「みんな、みんないなくなっちゃったね」

「そうだな…」


始まりはいつだっけ?私たちが崩壊していった始まりは。

私たちが離れたのか、みんなが離れていったのか。ずっと一緒だったのに、どこで間違ったのかな。


「けど、俺には名前がいる」

「そうだね。私にも新八がいる」


新八に寄り添って、雪を眺めた。寒いのに、こうやって新八といるとあったかいのは何でだろう。


「淋しい、なんて言っちゃいけないよね。うん、わかってる。わかってるんだ、……」

「背中、貸すぜ」

「ううん、大丈夫」


泣いちゃいけないって、わかってる。みんなはどこかで生きてるって信じてるから。だから、泣かないよ。


「でね、新八。私思ったの」


これからは、きっと剣がいらなくなる。私たちみたいなのが、必要なくなる。


「みんなのこと、忘れちゃうかもしれない」

「そんなことねぇって。忘れたくないって思ってたら忘れねぇよ」

「そうかな?」


でも、きっと忘れちゃうよ。だって、記憶は永遠じゃないから。


「だったら、約束しよ新八」


剣のことも忘れて、普通の女の子になっても。

ちゃんと、私は新八のこと呼ぶから。


「だから、ちゃんと私の名前も呼んでね?」


貴方のこと、頭が忘れても心が覚えてるから。だから、絶対言うよ。



あいせい、はろー
(あんど、あいらぶゆー)



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