夢の無い眠り





好きでもない奴と付き合える。
好きでもない奴とキスが出来る。
好きでもない奴とセックスが出来る。

これはきっと性別は関係ない。男が一般的に言われるけれど、女だってそんな奴はたくさんいる筈だ。
それでも、それが大嫌いな奴が相手だとしたら大分確率は減る。

大嫌いな奴と付き合える。
大嫌いな奴とキスが出来る。
大嫌いな奴とセックスが出来る。

俺は多分、いかれてる。
嫌いな奴とのキスやそれが嫌じゃないなんて。
静雄はそんなことを思いながら唇を離した。
目の前には酷く端正な顔をした男がいて、自分を見上げて嗤っている。
この男も多分、いかれてるのだ。
俺達はお互い嫌いで憎み合っている筈なのにいつもこんな戯れを繰り返す。手を繋いだり抱き合ったり、キスやセックスやそう言うくだらないこと。
それを口にすると、
「ホントにそう思ってるの?」
臨也はそう言って笑った。
「どう言う意味だ?」
「分からないならいいんだ」
あはは、と臨也は笑い声を上げる。静雄はこの耳障りな声が嫌いだ。
「シズちゃんはキスが好きだよね」
臨也の唇が静雄のそれを塞ぎ、舌が入り込んで来た。舌を絡まされ、唾液を流し込まれ、静雄はごくんと喉を鳴らす。
「これは好き?」
臨也が啄むように口づけて、静雄の唇をべろりと嘗めた。何度も何度も優しくキスを落とす。
「これは?」
薄く笑って今度は内股を撫でる。静雄はそれに羞恥で顔を赤くし、小さく舌打ちをした。
ああ、やっぱりおかしいじゃないか。嫌いな奴にされているのに、嫌じゃない、なんて。
「シズちゃんそれはね」
静雄の耳を甘く噛んで、臨也は囁く。
「嫌いなんかじゃなくて、それは、」

こんなことを言う臨也がやっぱり嫌いだ。


2010/1121/1503
Title/暫
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -