ムーランルージュ


ジュニアが一人でお出かけしてみたいと言って聞かないので、ナイルのご両親に預かってもらうことになった。
夜のおむつは外せないけれど、食べ物もほぼ大人と変わらないし、送り迎えはしたし。

それでもジュニアは喜んでいたし、ご両親もナイルに瓜二つの孫が可愛いのか二つ返事で引き受けてくれた。
だから久しぶりに静かな夜だったのに、穏やかな夜ではなかった。



「風俗に行きたい」
「……は?」

ソファで読書していた私の前に正座して、何を言い出すかと思えば…

「うん、まあ、あの、男の人だからそういうのも仕方ないとは思うんだけどね?セーフティセックスをお願いしたいのと、出来れば私にはバレないように行ってほしいかなと」
「何言ってんだ?ナマエにバレないように…行く?」
「流石の私でもさ、他の女の子を抱くって宣言されたらショックなんだけどな…」

何でも隠さないのはナイルのいいところだと思っている。
勿論、職務上のことは絶対に漏らさないけれど。

でも、私に向かって風俗に行きたいとは、他の女を抱きたいということで。
つまり私を抱きたくないということだろう。
飽きたのか、実は前から我慢していたのか、理由はわからないけれど。

「なんでナマエじゃない奴を抱くんだ?」
「え?だって、風俗、行きたいって…」
「だからナマエに頼んでるんだろうが。俺がお前以外で勃つと思うか?」
「いやちょっと意味が分からないんですけど」
「デニスがな、最近話題の風俗に行ってきたって話してて、すげぇいいなって思って、で、ナマエにしてもらおうって…」

じゃあ最初から風俗プレイがしたいって言いなさいよ。
変な言い方をするもんだから、受けなくてもいいショックを受けちゃったじゃんか。

「なにその話題の風俗とやらって?」
「おっぱいパブ」
「は?」
「おっぱいパブ!!」
「聞こえてんのよ、どういう風俗なのかって説明を求めてるの!」
「俺が座って、その上にナマエが向かい合うように座って、キスとおっぱい触り放題舐め放題」
「あんまり言いたくないんだけど、普段の対面座位での愛撫のしつこさはそれに該当しないの?」
「おっパブは挿入無しだもん」

だもん、じゃねぇよおっさん。

「ごっことは言え風俗なんだから、いくらか貰えるのよね?」
「ああ、まあ現金だとアレだから何か買ってやるよ!服か?ネックレスか?それとも」
「お鍋がいい。圧力鍋」
「お前、もっと欲ねぇのかよ」
「圧力鍋の凄さ知らないの?それにちゃんとした物は高いんだから」
「ナマエがいいならいいけど…」

圧力鍋ならあんな料理もこんな料理も作れる上に、普段よりずっと早く完成するんだから。
ああ、夢が広がる。

「やるからには本気でするよ。準備したいものがあるから明日以降にしてくれる?」
「明日がいいです!」
「分かった、じゃあ、シャワー浴びて帰ってきてね」
「本格的だな…すげぇ燃える」
「はいはい、じゃあ今日はお預けね?おやすみー」
「えっ?おい!今日と明日のあれこれは別だろ!」

うるさいなあ、この家、防音は大丈夫だったっけ?
それに今日のお預けは変な言い方をした罰だ。










「ナマエっ!?おい!ナマエ!!」

次の夜、ナイルはただいまも言わずに大声で帰ってきた。

「いるよ、ここにいるってば!静かにしてくれないと騒ぎになるでしょ?」
「家、真っ暗で………ちょ、え?ナマエ?なにそれ…」

あえて真っ暗にした家の中で、唯一リビングだけは小さな明かりを用意した。
それも赤い布で覆われたライトひとつだけど。
加えて私の格好は普段滅多に着ることの無いバスローブだけ。

「いらっしゃいませ、当店のご利用は初めてですか?」
「あ…はい…」
「料金は時間によって設定されていまして、延長も可能ですよ」
「じゃあこの、Lサイズ圧力鍋コースで」
「かしこまりました。当店のルールとして、基本的に上半身まではお好きになさってください。それ以外へのタッチはご法度です。本日出勤している女の子のリストはこちらでございます」

そう言って重たい表紙のそれを差し出すと、その手ごと握られる。

「お姉さんがいいです」
「でも、こんなに可愛い子もセクシーな子も…」
「指名できるまで何時間でも待つから、あなたがいい」

旦那の解答としては完璧だろうけれど、私が半日かけて用意したこのリストに目もくれないとはどういうことだろう。
前にエレンが兵長に没収されていた大人の写真集から抜粋して、顔の部分だけ調査兵団の精鋭になっているこの傑作を見ないとは。

裸で絡み合う巨乳のエルヴィン団長とミケ分隊長のコラージュページはナナバにあげよう。
リヴァイ班の水着ページはペトラがもらってくれるだろう。


「かしこまりました、お席へご案内致します。お飲物は如何なさいますか?」
「終わってからアルコールを注文するから、先にお姉さんを…名前は?」
「お好きに呼んでください」
「じゃあ、ナマエ」

手を引いてソファに座らせると、早くしろと言わんばかりに太ももを叩いて乗れと促してくる。
言われるがままに向かい合って座って、羽織っていたバスローブを足元に落とすと、ナイルはわかりやすいほどに動揺した。

そりゃそうだろう。
今の私は着ている意味がないくらいスッケスケなベビードールと、紐パンのみしか身につけていない。

「っ、あの、ナマエ?」
「こういうのはお嫌いでした?」
「まさか!ナマエがこんな格好するとは思ってなくて…」
「お客様の好きにしてください」

両手をナイルの肩に置けば、瞼に唇が落ちてくる。
鼻、頬と続いて唇を割って舌が入ってきて、ほんのりと煙草の香りと苦みが口内に広がった。

ちゃんと息継ぎさせてくれるのは普段から変わらない。
なのに、私はほぼ裸、一方ナイルは団服のままで不思議な感じがする。

唇をあむあむと甘噛みされつつ、肩を抱いていた手が降りてきて胸の上で止まる。
自分で所望したプレイなはずなのに、そんなぎこちない手つきで撫でないでほしい。

「っ、何か…?」
「いや、重そうだなあと」

下から持ち上げるようにしながらも少し揺らしてくる。
出会った頃より重くしたのはどこの誰だと思っているのだろうか。

薄いメッシュ生地越しに先端を摘まれて、これは何回されても慣れない。
ナイルはきっと私よりも私の身体については知っているはずだ。
特に胸なんて自分の身体なのにナイルの方が絶対たくさん触っているに違いない。

だからどんな触れ方をされても気持ち良い。
強く抓られて痛みを持ったそこをくすぐるように撫でられると、つい肩を掴む手に力が篭る。

「脱がしても?」
「どうぞ」

一応聞いてきたところは褒めたいけれど、ひらひらした裾を掴んで頭から抜くそのスピードは宴会でやる早着替えレベルだった。
目の前にいるのは私の旦那で、しかも結構なおっさんで、その人しかいないのに、どうしてこんなに恥ずかしいんだろう。

いたたまれなくなって前髪をかきあげて生え際にキスをしたら、そのまま抱き寄せられた。
片手で少し私のお尻を持ち上げるようにしているから、胸がナイルの顔に直撃している。

「…しあわせ……」

両手を私の胸に添えて、間にある自分の顔を挟んで、それはそれは楽しそうな声がする。
鼻息かと思ったら深呼吸で、余計に気持ち悪い。

襟元を掴んで引き剥がしてやろうとすれば、ヒゲが擦れて少し痛い。
柔らかい毛だろうと、毛先は当たるというより刺さる感覚で未だに苦手だ。

ぐいぐいと引っ張っても離れようとする素振りすら見られないどころか、熱い舌が這う感覚や軽く吸い付く感覚までする。
胸を寄せるだけだった手も忙しなく動いて、情けないことにまた力が抜けて頭を抱え込む体勢になってしまった。

「は、あっ…あ!」
「逃げんな…」
「っふ…あ」

逃げているつもりは無いのだけれど、ついいつもの癖で仰け反ってしまう。
どっちにしたって、私の背中にがっちり手を回して固定しているくせによく言えるわね。

右手は指を駆使して先端を弾いて、時々軽く摘まんで捏ねる。
左手は腰のあたりを撫でてくる。

指の触れていない方の胸には、小刻みなキスが落ちてきていて、でもいつまで経ってもそれだけ。
普段なら与えられるはずの舌の感覚がなくて、焦らされているのだろうか。

「…っ、早く…」
「好きなようにしていいんだろ?」
「でも…や、ああっ」

唇を押し当てるだけならまだしも、顎を擦り付けられるとチクリとした痛みが走る。
耐えられないような激しい痛みじゃなくて、少し肩が跳ねるくらいのもの。

それはすぐに快感に変わっていく。
当然、それを狙ってわざとやってくるような男だから。

不規則に当たるヒゲの感覚に気を取られていると、今度は温かく濡れた舌で撫でられる。
舐めるというにはいつものしつこさがなくて、むずむずして痒いくらい。

もちろん、それも分かっている上でしてくるのだろうけれど。

「や、だ…ちゃんと…」
「ねだるんならそれなりのサービスが欲しいんだが…」
「なに、すれば…いいの?」
「手でこうして…おっし、絶対離すなよ?」

ナイルの手に誘導されて、自分の手で自分の胸を寄せる格好をさせられた。
どう考えても屈辱的なポーズに違いないんだけれど、ただ中心に寄せるだけじゃない手の位置に嫌な予感がする。

「一回やってみたかったんだよ、ナマエならできるよな?」
「なにを、っや…!ふ、ああっ!」

まるで食事をするかのように大きく口を開けたと思えば、一口で胸の先を両方含まれてしまった。
普段、片方ずつでもかなり刺激的なのに。

遠慮なく舌で擦られ吸い上げられると、じゅるじゅると下品極まりない音がする。
最近、ジュニアが大きくなって卒乳を考えていたのに、ナイルが吸うからまったく止まる気配がない。

「やだぁ…!吸わな、で…っ」
「あ?これが本来の使い方だろうが」
「違う!ジュニアの為のだもん!」
「先に手ぇ付けたのは俺だろ。あと、もんとか言うな可愛すぎんだろ」

ジュニアみたいにただ吸うだけなら何も問題は無いはずだけれど、ナイルは舐める吸う噛むの全てを繰り広げてくるから腰が持たない。
しがみついていた頭に頬を擦りつけて、与えられる快感を必死に逃がす。

「こっちも、旨そうだな」
「ふっ、あ…あっ」

やや乱暴に肩を掴んで引き剥がされたと思えば、半開きだった口にキスをされる。
いや、キスなんてそんな可愛いものじゃない。
唇ごと口の中に含まれて、こちらも噛まれたり舐められたりと忙しない。

特に舌なんて遠慮せず私の口内を抉じ開けて、引っ込めていた舌を絡めて吸い上げてくる。
おかげで私がナイルの口内に舌を差し込んでいるかのようになってしまって、気に入らない。

「っぷあ、は…あっ!」
「は、っ…」
「やっ!そこ、や…ああっ!」

やっと解放してくれたのかと思ったら、それは息継ぎのための一時的なものだったようで。
また食事みたいなキスをされたかと思ったら、次は不意に胸の先を指で捏ねられる。

何回聞いても自分のものではないような声も、全部飲み込まれた。



「っは…あ…」
「さて、今日はこれで終わりだな」
「へ…?だって、ナイルの、まだ…」
「キスと上半身のお触りまでなんだろ?でもまあ、サービスだって言うなら有難く受け取るけどな」

だいたい途中から敬語も出なくなって設定も崩壊してるんだから察しなさいよ。
なんて言うのも阿呆らしいので、べったべたなままの唇でキスをしてやった。

「じゃあサービスということで。すげー、ナマエの紐パンとか夢みたいだわ」
「ちょ、っと…!やあ…っ!」

少し布地の部分を指で撫でていたけれど、それがまったく下着の役割を果たしていないことに気が付いたようで両サイドの紐を外しにかかった。

「ちょっと、何ポケットに入れてんのよ」
「使い道なんて一つしか無いだろ。俺にこれを履けっていうのか?」
「違う!使うなって言ってんの!」

まったく悪びれる様子もなく、そのままポケットへと向かう手を押さえつけた。
使うとか言われると生々しくて嫌だ。
例え旦那でも自分の使用済み下着なんて触られたくないと思うのは普通じゃないかとおもうんだけど。

「あーはいはい、ほらよ」

そんなバカな掛け声でも、下着で隠していた部分を撫でられたら反応してしまう。
息を飲んだ音と、跳ねた肩に気を良くしたのか、ナイルは嬉しそうに指を這わせる。

表面を指が行ったり来たりしているだけなのに、耳を塞ぎたくなるくらいに水音がして居た堪れない。
どんな顔をしていいのか迷っている間にも、遠慮を知らない指が中にどんどん差し込まれる。

その指が3本になった後、また粘着質な音を立てて今度は引き抜かれた。
見たくも無いのにその手を目の前に突きつけられて、本当にどんな顔をして欲しいのか。

「見ろよ、手首まで伝ってんぞ」
「絶対見ない」
「それはそれで面白いけどな」

頑なに顔を背けて目を瞑ると、耳元で音がする。
わざと舌を当てて吸ってリップ音をさせたり、本当に煽るのが上手すぎる。

ナイルがナイルの手を舐めているだけなのに、身体中を撫でられているかのような感覚が走る。

「ナイル…」
「サービス、してくれるんだろ?」
「なに?セルフサービスってこと?」

にかっと笑って頷かれた。
ここで恥じらっておねだりするのを期待しているのかも知れないけれど、そんなことしてあげるような私じゃない。

首筋に顔を埋めて、なるべく見ないようにして手探りでナイルのそれを取り出す。
風呂に入ってから帰宅してほしいと伝えただけあって、微かに石鹸の匂いがする。
それでも、汗の匂いやら何やらが混じったようなナイルだけの匂いが好きだから、ついつい少しだけ呼吸が深くなる。

「ナマエも俺のこと言えないくらい嗅いでんじゃねぇか」
「ちが、う…っああ!!」
「焦らすの上手いのか下手なのか分からんが…入れちゃった」

入れちゃった、じゃない。
そんな風に言ってもまったく可愛くない。

首元の匂いを嗅いでいたのがバレただけでもなかなかに恥ずかしいのに、どう言い訳をするか考える隙もなく腰を掴まれて引き下ろされた。
びっくりして目の前の首に齧りついてしまったけれど、髪を撫でる手が優しくゆったりしたものだったから何が何だか分からなくなる。

「悪い、いきなりすぎたな…痛いか?」
「痛くは、ない…けど、こめん、噛んじゃった」
「ナマエになら食われても平気だかんな」

諭されるようにそう言われると噛んだ私が悪いみたいだけど、いや、悪いけれど、原因を作ったのはナイルなんだから!と思う。
ひとつくらい文句を言っても許されるだろうと首筋から顔を上げてちゃんと向き合うようにすると、ナイルに乗っかっているから同じ高さで見つめ合う形になってしまった。

普段は見上げていることが多いし、こんなに近くで見ることもないけれど、改めて見ると意外とそんなに面白い顔をしているわけじゃないんだな、とも思う。
惚れた欲目かなんなのか、この人の魅力に私だけが気付くまで独身でいてくれて良かった。

「どうした?惚れ直したか?」
「少しだけ…」
「バッカ!そうやって時々予告無く爆撃始めるのやめろ!」

顔を真っ赤にして、しかも中でそれを大きくして、それですら可愛いと思えてしまう私は重症だ。
照れた顔を見られたくないときにいつもそうするように、ぎゅっと抱きつかれて肩にヒゲが当たる。
そのまま遠慮なく揺さぶられると、そのヒゲが擦れる感覚すら気にならなくなるほどの快感に襲われた。

私自身の体重がかかるから、いつもより深いところまで入り込む。
それを慣れた手つきで角度を調整しては2人で気持ちよくなれるポイントを的確に突いてくる。

「ふあ、あ…!も、だめ…」
「いつもより早くないか?」
「ナイルだって、限界、の…くせに」

ちょっとからかってやるとすぐにまたしつこいキスが始まる。
舌先をくすぐられた時の痒みに似た快感のもどかしさが、繋がっている部分から生まれる強すぎる快感と合わさって、泣きたくなる。

何も考えられない頭の中で、ナイルの小さな声が私の口の中で消えていったところまでは覚えられた。








「ほれ、約束のブツだ」
「お鍋!?やった!ありがとうナイル!」

次の日、仕事から帰ってきたナイルは大きな箱を抱えていた。
受け取ると確かに重たくて、ラッピングを解いて取り出すとゴツいにも程があるようなお鍋が出てきた。

「これでまた料理が楽しくなる!ありがとう!」
「いーや、俺も楽しんだし…あの紐パンが回収されたことだけが悔やまれてならないがな」
「当然でしょ?なんで私のパンツなんか欲しいと思えるのよ…」
「長くなるけど聞いてくれるか?そもそもナマエの存在が」
「ごめん!気持ちが悪い!」

皮肉で返したはずなのに、真っ向から返された。
まったく自惚れている気はないのだけれど、ナイルに私の話を振ると長くなるのでさっさとキッチンに逃げてきた。

どこにしまおうか、こんなに大きな鍋だったら、ジュニアの離乳食を作る為の小さな鍋も中に入れて収納できるだろうかと蓋を開けると、小さな封筒が中に入っていた。
その中には更に二つ折りにされた紙が入っていて、広げてみると手書きで「休暇届」と書いてある。

「見つけたか?」
「うん…なに、これ?」
「見たまんま、休暇届」

斬新な保証書かと思ったけど、それも違うようで。
それにしてもこれ、執務室で作ってきたのかな…なんて的外れなことも考えてしまう。

「久々に物をねだったかと思えば圧力鍋って、なあ…だってそれ、ナマエだけのためじゃなくて、俺もジュニアも更に美味いものが食えるようになるわけだろ?」
「それが私にとって欲しいものだったんだもん…」
「ジュニアが生まれてから一人で過ごす時間なんて無かっただろ?本当は好きな時に好きなだけ休んでもらいたいのに、いつも俺は仕事で…あー!すまん、言い訳だな」

言い訳だなんて一つもしていないじゃない。
私はやりたくてジュニアの世話も家事もしているんだし、役割分担をしているだけだ。

「使うタイミングも時間も、結局俺の仕事次第になっちまうんだが、それでも遠慮なく使って欲しい」
「何に使ってもいいの?」
「買い物でもランチでも構わな…いや、野郎と一緒なのは駄目だ」
「ナイルと一緒でも?」
「せっかく一人きりになれる魔法のチケットだぞ?俺なんて別に嫌でも顔見て生活してんだろ?」
「ううん、ナイルと二人きりでデートがしたい…って言ったら駄目かな?」
「駄目なんて言うわけねぇだろ…明日、ジュニアを迎えにいくまで…だと短すぎるか?」

わざわざ休暇届なんて作って、不器用な人だ。
どうしようもなく愛おしくなって、嫁をこれ以上惚れさせてどうするつもりなんだろう。


最高に幸せだと思っていたのに、2時間後、ベッドに入ったらナイルが差し出してきたTバックの紐パンに頭を抱えることになるなんて知りたくなかった。





※前サイトでのリクエスト
BUCK-TICK/RAZZLE DAZZLE