総督は、高杉は、悪ノリというものが跳び箱よりも得意であったので、あろうことかその紫ピンヒールで万斉の乳首をやたら踏みたがった。それが下腹部でなかったのは彼なりの情けであろうか。そんなことは問題でないのだ。ある日は散々精射してだらしなくなった万斉をゴロンと畳に転がすとだるい身体に鞭打って身体をおこし、脱げ掛けの汚れきった着物で音を立てながら「おいこらもう終いかだらしねぇ」と彼の乳首をぐりぐりと刺激するのだから堪らない。万斉はぐぅだかひぃだか情けない声を出して高杉の脚を退かそうとする。しかし何故か元気になる彼の下腹部。悲しいかな彼はマゾヒストだった。高杉はサディストだった。全く運命だとかは変な方向に傾いてゆく。高杉は快楽主義者だったので元気になる万斉を見てニヤニヤとだらしなく笑った。彼のはだけた着物から伸びる脚の美しさに万斉は痛みの中で目眩すら覚えた。もう彼の網膜は虚像しか結ばない。高杉の脚が輝いてすら見えて、ピンヒールは完璧なフォルムでもってそれを包んでいる。うっとりそれを見る万斉を「気色わりぃ」と罵ることを忘れずに、高杉は「あと二三回は付き合えよな」とピンヒール
をどかして変わりにいやらしい指でその胸をなぞった。今夜もオールナイト、全く総督は元気でいらっしゃる。


変態どものワルツ


END






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