これは恋なのだろうか。
静雄は考える。
例えばふとした瞬間に思い出したり、会いたいと思ったり、あの赤い目が自分を捉えるのに身が震えたり。
大嫌いな相手だったはずだ。それも自分と同じ同性で。なんて滑稽なんだろう。
一緒に居たい、なんて。
もしもあの男が知ったなら、きっと馬鹿にして笑うんだろう。笑われて、からかわれて、きっと傷付けられる。傷付きたくなかった。
だからずっと内緒にしておかねばならない。永遠に、ずっと。誰にも言わない。



これは恋なのだろうか。
臨也は思う。
焦燥にも似た気持ちと、不安感、嫉妬。胸が痛くて苦しい。
あの色素の薄い目が、自分だけを見ればいい。頭の中を、自分だけでいっぱいにすればいい。朝も昼も夜も、不意に会いたくなって、毎日毎日池袋に足を運ぶ。
金髪を見掛ける度に、心臓が高鳴るのが滑稽だ。
ああ、そうだ。俺は恋をしている。
相手が同性と言うことも、憎くて堪らなかった相手だと言うことも、最早臨也にはどうでもいい。
考えねばならない。どうやったら彼を手に入れられるかを。


101024 18:26
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