夏といえばもうひとつ






「やべー、全く勉強してねぇわ」

机にぐでっと寝そべるのは坂田である。夏休みを控えた今日この頃、終業式よりも期末試験が近付いていた。試験一週間前からは部活動禁止、というのがこの高校の決まりで、放課後は居残り勉強。坂田も例に漏れず居残っていたのであった。さらにそれは他の3人も同様で、4人して机を突き合わせての勉強会。

「銀時、そんなことを言っている間に勉強したらどうだ。古典と地歴なら教えてやるぞ」
「数学が苦手なんだけど」
「なんじゃ金時は数学が苦手か!わしが得意じゃき、教えちゃる」
「坂本かよー」

ブーブー文句は言うものの、赤点を取っては洒落にならないので素直に数学のテキストを開く坂田。

「じゃあlog教えて」
「ふむ、こりゃ英語の問題かぇ?」
「はい問題外!お前数学得意じゃねぇのかよ!!」
「四則計算ならまかせちょれ!」

ぐっと親指を立てる坂本は正真正銘の馬鹿である。銀時は猛烈に坂本の親指をへし折りたい気分になった。

「なぁヅラぁ、『かたはらいたし』ってどんな意味だっけ」

質問したのは高杉である。高杉は先程から熱心に源氏物語を訳している。源氏物語というのはプレイボーイな光源氏が色んな女性とベッドインする物語である。嘘である。

「きまりが悪い、いたたまれない、みっともないという意味だな」
「ああ、誰かさん二人の頭に乗ってるもじゃもじゃを指すような言葉だな。サンキュ」
「だぁれがもじゃもじゃだああああ!!」
「あっはっはっ!覚えとけクソチビ!」
「チビじゃねぇし!」

ことある事に消しカスが宙を飛ぶのはご愛嬌。しかしながら、と高杉は教科書に視線を戻す。

「なんで源氏物語ってセックスしてんのにセックスシーンの描写が無いんだ」
「いや、お前何で古典にエロス求めてるわけ?セックスシーンなんざ出したら保健体育の授業になるじゃねーか。先生気まずいじゃねーか」
「だって藤壺宮と源氏ってこれ、セックスしてんじゃねぇか!なのになんでセックスシーンカットされてんだ!前年齢対象ですかコノヤロー」
「前年齢対象に決まってんだろバカヤロー。つーか桂、日本史教えろ。幕末の動乱」

源氏物語を18禁にしかねない高杉の現代語訳はさておき、坂田は数学を諦め日本史へ。期末試験の勉強で一番時間がかかるのが日本史である。ちなみに世界史は一年生で習ったので未履修問題とは無縁だ。

「幕末はアレだ。ツンデレ薩摩とヤンデレ長州がなんやかんや手を組んで甲斐性無しの幕府を倒すんだ確か。あとからちゃっかり土佐と肥前が加わって明治維新」
「大雑把すぎるわ」
「…幕末、それは男達が刀を取り戦い抜いた最後の時代…」
「壮大すぎるわぁあああ!!!」

桂のナレーションを聞いていたら何時間かかるかわかったもんじゃない。坂田は日本史を諦め実技教科で点数を稼ぐことに。ちなみに実技は家庭科と保健体育である。

「なぁ高杉ぃ保健体育教えて」
「男ピーを女のピーにぶっさして精液注入すりゃガキができる」
「死ね!マッハで死ね!しかも範囲外!」
「あ?マッパで死ね?脱ぐぞ!最近制服とかゴワゴワしてて正直邪魔なんだよな!」
「黙れよ変態」

さっさとワイシャツを脱ぎ始める高杉はさておき、銀時は仕方無く英語をやることに。この中に英語が得意な奴はいないため口出しされずに済む。

「あー、too to構文わかんねぇわ」
「〜すぎて〜できないじゃなかったか」
「ああ、坂本は馬鹿すぎて勉強できない、的な」
「む、聞き捨てならんの。金時はアホすぎて死ぬの間違いじゃろ」
「いや構文関係ねぇし!」
「馬鹿者が。正しくは高杉は身長が低すぎて高いところのものが取れない、だ」
「よーし歯ぁ食いしばれヅラぁ」


その後もなんやかんやでまともに勉強できず、桂以外の三人はテストで悲惨な結果と残してしまったとか。ご愁傷様。


END




攘夷四人は個性的すぎて私では書ききれない^^

てか剣道部パロなのに部活関係無い話が続いてるっていう悲劇。


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