一緒に




太陽が眩しくて、制服の上着を顔に被せた。陽射しが暖かい。
静雄は四肢を投げ出して、屋上に寝転がっていた。朝から喧嘩を売られて疲れていたせいか、直ぐにうとうとと微睡みが訪れる。
不意に、顔に被せていた制服を取り去られた。急に太陽が容赦なく降り注ぎ、静雄は眉を顰める。
「息苦しくないの?」
逆光で表情は見えないが、臨也が揶揄するような声で見下ろしていた。
「うぜえ」
せっかくうとうとしていたのに。静雄は舌打ちをした。
「返せよ、眩しい」
「息苦しいだろうに」
臨也は笑い、制服を返してやった。寝転がる静雄の隣に座る。
「居座る気か」
「シズちゃんの寝顔見てることにする」
「死ね」
静雄は目だけを手の甲で覆い、悪態をつく。臨也の笑い声が空から降ってきた。
暫く二人に沈黙が落ち、緩やかな風が吹く。授業中のせいか、屋上は静かだった。
静雄はふと、陽射しが和らいでいるのに気付いて目を開ける。臨也がぼんやりと遠くを見ているのが目に入った。眩しそうに。
眠る静雄の為に、日陰になってくれてるのだろう。
静雄はそれに、小さく舌打ちをした。
「臨也」
「ん」
「眩しくねえの」
そう問うと、臨也は静雄に視線を移す。二人の目が合った。
「少し」
口端を吊り上げて、臨也は笑う。太陽の光りが降り注ぎ、臨也の髪がキラキラと揺れた。
静雄は立ち上がると、制服を着る。
「日陰行こうぜ」
「一緒に?」
「嫌ならいい」
ぷいっと顔を背けて、静雄は校舎の陰へと歩き出す。その頬が僅かに赤いのに、本人もきっと気付いているだろう。
臨也はそれに僅かに笑い、立ち上がった。


101023 10:48
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