※コワルスキー、ジュリアン女体化で、コワさんは百合の子です。
名前も女性系になっています。
自分設定が濃いので苦手な人はご遠慮ください。





彼女からは、いつも、甘いフルーツの香りがする。


彼方から沸く香り




ジュリアナのことを目で追いかけるようになったのはいつからだろうか。
彼女が、私に触れて来たのはいつだっただろうか。

私は今日も、私たちの基地に入り込んでは任務の邪魔をし、やかましく騒ぎ立てるジュリアナを目で追い、そしてそっと観察する。
べらべらと喋りながら隊長に絡んでいる彼女の腕を、露出された肩や腰を、長く、輝きを帯びて四方八方に跳ね回っている灰銀の髪を、気の強そうな目尻を、磨き抜かれた足のラインを、そしてその爪先を。

私はいつも、それらをわざと冷めたような目つきで観察していた。
彼女を盗み見る私の視線が、誰かに気が付かれてしまわないように。

ジュリアナの体は、どこもかしこも美しく保たれていた。

ドリス、と、それを見て私は思う。
ドリスの優しい頬笑みが、美しい横顔が、流れる黒髪が、彼女に似ていると。
それは、見かけなどといった視覚的、物理的なものではなく、果てしなく感覚的なものであったが、私はそう思っていた。

私はジュリアナを見ていると、そして、ジュリアナが私に触れた日のことを思い出すと、ドリスのことを思い出すようになっていた。

ドリスは、ジュリアナとはまるで正反対の性格をしていた。
知的で落ち着いて、いつも、優しい頬笑みをたたえていたように思う。
私は、賢く美しい彼女にあこがれを抱き、いつしか恋い焦がれるようになった。
ドリスはあの頃の私のすべてだった。

彼女は長く美しい黒髪をしていて、透き通るような白い肌にはいつも、ほんのりと赤みがさしていた。大きな瞳は憂いを帯びて、その桜色の唇の両端がきれいに上がるのと同時に、いつも優しく細められた。

そして彼女はどんな研究をして、どんな過激な化学物質を扱って、強烈な悪臭の中で実験をしていようと、優しい女性の香りがしたのだ。

私はと言えば、青とも黒とも茶色ともつかない色の、中途半端な長さのくせ毛の髪に、不健康そうな青白い肌をしていた。笑い方もぎこちなかったように思う。
そして薬品や、爆薬や、コーヒー、合成甘味料の入り混じった、何とも言えない香りを漂わせていたと思う。

私はドリスと一緒に並んでいると、嬉しさとともに強烈な劣等感を感じた。
彼女の隣にいることはとても幸せであったけれども、美しい彼女と並ぶたびに私は、自分が女だということを恥じ入っていた。

私は、昔から女という性にコンプレックスを感じていた。
必要以上に高い背丈も、細すぎる身体も、どこか眠そうで華のない顔も、男性が苦手なのも、何もかも好きではなかった。

ドリスの隣に立つたびに、ドリスに恋い焦がれるたびに、いつも、自分は女として、とても不完全な気がしていた。

そうだ。ドリスは完璧だったのだ。
そしてジュリアナもまた、完璧なのだろうと思う。

ドリスが美しく完成された女性としてそこにあったように、
全身で自らの魅力を見せつけて、強烈に女として完成されているジュリアナ。

私はきっと、ジュリアナのそこにドリスの影を見出している。

ジュリアナ。
彼女からは、いつも、甘いフルーツの香りがする。

私はそれを嗅ぐたびにいつも、あの日のことと、ドリスのことを思い出す。


※補足
ツイッタのフォロワーさんとの妄想で、コワルスカはジュリアナに一回レイプされています。あの日のこととは、その日のことです(笑)
ジュリアナに初めてを奪われたコワルスカは、
どういうわけかジュリアナのことが気になってしまっているようなのです。

自分設定や身内設定が濃いので載せる予定じゃなかったのですが、ちょっと気に入ってしまったので公開します。ごめんなさい!



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