トップシークレット




「あれ、静雄」
寝転がった静雄に、新羅が声をかけるが返事がない。
「寝てんの?」
「……」
新羅が身を屈めて、静雄の顔に近づいた。
「あのさぁ」
「……」
「静雄、臨也と同じ匂いがする」
ガバッ。
静雄が飛び起きた。
「あああ!?」
「ちょ、落ち着いて!僕は事実を言っただけで…」
今にも新羅に殴り掛かりそうな静雄に、門田がフォロー。
「シャンプーが同じなだけじゃないか?」
「そ、そう!僕が言いたいのはそう言うことで…。だから胸倉掴むのやめてっ」
「俺の家のシャンプーだもん。同じ匂いなの当たり前だよ」
後ろから聞こえたのんびりした声。
えっ、と新羅と門田が振り返れば、臨也がいつもの笑みを浮かべて立っていた。
「え??俺の家のシャンプーってどうゆう??」
新羅は首を傾げるが、門田は固まっている。
そんな二人に臨也はニヤニヤ笑ってるだけだ。
静雄の方はと言えばギリギリと歯軋りしていた。こめかみには青筋さえ浮かんでいる。
「帰る」
しかし怒りを爆発させることなく一言そう言うと、早足で校舎の方へ行ってしまった。おそらく鞄を取りに行くのだろう。
「シズちゃんが帰るなら俺も帰ろ。つまんないし」
臨也はじゃーね、とまだ固まった門田と新羅に手を振ると、静雄の後を追い掛けて行った。
あとに残された二人はぽかんとするしかなかった。
「あのさ…」
「……」
「このことはトップシークレットにしよう」
「そうだな…」



※アンケートに載せていたお話でした。
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