「ナイルさん、結婚してください!」
「あのねお嬢ちゃん、物事には順序ってもんがあるわけよ」
「じゃあそれを教えてください!」

ちょっと待て、頭を整理する時間が欲しい。

目の前にいるのは俺の実家の近所のガキだ。
まったく誰が憲兵団本部まで連れてきたんだか。

少女なんて言葉で表現してやろうとも思ったがやめた。
こんなションベン臭いのは性別なんてどうでもいい、ガキだ。

「まず、恋人同士になってから結婚を考えるんだ」
「じゃあ彼女にしてください」
「そういうのはデートしたりとか、互いのことを知らないとダメなの。わかる?」
「わかりました、デートしてください」

今時のガキってこんなもんなの?
こんなにも好いてくれてありがたいとは思うが、流石に子供に対してそのような考えを抱くようでは犯罪者だろう。
仮にも憲兵が犯罪だなんて、響きが最悪だ。

何度説明しても聞いてもらえない。
俺は子供と付き合いたいとは決して思えないことまで言ったのに、顔色ひとつ変えずにそれでも頑張るからなどという。

「わかった。なまえちゃん、今いくつだった?」
「12です」
「今後はご実家を継ぐのか?」
「いえ、私は訓練兵団を志願します!」
「そうか、希望兵団は?もしかしてうちか?」
「はい!憲兵団を目指しています!」
「じゃあうちに来れたらデートしてあげよう」
「本当ですか!?やった!頑張ります!」

訓練兵団なんて地獄だから、そこで鍛え抜かれていればこんなおっさんのことなんて考える余裕もないだろう。
そんな態度では憲兵になれないのも知っている。

それに、同じような年頃の男もいっぱいいるわけだから、目を覚ましてくれればいいとも思う。
二回りも年上の男にそこまでして夢中になれるはずなんてないのだから。



そんな希望も砕かれた。
今年の新兵リストを見ていたらなまえの名前があって、俺はそこでようやく何年も前にそんなような約束をしたことを思い出した。

だがきっと彼女にとってもそのような程度のものであろう。
あわよくば忘れてくれていて、何もなかったように接してくれればいいと願う。

なのに、

「ナイル師団長!」
「ん?」
「やだ、私とデートしてくれるって言ったの忘れちゃったんですか?」
「えーと…?」
「なまえです!ちゃんと憲兵になりましたよ!」

変な叫び声が出てしまったのも仕方ないだろう。
あんなにションベン臭かったガキが、見違えるような女性に成長しているなんて思わなかった。
子供の成長なんて知らねぇよ、どうせ独身だよ。

「いつでも大丈夫です!でも、約束は守ってくださいね?」
「あ…お、おう…」
「ずっとずっと、会いたかった」

ぎゅうぎゅうと遠慮なく抱きついてくる様はやっぱりガキだ。
兵士で、それもいきなり憲兵団になるような奴なのに、こんなにも柔らかくて壊れてしまいそうな身体なんてどうしたらいいのかわからない。


「俺はそこそこ忙しいからな、予定なんてあってないみたいなもんだ。だから、今からで良ければ…するか?」
「勿論です!ああ、でも、私、こんな団服で来ちゃいました…」
「じゃあそれを着替えるところからデートとするか。ちょっと待ってろ、着替えてくる」
「えー!私はこのままなのにナイルさんは着替えるんですか?」
「この格好でエスコートしたら仕事に見えるだろうが」

俺が直接警護に当たるのなんてザックレー総統しかいないぞ。
不満気にしたり顔を赤らめたり、忙しい奴。




「あの、ナイルさん…少し可愛すぎる気がするのですが…」
「ほっそい手足が際立っていいじゃねぇか。それに、そういうのも似合ってるけどな」
「ナイルさんはこういうの、お好きですか?」
「そりゃ嫌いなもん人様に押し付けるわけねぇだろ?」

そう言ってやれば、また顔を真っ赤にして俯く。
鏡に映る彼女はふわふわのワンピースを着ていて、兵士には見えない。

それから最近よく話題になるケーキを出す店に連れて行ったり、夜空が良く見える公園に連れて行ったり、思いつく限りのデートスポットに連れて行った。
もう何年も恋人なんていなかった上にこんなにも歳の離れた子とデートなんてしたこともなかったしな。




それから俺達が付き合うようになるまでは、あっと言う間だった。
思春期特有の、年上に対する興味がきっかけであったとは思うが、それでも何年も思われ続けて嬉しくないはずはない。
外見と同じように目覚ましい成長を遂げた彼女の性格は、一緒に居て心地いいものであった。

時々わざと困らせるようなことを言って楽しんでいるところはあるが、基本的に俺を立てて着いてくる甲斐甲斐しさとイエスノーをはっきり言う芯の強さは好きにならずにいられなかった。
それに、まだ成長途中の彼女は毎日毎日見る度に綺麗になっていっている気がする。

「ナイルさん、私たち付き合ってもう3年ですよ?私、もう18ですよ?」
「はい…そう、です…」
「何がそんなに気に入らないんですか?まだ魅力無いですか?」
「そんなことは…でもなあなまえ、俺は40越えたおっさんで、お前はまだ成人前だ」
「だから何ですか?勃たないんですか?」
「…淫の行だよ…俺、捕まる……」

初めて出会った時からもう何年も時が過ぎたのだから、なまえは成長するし俺は老いる。
憲兵団の師団長という肩書きをなくしてしまえば、ただのくたびれたおっさんであることは自覚している。

だから、怖いのだ。
なまえがある日突然我に返って、俺がただの中年であることに気付いたら。
初恋の相手がおっさんだったなんてのは笑い話にでもなるが、処女までそいつに捧げたなんてのは笑えない。
笑えないだけならまだしも、彼女はそれを一生引き摺っていくのかと思うと目も当てられない。

成人するまであと2年、早く気付いてほしい。
道を踏み外す前に、早く。







神ってやつは結局いなかったんだな、と思う。
俺の希望を引き抜いて踏み躙るのが得意なようだから、存在したとしてもそいつは生粋のサディストだ。

「ナイルさん、わたし今日で二十歳になります」
「おー、おめでと」
「…ナイルさん、」
「なんだよ、忘れるわけねぇだろ?美味い酒飲ませてやるから夕方まで待ちなさい」

むすっとして膨らんだ頬を突ついてやると、それでも抱きついてくるところが可愛らしい。
本当に、どうしてこうなったんだか。




「ナイルさん、これ、おいしいです!」
「だろ?ほれ、気に入ったならこれも食え」
「それナイルさんの分じゃないですか」
「俺は一口で充分。その代わりにこっち貰ってくぞ」

切り分けた肉をなまえの皿に乗せてやって、隣に添えてあった赤い根菜を拾って俺の皿に移す。
意外と気を遣うタイプのこいつは一方的に何かをされるのが苦手なようだ。

「なまえ、酒を入れる前に少し聞いてくれるか?」
「…はい」
「2年前の約束、覚えてるか?お前が成人したらどうのこうのって」
「嫌な答えなら聞かさないでくださいよ」
「お前は内地の商家の生まれだ、それに憲兵でもあるし、頭の回転も早くて気遣いもできるし、若くて綺麗だ」
「褒めてるんですか?それ」
「勿論だろ。だが俺はどうだ、役職なら師団長だが、それを無くしてしまえばただのおっさんだ。捻くれた性格してるのは自覚してるし、顔も平凡そのものだろ?まあ、身体は鍛えてるからちょっとは自信あるけどな」

はは、と茶化して言ってみたが、なまえは手元のフォークに目を落としたまま顔を上げない。

「だからなんなんですか?私じゃナイルさんに相応しくないですか?」
「どこをどう聞いたらそうなるんだよ、俺が釣り合ってねぇんだよ。もっと若くて将来があって、ツラも綺麗な方が空気がうまいかもな」
「私が子供だからですか?私がもしもナイルさんと同い年だったら、好きになってくれましたか?」
「今でも充分好きだ。好きだからお前に幸せになってほしいって思うんだろ。俺ではお前を幸せにしてやれない」
「そんなの…っ、」

フォークから視線を上げたなまえはぼろぼろと泣いていた。
個室を予約しておいて良かった。
彼女の顔に手を添えて、親指で涙を拭う。

「初めて会ったあの頃からずっとナイルさんしか好きになったことないのに、今更どうすればいいんですか」
「年上が好きなら紹介してやるよ、エルヴィンはツラが綺麗だし、ミケほど優しければ俺も安心だ」
「ナイルさんより優しい人なんて知らないです」

「子供の頃、街で誘拐されそうになった時に助けてくれたのはナイルさんでした。15年前のことです」
「我儘ばかりの私を子供扱いしながらも、ちゃんと向き合って、話を聞いてくれました」
「今だってほら、お肉の代わりに持っていったの、私の嫌いな野菜じゃないですか。誰にでもこんなに優しくするんですか?期待させておいてそれはあんまりですよ…」

「なまえ、そんなに泣くと目が腫れるぞ」
「誰も困らないんですよ、私なんかの目が腫れたって」
「泣いてる女を抱く趣味は無いんだが?」
「…餞別ってやつですか?」
「悪かった、俺が怯えてただけなんだよ。なんでよりによってこんなおっさんなんかを選んでしまったんだろうってずっと思ってた」
「……」
「好きだから、怖かった。いつか目が覚めて俺から離れて行った時に、一番ダメージの少ない方法を考えていたが…俺が離れられなくなってた」
「私、ナイルさんの責任取ります。絶対絶対、私から離れていくことなんてしない。だから、ナイルさんも責任取ってください」

潤んでいるのにまっすぐで、なんて力強い瞳なんだろう。
まるで子供が駄々をこねるみたいな言い方で、さらりとプロポーズされたぞ。






「念の為もう一度確認するが、いいんだな?」
「いいです!私、ナイルさんからなら痛みも我慢できますから!」
「善処はします」

ベッドに横たえて俺が覆い被さっただけで、顔は真っ赤だし声も震えている。
最大限優しくして尽くすつもりだが、こんな様子では痛みに耐えられずに最後までできないことも覚悟した。

左手を伸ばしてなまえの右手と深く絡ませる。
そのまま顔を近付けると目を瞑ったから、できるだけ優しく唇を重ねた。

唇で唇を食んで、少し開いた隙間に舌を差し込んで、舌先から順番になまえを味わう。
時々ぴくりと手を握るから、その反応があったところはもう一度念入りに堪能する。

風呂上がりに巻いたままだったバスタオルを右手で開くと、今度は左手を痛いくらいに握られた。

「どうした?恥ずかしいか?」
「はい…ナイルさんも、その…」
「そうだよな、俺だけ脱がないのも変だもんな」

そう言ってお互いに下着一枚だけになると、なまえは顔を真っ赤にしながらも空いている左手を俺の肩に伸ばす。
ぺたぺたと触って、促すと胸やら腹やらあちこちを撫でたり押したりする。

「おっさんの身体なんてなんも楽しくねぇぞ?」
「好きな人に触れたいと思うのは普通です」
「じゃあ俺もお前に触っていいってことだよな?」

腰に添えた手を、触れるか触れないかの距離でゆっくりと脇腹を上っていく。
それから胸にぴったりと密着させた。

また左手を強く握られて、それでも初めて襲いかかる羞恥心に耐えてくれているのかと思うと可愛らしい。
持ち上げるように手を動かして、徐々に全体を使って揉んでいく。

これをしたところで俺の手が気持ち良くなるわけでもないし、なまえだって同じような感覚だろう。
それでも、少しでも彼女の強張りが和らげばいいと思う。

それにしても、大きさは俺の手にジャストフィットするし肌は吸い付くように瑞々しいし、あと柔らかいのに弾力があって困る。
何が困るって、きっと俺はこれを永遠に触っていられる。

「っ、ナイルさん…」
「怖くなくなってきたか?」
「ナイルさんなら怖くないです」
「そうか」

ずっとただ揉んでいるだけだった指をずらして、次は先端を捉える。
なまえが息を飲むついでに唇を噛むものだから、歯が立てられている部分を舐めてそれを止めろと促す。

観念したのか口を少し開けたから、もう片方の胸に舌を這わした。
辿り着いた突起も満遍なく舌でなぞって、時折軽く吸い上げる。

「ふっ、う…」
「声、我慢するとカエルみたいになるぞ」
「ん…あ、あっ」

身を捩っているつもりなのだろうが、俺に胸を押し付けてしまっている。
なまえの意識がそちらに逸れていることを確認して、右手をゆっくりと撫で下ろしていく。

内腿を撫でて、下着の上からそっと指で擦る。
せっかく溶けかけた意識がはっきり戻ってしまったようで、なまえはまたきつく手を握る。

「まだ痛くないだろ?」
「でも、なんか、くすぐったい…」
「これでも?」
「ひゃあ!やだ、それやだ…っ」

なんとなく上下に行ったり来たりさせていた指で一点を押し潰す。
下着の上からでも分かる、小さいけれどちゃんと膨らんだそこ。

少し力を加えてそのまま円を描くように動かせば、なまえは目を潤ませてこちらを見る。
どうしたらいいのかわからないと顔に書いてある。
ご丁寧にどうも。

「手、空いてるんだったらここ置いとけ」
「肩に、ですか?」
「ああ、腕でもいいぞ。で、抉らない程度に爪立ててもいいからな」
「なんですか、それ…」
「痛くなったら言えよ、止めるから」

するりと肌触りのいい下着から脚を抜いて、これでなまえは文字通りの全裸だ。
先程までしていたように、今度は直接指でなぞる。

控えめな水音を生むそこに中指をそっと入れてみる。
握った手にも、掴まれた肩にも爪が立てられて、やはり痛いのだと思う。

「いっ…あ、ナイルさ…」

きつく指を締め付けられては、きっと抜くために動かしても痛がるのだろう。
頬に一つキスを落として、そこから耳元、首へと小刻みに口付けていく。
くすぐったそうに肩を竦めると、あんなに強かった指への締め付けが和らいでいた。

できる限り中指を動かさないようにしつつ、親指でその上の突起に触れる。
さっきしていたように、なまえの手から力が抜けていく。

「やだ…ナイルさん、なんか…」
「んー?まだ痛むか?」
「痛く、ない…けど、変な感じ…っ」
「なら大丈夫だ、怖がらなくてもいい」
「ふ、っあ…ナイルさ…ああっ!」

また指が締め付けられて、なまえは背中を反らせる。
とろんとした目を見ると、達したのは明らかだった。

「大丈夫か?苦しくないか?」
「だいじょぶ、です…」

呼吸が整うまでは触れるだけでも過敏になっているし、髪へのキスだけで我慢する。
おかしいな、今日は俺と同じ石鹸で髪を洗っているはずなのに、柔らかくて甘い匂いがする。

しばらく繰り返していると、後頭部に手が回されて引き寄せられる。
啄ばむようなキスをしてくれるから、そのまま任せて柔らかな感触を楽しんだ。

「ナイルさん、もう大丈夫です」
「無理してないか?もうちょっと休んだ方が」
「その…ずっと入ったままの指が気になって気になって…痛かったらちゃんと言うので、あの…」
「わかった。でも本当に痛かったり嫌だと思ったりしたら絶対言ってくれよ?」

なまえはきっと、痛くても絶対に自分からそんなことは言わないだろう。
だから俺がちゃんとよく見ていないといけないだろうな。

そのためにも、やっぱり繋いだままの左手は離せない。

唇でなまえの耳をなぞって、少し緊張が解れたところでゆっくりと指を増やす。
ミケのような規格外ほどではないにしろ、一般より大きな体に見合った指の太さであることは自覚している。
それが、なまえの身体にとっては大きすぎることだって分かっている。

なるべく痛みを生まないようにゆっくりと差し込んで、その間も親指で突起への刺激は忘れない。
時折イタズラみたいに吐息を耳にかけると、空気の抜ける音のような声が聞こえる。

爪を立てるどころか、徐々に指から力が抜けていくのがわかる。
気付けば指はもう3本入っているし、そろそろ頃合いだろうか。

指と指を離すように拡げると息を飲むから、やはり痛いのには変わりないのだろう。
ただ、こんな状態のなまえを目の前にして、止まれないとも思う。

「は…ナイル、さん…?」
「もう少し、耐えられそうか?」
「え?…いや、えっ?まさか、それを…えっ?」
「そんなに気持ち悪がらなくても…」

確かにこれを見て造形美を感じるような奴はいないだろうが…
でも流石にそんなあからさまな態度だと傷付くというか…

「気持ち悪いわけないじゃないですか!ただ、初めて、見たので…」
「…嫌じゃなければ、触ってみるか?」
「えっ?」
「いや!いい!!なんでもない!聞かなかったことに…っ!!」

喋っている途中に股間を握られたのは初めてだ。
思い切り掴んだくせに一度手を離して、また包み込むように触れる。
これ、わざとやっているとしたら大変な焦らしプレイだぞ。

「びくってなってます…ちゃんと入る気がしないんですけど、でも、努力するので、捨てないでくださいね…」

アホか。
俺がそんなことでなまえと別れるとでも思ったのだろうか?
だとしたら心外だし、俺が「捨てる」なんてありえないし、努力すべきはこちらの方だろうが。

「先に言っておくと、絶対に痛いからな。でも、こっちの手だけは離すなよ、止まれなくなる」
「これまで散々ブレーキかけておいて、どの口が言うんでしょうね?」
「多分コレだわ」

小さくノイズを立ててキスをして、申し訳程度に開かれた脚を開く。
入り口に自身の先端を合わせると、そこはまるで吸い付くかのような感触がした。

握った手にまた力が篭ったから、顔中に軽いキスを降らせて、もう片方の手で内股をくすぐるように撫でる。
噛み締めていた唇が綻んで声が漏れたのを合図に、ゆっくりと腰を進めた。

「いっ…!!あ、あ…っ!」
「なまえ、左手をここに当てて…呼吸してるのがわかるか?」
「ふ、あ…はい…っ!」

シーツを剥がしかけていたなまえの手を俺の胸に当てて、呼吸と共に上下しているのを確かめさせる。
必死で息をしているが、なんとかこちらの話は聞けているようだ。

「これに合わせて、吸って……吐いて……そうだ、そのままだ」

構造からして、先の方が一番太いんだからこれが通るまでは痛いだろう。
奥まで入れてしまえば感覚が鈍るらしいが、こんなに閉ざされていたら進めるものも進めない。

だんだんとなまえの呼吸が整って、俺のものと重なるようになればあとはこっちのもんだ。
ゆっくり息を吐かせて、その時だけ奥へと腰を進める。

「まだ痛いか?」
「我慢、できます…」
「実はな、もう全部入ってんだけどな」
「えっ?」

だからまたこの子は平気でそういうことを言う…
他人様のご子息の、しかも膨張時なんて見たことなかったけど、もしかして俺ってそんなに省エネサイズなんだろうか?

「ここに、ナイルさんがいるんですね…?」

そんなに嬉しそうに言ってくれるなよ。
粗末で中古品のおっさんが入ってるとか、俺が若い女の子なら泣いている。

「やっと、ひとつになれました…今、幸せです…」

俺の欲しい言葉、それも胸の奥底で期待していたものを拾い上げて渡してくれる。
好きだとか愛してるとか、勿論それも当てはまるんだけれども、こうして身体を繋げて一つにして、皮膚を溶かして全部一緒になってしまいたいとさえ思う。

つい昂って腰を動かそうとしたら、なまえがまた息を詰めて爪を立てた。
別に中で出すことだけがセックスじゃない。
なまえが気持ち良くなって、それを見て俺も気持ち良くなれて、それがいい。

耳に舌を差し込んで、握っていない方の手では繋がった部分の上にある突起を転がす。
鼻から抜けるような甘ったるい声を上げて、何かから逃げるみたいに身を捩って。
そんな初々しい反応を見せるなまえが達したのを見届けて、やや遅れて俺も吐き出した。





「風呂、入れそうか?」
「は、はい…」
「…座るのも辛いってちゃんと言える素直な子は抱っこで連れて行くんだが…」
「この体勢から動こうとすると骨が軋みます…」
「ふ、はは!すまん、意地悪が過ぎたな。全部俺の責任だ」

腰が立たなくなるほど激しくしたつもりはなかったが、それでも未知の体験で未知の体勢をした彼女にとっては当然のことだろう。

「15年間、ずっとナイルさんだけを追いかけてきて良かったって、夢は叶うんだなあって思うとなんだか…幸せすぎて怖いです…」
「いつ、お前の夢が叶ったって?」
「…それ、どういう……」
「なまえは一番初めに俺に結婚を迫ったんだぜ?それはもう無効か?」
「そんなこと、っ!」
「おっさんしか知らない女にしてしまうのは心苦しいが、それ以外は幸せにしてやる。それも、とびっきりのやつな」

我ながらどうなんだと思う。
この、言葉のセンスが。

でも結果的になまえが頷いてくれたからいいのか。
この15年で振り回され方も上手くなったもんだし、残りの人生もいい具合に振り回されてやろうじゃねぇか。

まずは彼女が泣き止むまで、両手と胸板を捧げることから始めるとしよう。



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