願い、ひとつだけ




願いがひとつだけ叶うなら、君は何を願う?


突然新羅がこんな質問をした。
いつものように新羅のマンション。リビングにはコーヒーの香りがしている。
「そうだなあ」
臨也は暫く考え込み、やがて口端を吊り上げて笑う。
「シズちゃんをこの世から消して下さい、とか」
「はは、臨也はやっぱり酷いなあ」
この答えに新羅は肩を竦める。友人の冷たさなんて分かってはいたけれど。
「でも本当にそれでいいの?」
「当然じゃないか」
臨也はカシャン、と飲みかけのカップを置く。
「シズちゃんがいなかったら俺の邪魔をする者はいなくなるんだからね。素晴らしいことだよ」
「居なくなったら寂しいんじゃないのかい、君は」
新羅はコーヒーを飲みながらニコニコと。臨也はそれに眉を顰める。
「まあ多少は寂しいかも知れない。シズちゃんだって立派な駒の一つだしねえ。でもそれ以上に邪魔な存在なんだ」
会うなり自販機を投げられる身になってみなよ。
臨也は大袈裟に溜息を吐く。
「そりゃあ大変だね」
新羅はただ笑った。



願いがひとつだけ叶うなら、君は何を願う?

新羅のこんな質問に、静雄は眉を顰める。
いつものように新羅のマンション。リビングにはコーヒーの香りがしている。
新羅は静雄に甘いカフェオレを出してやった。
「そうだな…」
静雄は暫く考え、ぽつりとこう言った。
「俺は自分のこの力を無くして欲しい」
「君のその力は、長所でもあり短所でもあるからね」
新羅は頷いてコーヒーを一口飲む。静雄の答えは予想通りだった。
真っ先に天敵を消したがる臨也と、天敵を消すより自身の力の消失を望む静雄。

どっちが相手に依存してるだろうね?

新羅は目を閉じて笑った。


201011041046
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