マリアの堕胎




※R18



口でする時、味がするのが苦手だ。
所謂アダルト漫画やゲームなんかでは、ヒロインが美味しいだの熱いだの言うけれど、そんなもの美味いわけがない。熱くもない。
口に出されたら、静雄は真っ先に洗面所に駆け込む。臨也には萎える、と愚痴られたけれど、こればっかりはどうしようもない。
先走りの液の、しょっぱい味も苦手だった。自分の唾液のベトベトさなんて、一番嫌いだ。アダルト漫画と言うのは本当に嘘つきだと思う。
蛇口を捻り、水を出して、口を濯ぐ。流れる水と一緒に、白い液体が排水溝に落ちていくのは滑稽だ。
「マジで萎える」
相変わらず臨也は煩い。口調は無愛想で、機嫌が悪そうだった。
「俺のが萎えるわ」
静雄は唇を拭い、蛇口を止める。不機嫌になりたいのはこっちだ。口に出すなといつも言っているのに。
「シズちゃんが銜えたまま、上目遣いで見るから」
我慢出来なくなっちゃった、と。臨也は口角を吊り上げて笑うのだ。綺麗な顔で。
「死ね、馬鹿」
静雄は僅かに頬を染め、舌打ちをする。まだ顎や頬は、水で濡れていた。
「まあ実際美味しくはないだろうしね。我慢してあげるよ」
臨也は横柄な態度でそう言い、静雄の手を掴む。抱き寄せて歩く目的の場所は、寝室のベッド。
「次は下の口に出すね」
臨也はそう言って、静雄をベッドに押し倒す。ギシッとスプリングが揺れた。
「下の口はよく飲み込んでくれるから」
臨也がそう笑って囁くのに、静雄はまた舌打ちをする。否定をしないその顔は真っ赤だった。

2010/11/13/21:08
Title/暫

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