※マダガスカルで、アレックス→マーティっぽい散短文。




スローな、スローな、スローなダンスにしてくれ。


お前はいつだって俺より先に行くんだな。
口には出さないけれど、俺はそう思っていた。

マーティはまるでサーカスの人間大砲みたいだ。
ドカンと打ち上げられるようにして、俺にはとっても追いつけない爆発的なスピードで、
遠くへ遠くへ勢いよく、一人で飛び出して行ってしまう。


セントラルパーク動物園を出て行きたいと言った時だって、
アフリカで俺がくだらない悩みを抱えていた時だって、そうだ。


お前はいつも、俺より一つ先の場所を見て、次の瞬間にはそこに立っているんだ。


そうして、その場所でさも当然のような顔をして、俺を待っているんだ。
『なにしてるんだよアレックス、早く来いよ!』ってな。

ねえ、俺は、そういうの嫌いじゃないよ。

俺は、意地っ張りで、強がりだから、まるでいつだってすぐにお前のそばまで行けるような顔をしているけれど。


こころの中ではずっと、お前に追いつくのに必死で、泣きそうなんだ。

俺を置いていかないで、俺の、そばにいてって。


だけどお前はそんなことはお構いなし、先へ先へと行ってしまう。
知らないうちに俺のずっとずっと前へ行ってしまう。

俺がお前の体のシマシマを、ゆっくり数えているうちに。
お前の陽気な声を、笑ってぼんやり聞いているうちに。


だから、俺はいつだってお前を追いかけるよ。
いつだって、置いて行かれないように必死で、お前を捕まえに行くよ。


だから、いつか、俺と、スローな、スローな、スローなダンスを。


俺の夢なんだよ。マーティ。



「スローなダンスにしてくれ。」




END.

という、アレックスのポエムでした・・・/(^o^)\
題名は「スローなブギにしてくれ」という映画から。
見たことはないですけど、いつも題名が気になっていたので。

マーティはいつだってアレックスの一つ向こう側に立っていて、アレックスはそれに追いつくのに必死で、だけどそれが二人の関係だと思うのです。
アレックスは、いつかきっとマーティと同じ場所に立って、二人でゆっくりダンスが踊れたらいいなぁと思います。


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