図書室 門田視点


ガタッと音がしたと思ったら、棚の影から見慣れた長身の金髪男が出てきた。
図書室におよそ不釣り合いな男の登場に、門田は驚く。
静雄は潤んだ目に赤い顔をしていて、熱でもあるんじゃないかと疑えそうな様子だった。
「具合が悪いのか?」
思わず声をかければ、弾かれたようにこちらを見る。
「門田…」
「?」
「…なんでもねえ」
静雄は赤い顔を隠すように顔を背け、そのまま図書室を出て行った。
…どうしたんだ?
首を傾げていると、
「あれえ、ドタチン」
先程静雄が出てきた棚の方から、今度は美形の男が出てきた。
「臨也?」
「読書?君って本好きなんだね」
「まあな。それよりお前、血がついてるぜ」
門田は臨也の唇を指差す。
「ああ…」
臨也は大して関心もなく唇を親指で拭う。「痛いと思ったら…」
「どうかしたのか」
「キスしたら噛み付かれた」
その台詞に門田は硬直する。
臨也はそんな門田を面白そうに見ると、片手を上げて図書室を出て行った。
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