「は、あ…っ!ミケ…」
「すまないなまえ、もう少しだけ…」

ミケとの行為が、最近辛くなってきた。

私はミケが好きでこういうことをしているのに、彼は最中に謝ったり、途中で止めたりする。
あの無口で自己表現を滅多にしないミケから告白されたし、きちんと好きだと言ってくれた。

嫌われてはいない、はず。
なら、どうしてこんなことになっているのか。


優しいミケだから、丁寧に時間をかけて身体を開かれて挿入まで至る。
ただ、彼のそれは体格に比例してとても大きなもので、リヴァイよりも小柄な私には少々無理がある。

少々、つまり、ちょっとだけ。
その少々であっても、私がそんな素振りを見せようものならミケはすぐに謝って腰を引く。

「悪かった…痛くはないか?」
「私の心配ばっかしなくても大丈夫だよ…」
「心配にもなる。他でもないなまえに無理をさせるのは嫌だ」
「じゃあ私にもミケを心配させて?」

優しさは時に人を傷つける。
私の中から出ていった彼を捕まえて軽く握ると、慌てて手を振り払われた。

「っ!いい、なまえ、しなくていい」
「どうして?私じゃミケのこと、気持ち良くしてあげられない?」
「そうじゃない…歯止めが効かなくなれば、辛いのはなまえだ」
「私がそうなりたいって言っても?」

セックスだけが全てじゃない。
こんなにも優しくしてくれるミケの言っていることは恐らく正論だろうけれど、それが何の意味を持つだろうか。

私が痛がったのは最初からだし、それでも回数を重ねるのはその行為に快楽を見出したいからじゃないの?

「確かにちょっとだけ痛いけど、やめてほしいなんて言ったことも思ったこともない。それよりも、途中で止められてミケと最後までできない方がよっぽど辛いよ?」

やってみて、やっぱり無理なら仕方ない。
でも、それを恐れて先に進めないのであれば、私たちはきっとずっとこのままだ。

「無理だと思ったら、すぐ言ってくれ」
「ミケもね」




先程まで繋がっていたから、すんなりとそれは入ってきた。
ここまではいつも通り。

少し上体を起こして見ると、やはりミケは全てを挿入しきれていなかった。
その部分だけを見ればあとほんの少しなのだけれど、そのまま自分の腹に視線を移すとその少しが入りきるかどうか危うく感じられる。
大体あの辺りに子宮があるとしたら、そこまでの距離が…
自分で考えてぞっとした。

いや、圧迫感はあるけど、まだ奥に当たる感覚ではない。
だとしたら、望みはある。

「ミケ、きて?」

彼の腰に脚を絡ませて引き寄せれば、遠慮がちに深くなる。
途端に内蔵が押し上げられるような感覚が押し入ってくる。

何かに縋っていないと壊れてしまいそうで、シーツを引き剥がす勢いで握った。
その手の上からミケが手を重ねて、その様子に目を開けると情けない表情。

「なまえ…痛む、よな?大丈夫か?」
「だいじょぶ、だから…っ、ミケは、痛くない?ちゃんと、きもちいい?」
「ああ、すごくいい」
「じゃあ遠慮なんてしないで、もっと激しくして」

こんなことを言って、恥ずかしくないわけがない。
淫乱と言われても仕方ないけれど、彼を感じるために必要なことならばなんだってする。

「いつも途中で止めて、その後ミケが一人で処理してしまうのが嫌なの。あれをされるくらいなら、いっそ壊してほしい」

醜い嫉妬だとは思ったけど、どんなに取り繕った言葉でも彼には通じないから。
なるべく柔らかな表現を選んだけれど、ミケは何も答えないし、表情は長い前髪でよく見えない。

せめて目だけでも見たいと思って顔に手を伸ばすと、指先を噛まれた。
痛いけれど、身体が跳ね上がるほどではない。

「煽ったのはなまえだからな…」
「はしたないって、嫌いにならな…ひあ、や、あああっ」
「こんなにも求めてくれて、更に夢中になる」
「やあっ、あ…!ミケ!みけぇ…っ」

両手でそれぞれ頭と腰をがっちりと固定されて、ひたすらに穿たれる。
一番奥に当たる度に息が止まるほど苦しくなるけれど、その直前にとんでもない快感が訪れる。

自分でも分かるくらいに声が裏返るから、それにミケが気付かないはずもない。
ぴたりと動きを止めて、少しずつ当たる場所をずらして探っていく。

「ここか…?」
「ひあああっ!やだ、そこ、やああっ…!」
「ここだけ感触が違う」

もうミケが何を言っているのか、聞こえてはいるけれど意味までは理解できない。
目の前が白くチカチカして、ミケがよく見えない。

「知らなかった、こんなにもなまえが良くなれるのならもっと早くに気付けばよかった」
「ん、っあ…ミケ、は…?きもち、い?」
「ああ、最高だ。わかるか?ここ、ほら」

ずっと甘噛みされたままだった手を取られて、何かに触れる。
私とミケが繋がっている場所は確かに密着と言っていいほどぴったりと触れ合っていて、その境目をなぞらされる。

「不思議だろう?こんなに小さななまえの中に、全部入っている」
「ミケで、いっぱい…」

手をそのまま上にずらして、お腹を触ってみる。
あんなに大きくて硬くて熱いものが入っているのに、皮膚の上からではわからない。

「…それは反則だろう」
「え?なに、が…あっ、やああっ!」

どのあたりがどう反則だったのか、わからないまま、また奥の寸前を擦り付けるように刺激される。
息を吸うことすら辛いくらい圧迫される。

それもそうだ、ミケは100kg以上あるんだっけ。
それが上に乗って、なおかつ下からは突き上げられて、内臓が出てしまうと思うくらいだ。

「集中しろ。俺を、見ろ」

あなたのことを考えていたのに。
でも、普段は絶対に見られないミケがここにいると思うと、幸福感のようなものが身体の奥から湧き上がってくる。

何度瞬きをしても、もう白以外何も見えない。
叫び声みたいなものが喉の奥から出て、そこで記憶が途絶えた。








「おはよう、なまえ」
「ミケ…おはよう」

眠ってしまっていたのだろうか?
目を開けると、ちゃんとミケが見えた。

腕枕というよりはがっちりと抱え込まれていて、私が抱き枕にされているような体勢みたいだ。

「痛いところは無いか?身体にどこか異変は?」
「大丈夫だよ、そんなにか弱くないもん」
「力を込めたら折れて潰してしまいそうなのにか?それに、真っ赤になって誘ってくるあたりも」
「それ以上言わないで!」

手のひらを顔に押し付けて、その口の動きを止めた。
と思ったら、手首を取られて猫みたいに舐められてしまう。

そこに性的な意味合いもあったのかも知れないけれど、くすぐったくて笑ってしまった。
ヒゲも擦れるから我慢できなかった。

「遠慮は、もうしない」
「二人で貪るほうがいいこともあるってことね」
「ああ、ちなみに今は我慢しているんだが、これもしないほうがいいか?」
「まさかもう一回…?」

ぐっ、と抱き締められると太もものあたりに熱が触れる。
でも素直に求められて、嬉しくないわけがない。

「いいよ、ミケ」
「なまえ…」
「ミケー!ミケミケミケ!大変だよー!」

唇が触れ合う寸前で、ドアが物凄い勢いで叩かれた。
その音の合間から聞こえるのはハンジの声だ。

簡単にシャツを羽織って、ミケが少しだけドアを開けて顔を出す。

「どうした、ハンジ?」
「大変なんだよ!なまえが居ないんだ!」
「…は?」
「だからね、昨日の夜中になまえの叫び声が聞こえたって言われて探してるんだけど、部屋に居なくて、でも朝になっても戻ってこないし本部の外へ行ったのかも知れないし、本当にどこ…行っ……」
「すまないな、一晩中ここにいたが?」
「うっひょおおおお!!エルヴィン!リヴァイ!ミケがなまえの開発に成功したよ!!」

最悪だ。
あんなに大声で廊下を駆け抜けたら、恐らく朝食の時間までには団員の8割まで広まってしまうだろう。

というか、そんなに大声で叫んでしまったのだろうか。
それによく見たらミケの身体は鬱血、歯型、引っ掻き傷のオンパレードで、ああもうどんな顔で今日からここで過ごせばいいの?

「虫除けにはなっただろうか」
「女の子ですら寄ってこないわよ、このウォール・ザカリアス」
「それも悪くないじゃないか」

ミケが感情を口や顔に出すようになったのは嬉しいけれど、思ったよりも人間らしい独占欲に満ちた人だったみたいだ。
それを独り占めできることに幸せを感じる私も相当人間臭い。

また全身で受け止める102kgは、きっと幸せの重み。




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